公正取引委員会 ニチイ学館に 排除措置命令

公正取引委員会は10/17、「愛知県又は岐阜県に所在する病院が発注する医事業務の入札等の参加業者に対する排除措置命令及び課徴金納付命令について」を公表しました。愛知県と岐阜県にある病院の医療事務の入札で談合を繰り返していたということです。

ニチイ学館

命令を受けたのは業界大手のニチイ学館。再発防止に向けた排除措置命令と1億2,134万円の課徴金納付命令を受けています。2015年3月以降、両県の公立など20病院が発注する診療報酬請求や、窓口会計業務といった医療事務の受託について、同社とソラストのいずれかが受注できるようにしたり、入札価格を事前に決めたりしていました。計40件の発注で談合し、受注総額は約87億円とのこと。

結託したソラストは公正取引委員会の立ち入り検査を受け、同委員会の調査に全面的に協力し、再発防止に向けた取り組み及び課徴金減免制度の適用が認められており、課徴金はゼロということになっています。

ニチイ学館は2020年11月にTOBにより突然の上場廃止となっています。創業家のお家の事情などとも言われていましたが、投資ファンドがいろいろちょっかい出して話題になりましたね。ソラストとニチイ学館に公取委が調査に入ったのが2019年の5月ですから、この事案、創業家が事業を実質的に手放すきっかけの一つにもなっていたのかもしれません。

ソラスト

ソラストの開示によると、公取委の調査着手以前の2018年8月に内部通報があり、その後の社内調査で違反行為を確認しているようです。速やかに公正取引委員会に対して報告を行うとともに課徴金減免制度の適用を申請し、その後も、随時、追加報告を行ったとのこと。違反は違反ですが、社としての対応がその後の明暗を分けたわけですね。

新しいライフスタイル 松屋 タイパで冷凍食品

10/12付け日本経済新聞に「百貨店の松屋、呉服やめて冷凍食品『逆回転』で勝負」という記事がありました。祖業の「呉服」売り場を廃止し、消費者の時短志向をとらえ、松屋銀座の地下2階に冷凍食品の専門売り場「GINZA FROZEN GOURMET」を開いたといいます。

GINZA FROZEN GOURMET

この冷凍食品売場が実際にオープンしたのは8/31だったそうです。銀座の名店を始め、有名レストランや人気パティスリーなど約55ブランドの商品が並び、この場で一度に購入できるというふれこみです。350円台の手軽な冷凍パンから1万円超えのプレミアムローストビーフまでが揃ってるそうです。

冷凍食品

冷凍食品のイメージを払拭したのが、急速冷凍機でお店の味をそのまま再現してしまうという技術革新。これまでコロナの影響でお店に足を運べず、冷凍食品で済ませる。という構図でとらえていたんですが、消費者の動向もかなり進化しているようです。

そう、「タイパ(タイムパフォーマンス)」。以前取り上げたことのある倍速消費ってヤツ。時間を効率的に使いたいという価値観が一気に台頭してきているようです。「コスパ」の時代から「タイパ」の時代へと変わりつつあるんでしょうね。松屋の冷凍食品もかなりの高額品がメチャ売れてるようです。

確かに帰宅後にレンジで数分チンするだけで有名店の味が再現される、なんてのはタイパの代表的なサービスかもしれません。kuniも時代に逆らうことなく、こういう感覚身に付けないと。しかし、祖業の呉服を廃止して冷凍食品で勝負、ってのは経営の決断、大変だったでしょうね。ちなみに、呉服系百貨店で呉服を捨てたのは今のところ松屋だけらしいです。

TOKAIホールディングス 特別調査委員会の委員を変更

TOKAIホールディングスは10/11、「特別調査委員会の構成の一部変更に関するお知らせ」を公表しました。代表取締役社長兼最高経営責任者が、私的な会食費を経費として請求していたという事件。その請求額は最大で数千万円に上る可能性があるということでしたね。

特別調査委員会

今回の一部変更というのは、社外取締役1名と弁護士1名の2名が委員から外れます。社外取締役や従来から取引関係のあった弁護士を外し、完全に同社とは利害関係のない新たな2名を加えます。特別調査委員会の独立性をより高め、より客観性が担保された調査を実施するため、と説明されています。今回開示されたのはこれだけです。

