日立物流 従業員の不正行為

工事代金を水増しした請求書を作成し、日立物流子会社の日立物流西日本から現金約3億円をだまし取ったとして、兵庫県警暴力団対策課は12/6、詐欺容疑で同社元社員(48)と、設備工事会社元社長(50)の両容疑者を逮捕しました。

逮捕の容疑

日立物流といえば昨年11月、4日間燃え続けて約38,000平方メートルを焼損してしまった火災事故について、当ブログでも取り上げました。この時も日立物流西日本が舞台。日立物流西日本が契約している人材派遣会社の社員による放火でした。

そして今度は従業員による不正行為(詐欺容疑)です。日立物流西日本の下請け業者である設備工事会社の社長と結託して、駅のホームの工事などに必要な作業員の数を水増しして、工事代金あわせて3億6,000万円余りを日立物流西日本から騙し取ったということです。

詳細はまだ見えておらず、日立物流も一切開示をしていませんのでよく分からないのですが、裏が取れている容疑としては少なくとも1,700万円以上の工事費用が水増し請求されていたというもの。

兵庫県警暴力団対策課

このニュース、逮捕したのが「兵庫県警暴力団対策課」というのが問題です。結託した設備工事会社の社長、この人物が暴力団関係者とみているとのことで、不正に得た資金が暴力団側に流れた疑いもあるんだそう。だから「兵庫県警暴力団対策課」が動いてたんですね。

日立物流は経済的には被害者側のようですが、従業員が不正行為を働いたことに加え、反社会的勢力と繋がっていたとなると、この事件でけっこうなダメージを受けそうです。

ラック 金融犯罪をAI技術で検知

ダイヤモンドオンラインで「金融犯罪の知見を最新AI技術に搭載し驚異の不正取引検知率を実現」という記事を読みました。様々な金融取引において、AI技術を駆使して異常取引、不正取引を非常に高い確率で検知するという技術の紹介記事です。

株式会社ラック

ラックは情報セキュリティ分野の各種サービス、およびシステムの開発などを法人向けに提供するITサービス企業です。ネットワークセキュリティ分野では、官公庁や大手企業を中心とした豊富な実績を有している東証スタンダード上場企業です。以前当ブログでは、同社の応札に関する不正を取り上げたことがありました。

最近めちゃくちゃ増えました

ちょっと脱線、個人的な話ですが、最近怪しいメールが非常に増えていて困っています。Amazonや楽天、三井住友カードなどから、「異常な取引を検知したから」とか、「カードの有効期限がどうのこうの」って理由でサイトにアクセスさせて、kuniの個人情報を抜き取ろうとするメールだと思われます。以前と違ってまあしつこいこと。

AIで検知

ラックのこの技術はこうしたフィッシング詐欺とはちょっと違って、取引先や経営幹部を装って送金を指示するビジネスメール詐欺や、本人になりすましてATMを操作する不正な金融取引を対象としたものと思われますが、とにかく金融周りの不正を未然に防止する、起きたとしても最小限で食い止める機能は非常に重要です。

AIを使ったシステムで、従来は60%程度だった不正の検知率を94%まで向上させるという技術、素晴らしいです。このような社会課題を解決する企業、kuniも応援したいと思いました。詳細は書けませんでしたが、このダイヤモンドオンラインの記事、推奨です。

保育士3人逮捕 また静岡県で

静岡県裾野市の私立「さくら保育園」で保育士が園児の足をつかんで宙づりにするなどしていた問題で、静岡県警は12/4、以前園に勤務していた保育士の女3人=いずれも現在無職=を暴行の疑いで逮捕しました。虐待行為が常態化していた可能性があるとみているようです。

また静岡?

