三幸製菓 火災事故に関する調査結果

今年2月、当ブログでも取り上げましたが、新潟県村上市にある「三幸製菓」の荒川工場で火災が発生し、従業員6人が死亡するという事故が起きてしまいました。同社が設置した事故調査委員会が報告書をまとめ、12/15付けで公表されています。

火災事故調査報告書

調査結果、ずいぶん長い時間がかかりましたね。発生が2月ですから、約10ヶ月です。と、思いきや、調査報告書の日付は11/11となっています。公表されたのは「要約版」となっていますから、委員会が提出した報告書を会社側が要約したということでしょうが、1ヶ月以上遅れたのは何故?

火災の原因については、せんべいを乾燥する機械のなかにたまった菓子のくずが、その下にあった焼き釜の熱によって発火したためとしています。また、火災のときに防火扉から避難する方法が十分に周知されていなかったことや、火災報知器の誤報が過去にたびたびあり、警報音を聞いて避難した人がほとんどいなかったことなどを指摘しています。

防火やいざという場合の避難の訓練といった、どこの会社でもやっている態勢整備が行われてこなかったこと。これにより6名の命を奪う事故になったわけですね。皆さんの会社でもこうした訓練が行われていると思いますが、いざという際のことを想定して、実効性のある訓練になってるでしょうか?

訓練の良い教材に

報告書では、「火災事故発見後の在館者の避難状況」や、「避難及び被害回避につながった行動及び状況」という説明があり、かなり生々しい記述となっています。皆さんの会社で行う訓練等に際しての良い教訓や教材になりそうです。非常に痛ましい事故でしたが、このことを少しでも皆さんの会社でも活かしていければ、、、と思います。

電力カルテル 電力各社に課徴金案 関西電力は課徴金なし

以前当ブログでも取り上げました。企業向けの電力供給を巡り、大手電力3社に独占禁止法違反(不当な取引制限)を認定し、課徴金を科すというお話。合計約1000億円の課徴金案が各社に通知されたようです。関西電力が課徴金を免除されたという話が話題になっているよう。

カルテル

そもそもこのカルテル、「お互いに(テリトリーを)荒らさずやりましょう」と声掛けしたのが関西電力の役員だったようです。中国電、中部電力、九州電力の3社がこれに呼応する形でカルテルが始まっています。なので、一番悪いのは関西電力だったんじゃないの?ということですね。

ところが課徴金については、中国電力が707億円、中部電力が275億円で、九州電力が27億円となっていて、関西電力に関してはお咎めなし。いわゆるリーニエンシー(違反を自主申告し、当局の捜査に協力することで課徴金の減免を受けられる)のおかげです。

各電力会社は気に入らないでしょうね。そもそもカルテルを持ち掛けてきたのが関西電力で、本来なら一社で1,000億円以上の課徴金のはずだったのに無罪放免。代わりに自分たちが高額の課徴金です。気持ちはよく分かりますが、、、これがリーニエンシー制度ですからね。

必要な状況判断

当局から調査依頼が来た時点で、あのときのあの取り決めは法的に問題なかったのか。問題があると判断したなら、今すぐとれる最善の方法は何なのか。この状況判断が早かった企業が難を逃れるわけです。これがルールであって、ルールを熟知し、過去のルール適用実態等をもとにどう判断するか。

関西電力はそれができたということですね。原発汚職の問題等もあり、襟を正さねばという状況だっただけに、不正に対する感度が高かったからということかもしれません。

TOKAIホールディングス 交際費の不適切な使い込み 調査結果を公表

TOKAIホールディングスは12/15、「特別調査委員会の調査報告書公表に関するお知らせ」を公表しました。代表取締役社長による交際費の不適切な使い込みがあったとして、特別調査委員会を設置して調査を進めてきた件です。

調査結果の概要

2016年度以降の同社長による交際費などの支出を調べ、業務との関係が疑われるものが少なくとも1千万円以上あると指摘しています。その中には、社内施設で取引先を招いた接待において、繰り返し女性出張コンパニオンを呼んで混浴を行っていたなんて話も出てきます。

この調査結果に関するメディア等の報道では、「女性出張コンパニオンと混浴」とされていますが、報告書を読むと、「女性は以下の写真の湯あみを着用した状態で、混浴を実施していた」と書かれていて、報道から感じる混浴そのものではなさそうです。ただそれでも、「混浴なんて聞いてない」といったコンパニオンとのトラブルもあったみたいですが。