調査の状況

この事案、調査委員会の調査の多くは、「私的な」という点に向けられますよね。どこからどこまでが「私的」であり、不適切な経費請求だったと判定するのかということにつきます。どこで線引きするかという判断をする際、同社と何かしら関係があり、業界の常識に染まっている人たちの判断では、その結果に世間は納得しないでしょう。

そういう意味でも、完全に同社と関係性のない人たちで構成される委員会に変更したのは大正解だと思います。

役所の人だったのね

既に解任された代表取締役社長兼最高経営責任者は、旧通産省職員から京都府副知事、中小企業庁長官などを経て、2005年にTOKAI社長に就任された人だったんですね。いかにもって感じです。役所から民間のトップへ、とか、親会社から子会社のトップへ、ってとにかく良いイメージがありません。

10/18~ CEATEC(シーテック)2022開催 注目は メタバースエキスポジャパン2022

国内最大級のIT(情報技術)見本市「CEATEC(シーテック)2022」が10/18、幕張メッセ(千葉市)で開幕します。今回の目玉は、生活に入り込む仮想空間「メタバース」を体験できる展示だと言われており、メタバースエキスポジャパン2022も同時に開催されます。

メタバースエキスポジャパン2022

株式市場でも材料視されてきたいわゆるメタバース関連。ここへきてテーマとしての注目度は若干低下気味。代わって円安メリットやらインバウンド関連、旅行関連などが注目を集めています。メタバースエキスポジャパン2022の開催はメタバースが巻き返す起爆剤になるんでしょうか。

参加企業等

ということで備忘録として、メタバースエキスポジャパン2022の参加企業等をチェック。まず、主催・協賛企業は、Meta、株式会社CyberMetaverse Productions、大日本印刷株式会社、株式会社NTTドコモ、PwCコンサルティング合同会社、ソフトバンク株式会社、凸版印刷株式会社となっています。

そして参加企業は、株式会社バンダイナムコエンターテインメント、株式会社バスキュール、株式会社サイバーエージェント、コインチェック株式会社、株式会社Gugenka、株式会社HIKKY、株式会社IMAGICA EEX、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)、株式会社MyAnimeList、日本マイクロソフト株式会社、株式会社NTTコノキュー、ピクシブ株式会社、パーソルマーケティング株式会社、楽天モバイル株式会社、REALITY株式会社、The Sandbox、株式会社サンリオ、株式会社SHIBUYA109エンタテイメント、株式会社テレビ東京、株式会社W TOKYO(以上、公表データそのまま)。

未上場企業等も上場企業と組んで事業を開始しているケースもありそうですので、あえてすべてを載せました。以上、メタバース関連の備忘として・・・。

社会課題 大人用紙おむつ どう処分するか

10/10付け日本経済新聞に、「増えるおむつ、どう処分 高齢化で需要拡大 『大人用』生産年88億枚、リサイクル推進必要」という記事がありました。今までなら完全にスルーしてたような記事ですが、認知症の家族を持った今、これはかなり気になります。

大人用紙おむつの実態

記事によると、高齢化が進み、要介護度が上がり、紙おむつを使用する人が増加しています。まぁ、言われてみれば納得する話ですね。大人用紙おむつの生産量はこの10年間で4割増加して88億枚。介護現場では欠かせない衛生用品となっています。これに対して乳幼児用の紙おむつの生産量は110億枚で減少傾向なんだそう。

介護施設でこの大人用使用済み紙おむつの処理が問題になっているということです。「し尿を含んだ紙おむつが詰まったごみ袋はずっしりと重く、片手では持ち上げられない」んだそうで、確かに介護士の皆さんにとっては悩みの種となってそう。焼却等、どう処分するかも課題だそうです。

解決策は

大人用紙おむつの大手としては、ユニ・チャームや花王など。様々な機能性を付加した良い商品が提供されているようで、今後も高齢者が増加し続けるこの国、投資の世界ではこうした銘柄は注目できそうです。一方で、商品を提供する企業として、使用済み商品の処分に関しても積極的に関与してもらいたいですね。

紙おむつ本体と、し尿を上手く分離できれば、処分の問題は大きく改善できそうですし、そのための技術開発を期待したいところです。そういう意味ではTOTOさんのようなトイレのスペシャリストにもビジネスチャンスはあるかも。とにかく今後も間違いなく拡大する社会課題でしょうから、救世主が現れてほしいところです。