今年は何かと静岡で事件や事故が発生しています。熱海市での不適切な盛土による土砂崩れ、浜松市でも同様の事故が起きました。そして静岡県牧之原市の認定こども園で、送迎バスに置き去りにされた園児が死亡した事件が起きたかと思えば、今度は静岡県裾野市の保育園で保育士の女3人による虐待行為です。

この虐待事件に関しては、裾野市の役所が事前に実態を把握していながら、市長にまで情報が上がっていなかった、みたいな話も出ていて、行政の責任が問われるという展開にもなりそうです。

しかしまた、なんでこうした事件・事故が静岡県に集中してしまうんでしょうね。ネットなどでは県知事の責任というか適正までも問う書き込みが目立っていましたが、知事一人の問題でこれだけの問題が起きてしまうなんてことがありうるんでしょうか。

ガバナンス

民間企業では、トップが緩いと組織全体が緩んでしまうという症状をよく見ます。いわゆるガバナンスの問題ですね。静岡県の行政においても同じことが起きてるんでしょうか。行政が緩んでいると、当然それに関係する事業者においても、同様に緩んでしまうということはありうることなのかもしれません。

行政の世界に身を置いたことがありませんので、これはあくまで民間事業者(企業)との比較で言ってるだけです。しかし、ガバナンスって、おそらくそういうものなんですよね。トップがだらしないと、末端にまでその影響が出ちゃうんです。で、事件・事故はその末端で発生します。

株式会社バリューゴルフ 連結子会社 産経旅行 調査結果

バリューゴルフは12/2、「当社連結子会社における不適切な取引に係る調査結果のお知らせ」を公表しました。前回の開示通り、予定されていた約1ヶ月とちょっとという調査期間での公表です。産経旅行大阪支店の従業員が、架空の顧客及び取引先を用い、資金の不正取得を行っていたという事件でした。

不正行為の概要

当該従業員は、得意先から航空券の手配の注文を受けておらず、また、注文に係る航空券の発券依頼も行っていないにもかかわらず、産経旅行宛ての虚偽の請求書を作成・提出し、航空券代及び発券手数料の名目で当該旅行業者の預金口座に出金させていました。

また、得意先から航空券の手配の注文を受けた際に、取消しが行われないにもかかわらず、その一部の取消しに伴い航空券の発券枚数の取消しが行われた旨の内容の虚偽の書面を作成・提出し、当該取消しに伴うキャンセル料の名目で出金させていました。

こうした手口で、不正に出金させられた金額は合計12億7,830万円にのぼるそうです。ただし、直ちに不正が発覚しないように入金も12億3,951万円ほどなされており、出金から入金を差し引いた合計3,879万円が産経旅行の実質的な損害になるとのこと。当初の見込みだった約29百万円から少々増加しています。

原因と動機

過去に産経旅行と取引関係を有していた外部業者の預金口座の通帳と印鑑を、当該従業員が保管していたことが最大の原因だとしています。また犯行の動機は定番ですが、「競馬やパチンコといったギャンブルにのめり込み、その元手を得るため」だったようです。

同社が開示した調査結果、調査報告書はないんですが、非常に上手くまとめられていてイイ感じです。200ページの報告書を添付してこれを参照、って言われても一般人には荷が重いですからね。

東都水産 元社外取締役 インサイダー取引で監視委員会が告発

証券取引等監視委員会は12/1、「東都水産株式会社株券に係る内部者取引事件の告発について」を公表しました。これまたエグイ事件ですね。東都水産に対するTOBを知った同社の社外取締役が、同社株のインサイダー取引を行って儲けていたというお話です。

インサイダー取引の概要

水産卸大手「東都水産」へのTOB(株式公開買い付け)公表前に同社株を取得するなどしたとして、証券取引等監視委員会は12/1、金融商品取引法違反(インサイダー取引と情報伝達)の疑いで同社の元社外取締役M氏(59)と、M氏が専務を務める「三印三浦水産」(北海道函館市)を函館地検に告発しました。「さんじるしみうらすいさん」と読むらしいです。

告発容疑は、東都水産に対する麻生グループ「ASTSホールディングス」のTOB公表前の2020年9月、三印三浦水産名義で東都水産株8,000株を計約2,900万円で買い付けたほか、公表直前の同年11月上旬にも知人に伝えて、同社株500株を計約200万円で買い付けさせた疑いだそうです。

社外取締役 2年前に退任?

東都水産としても12/2に「証券取引等監視委員会による弊社元社外取締役に対する告発について」を公表しています。その中で、「当該元社外取締役は、約2年前に弊社を退任しておりますが・・・」というくだりがあるんですが、ここが気になります。

過去の開示資料によると、この元社外取締役は2020年6月に就任。2022年6月の再任直前に退任というふうに読めるんです。就任直後に退任していてそれが開示されていないのか、今回の「2年前に退任」が虚偽なのか・・・。