社長は絶対的な存在

報告書では、社長は絶対的な存在として、「モノを言えない」風土が蔓延っていたことを問題視しています。さらに、社長格の役員の定年は「就任から6年かつ70歳」と社内規程で定めているにもかかわらず、同社長は取締役会で定年の延長を繰り返し、退任時期を自ら決定できるようになっていたということです。

どこかの国の首席みたいなもんですね。皆さんの会社ではこんなこと起きてませんか?こういうの、間違いなく末期症状です。社長職からは降りたものの現在も取締役にとどまっているこの元社長も酷いですが、それを見て見ぬふりしてきた他の取締役たちも同じくらい酷いですね。

この会社の従業員の皆さんは週明けの月曜日、どんな気持ちで出社されるんでしょう。

コロナワクチンのCM 転職サイトのCM

現役時代はニュースと映画以外、ほとんどテレビを見なかったkuniなんですが、今ではかなりの時間テレビを見るようになりました。で、最近特に感じるのがワクチンのCMと転職サイトのCMの多さです。かなりの広告費使ってるんでしょうね。まぁ、見る側のニーズもあるからなんでしょうが。

ワクチンのCM

まず一気に増加したと感じるのが新型コロナワクチンのCM。っていうか、モデルナとファイザーのCMです。第7波が治まってきたころからでしょうか、一気に増えてきました。ワクチンの副反応やらなんやら、コロナワクチンを全否定するつもりはないんですが、あれだけ日本でのCMが増えてくると、ついつい勘ぐってしまいます。

副反応だか、副作用だか、に対する認識も国によったりするでしょうし、もう他の国では日本みたいな需要がなくなってるんじゃないかと。他国でもあれだけのCM打ってるんでしょうかね。

転職サイトのCM

もう一つ感じるのが転職サイトのCM。「登録するだけで驚きのスカウトが・・・」みたいなCMがあふれかえってます。そりゃあもちろん、驚くほどの条件が提示されるっていうスカウトはバンバン飛んでくるんだろうけど、自分がその会社に採用されるかどうかって全く別の問題ですからね。

経験から言わせてもらうと、転職を希望する人の多くが、「いや、うちでこれくらいのことできないんじゃ、他に行っても通用しないと思うよ」って人なんですよね。人事評価をしてると感じるんですが、転職して成功する人は、現職でも最高の評価を得てる人。なんです。

で、そういう人は組織の中でもどうでしょう。上位5~10%くらいかな。に対してこの転職サイトのCMの多さ。どう見てもミスマッチだと思うんですが。

東都水産 検証委員会の設置に関するお知らせ

少し前の話になりますが、東都水産は12/6、「検証委員会の設置に関するお知らせ」を公表しました。東都水産に対するTOBを知った同社の社外取締役が、同社株のインサイダー取引を行って儲けていた件でしたね。証券取引等監視委員会により同社外取締役に対する告発を受けた対応です。

おさらい

告発されたのは、東都水産に対するTOB公表前の2020年9月、①三印三浦水産名義で東都水産株8,000株を計約2,900万円で買い付けたこと。②公表直前の同年11月上旬にも知人に伝えて、同社株500株を計約200万円で買い付けさせたこと。の2事案でした。

今回の開示

上記の2事案のうち、②の、社外取締役が知人に対して情報伝達して儲けさせた件が今回問題視されています。どうやら東都水産としてはこの事実を掴んでいなかったということのようです。「当社が上記(②)の事実を認識しておらず、当社の認識と異なる事実が公表されたことに鑑み」と表現されています。

ただ、検証委員会でこの事実を調査しようということではなく、「これまでの同社の対応、情報管理体制等を検証するとともに、今後における情報管理体制、必要な措置等を検討する」のが目的のようです。おそらく社外取締役に対して聞き取り調査とかしてきたでしょうが、そこで突っ込み切れなかったことなど、反省されているということでしょうかね。

監視委員会が既に告発していますので、事実の精査については札幌検察庁が粛々と行うでしょうから、同社としては取締役会や監査役会によるここまでの調査や、そもそもの法令順守の浸透、チャイニーズウォールの態勢整備などの検証を行うことになりそうです。ちなみに、今回の開示時点では検証委員会の委員はまだ決まっていません。