アイ・アールジャパンホールディングス 株価も大荒れ 株主総会も

アイ・アールジャパンは6/10、「第8期定時株主総会会場及び開会時刻の変更に関する重要なお知らせ」を公表しました。同社の役員が未公表の情報に基づいて、同社株式の不正取引に関与した疑いがあるとの報道を受けた措置ということです。

荒れてきましたね

この事件を受けて、6/3に4,270円だった同社株は、6/9に2,255円まで下落。ほぼ半値ですね。一般的なインサイダー事件とは違って、上場企業のIR等を専門とする企業だけに、市場の反応は強烈なものとなりました。株主的には怒り心頭というところだと思います。

株主総会

こうした状況を受け、6/17に開催する株主総会もかなりあれるだろうということで、時間と場所を変更することに。開催時間は午前10:00から1時間遅らせて午前11:00へ。開催場所は同社本社の会議室(セミナールーム)から、ホテルニューオータニ 「芙蓉の間」へ、それぞれ変更になっています。

このホテルニューオータニ 「芙蓉の間」って、テーブルの起き方にもよりますが、おそらく1,400名を収容できる会場のようです。本店セミナールームの10倍近い広さなんでしょうね。大勢の株主が訪れ、荒れるんだろうという経営の読みは当たっていそうです。

開示では、「なお、本総会当日は、議長を含む取締役全員が本総会会場にて出席いたします。」という一言も添えられていて、株主に真摯に対応するという姿勢を見せてはいます。まぁ、当然でしょうね。しかし、そんなことで株主が許してくれるわけではありませんが。

株価へのインパクトも半端なかったので(これで下げ止まったかどうかは知りませんが)、株主による集団訴訟までを見越した対応が必要になりますね。

川崎重工業 子会社の川重冷熱工業で検査不正

川崎重工業は6/7、「川重冷熱工業における不適切行為について」を公表しました。昨年8月に完全子会社化した川重冷熱工業株式会社において、主にビルなどの空調システム用として製造・販売した一部の吸収式冷凍機の、検査などに関する不適切行為が判明したとのこと。

川重冷熱工業

川重冷熱工業は滋賀県草津市に本社を構える川崎重工の100%子会社です。昨年7月末までジャスダックに上場していましたが、完全子会社化で上場廃止となっています。オフィスビルやホテルといった公共設備の空調に使う冷凍機やボイラーが強みで、吸収式冷凍機は国内シェアで19%を占めるそうです。

検査不正の概要

冷房能力90%程度で試運転を行っているにもかかわらず、冷房能力100%での試運転結果であるようにデータを作成して検査成績書類に記載していました。不正の期間は1984~2022年で、1,950件が確認されているといいます。

また、そのうち334件については、顧客の立会で検査する場合、冷房能力100%の運転を行っていないにもかかわらず、計測器を調整(目盛りをずらして)することで冷房能力 100%の運転を行っているように偽装し、顧客に事実とは異なる説明をしていました。

さらに、1986~2009年においては、6機種、2,944 台について、JISの基準を満たしていないのに準拠しているようにカタログおよび仕様書を偽装していたという事案も。

いくつか気になる タイミング

完全子会社化されたのが2021年7月末。事件が発覚したのが2021年8月末。妙に近いタイミングなのがちょっと気になりますね。ガバナンス強化を目的として川重冷熱工業を完全子会社化したということですが。発覚から公表までに要した時間も。

6/7付けで社長が交代してるんですが、不正が行われていた当時の前社長は冷凍機の設計者で、93年から不正を把握していたんだそうです。

ソフトブレーン株式をめぐりインサイダー取引 元内部監査室長ら4人起訴

東京地検特捜部は6/6、ソフトブレーンに関する株式公開買い付け(TOB)の情報を事前に知り、共謀し同社株を購入するインサイダー取引などをしたとして、同社の元内部監査室長を金融商品取引法違反と組織犯罪処罰法違反(犯罪収益収受)の罪で在宅起訴しました。

共謀者など

前回5月に当ブログでこの件を取り上げた際は、同社従業員から情報を得てインサイダー取引を行ったとして、医療ベンチャーの社長が逮捕されたというところまででした。そして今回は共謀者など新たに3人が起訴されたということです。

いやぁ、しかしインサイダー情報が漏れていたのが内部監査室長からだったとはねぇ。まぁ、取締役がインサイダーに手を染めたりするわけですから、内部監査室長でもありうる話ってことですか。しかし、企業におけるガバナンスやコンプライアンスの番人たるポジションですからねぇ。任命責任も含めてかなり重大な事件です。

6/3に証券取引等監視委員会が当件を告発しているんですが、内部監査室長以外は素性が明かされていませんでした。ところが6/7付けの日本経済新聞では軽く紹介されています。そのほかの2人というのがこれまた気になるんですね。

一人は85歳の税理士で、やはり内部監査室長の知人ということで、インサイダー情報の伝達を受けています。85歳にもなってまだ汚れた金が欲しいんですね。そしてもう一人が同じく内部監査室長から情報を得た41歳の接客業の女性(指名から推察して女性と思われます)。こんな濃い情報をもらえる立場にいる接客業の方ってどんな人?気になりますねぇ。

東京地検特捜部は4人について、その認否を明らかにしていないそうです。ソフトブレーンは監視委員会の告発に関してはコメントを公表していますが、かなり軽いタッチでした。

アイ・アールジャパンホールディングス  役員がインサイダー取引に関与?

日本経済新聞は6/6、「IRジャパン元役員、監視委が強制調査 不正株取引関与か」と報じました。同社の未公表情報に基づいて、知人が発注した不正な同社株の取引に関与した疑いがあるということらしいです。6/3付けでこの役員は一身上の都合で辞任したとのこと。

アイ・アールジャパンホールディングス

IRジャパンは、IR(Investor Relations:企業の投資家向け広報活動)・SR(Shareholder Relations:企業の株主向け広報活動)の両活動に専門特化したコンサルティング企業です。日本初のIR専門会社として設立された会社ですね。

元野村証券

強制調査を受けたのは元野村証券の方のよう。一身上の都合とやらで辞任された役員で調べると、この方は同やら副社長ですね。野村證券で20年以上修業を積み(最後は企業金融畑、役員経験はない模様)、2013年にIRジャパンに転職されています。

不正の概要

6/6にIRジャパンも「本日の一部報道について」を開示しており、「報道のとおり当社にて強制調査が行われたのは事実」であり、「当社の元役員が嫌疑の対象となっているものと理解している」とコメントしています。

昨年4月、IRジャパンの2021年3月期の決算発表で業績の悪化を公表。これを受け同社株式は急落、16,000円台の株価は翌日13,000円台になってしまいました。どうやら業績悪化を知人に伝え、発表前に売る抜けるよう仕向けた、、、みたいな感じみたいですね。

まだまだ詳細は分かりませんが、速攻で辞任されてるところを見ると、アウトなんでしょうね。今回は自社の重要事実をめぐるインサイダー取引ということですが、この会社は他社のIR情報にも通じてそうな会社だけに、、、余罪が出てきたりするんでしょうかね。株もストップ安だし。

持続化給付金詐取の疑いで逮捕 東京国税局職員に大和証券元社員も

新型コロナウイルスの影響を受けた事業者に国から支給される「持続化給付金」をだまし取ったとして、東京国税局の職員など7人が詐欺の疑いで逮捕されました。逮捕されたのは、東京国税局の職員や元職員、証券会社の元社員などいずれも20代の男女あわせて7人です。

大和証券?

逮捕された7人は、大学生などを中心におよそ200人に嘘の申請をさせ、あわせて2億円を不正に受給した疑いがあるといいます。一昨年、個人事業主を装い、新型コロナウイルスの影響で事業収入が大幅に減ったという嘘の申請をして、国の持続化給付金をだまし取ったという詐欺ですね。

この7人の中に大和証券元社員という報道がなされているわけです。7人のうちの一人、ということだけではなさそうで、ある放送局などは、「大和証券元社員の男が、持続化給付金の制度開始直後に不正受給の仕組みを提案していたことが新たにわかりました。」と報道しています。結構中心人物だったんでしょうか。

大和証券元社員の被告が、給付金の申請の受け付けが始まった直後の2020年5月下旬頃、不正受給した給付金を暗号資産の投資にあてる仕組みをグループの仲間に提案していたということです。この元社員とされる人物、犯行当時は大和の社員だったんでしょうかね。別の事情で退職済みだった本当の元社員であれば、メディアがここまで社名を出すとも思えません。

大和証券は

逮捕の報道を受けても大和証券ではこの件に関するコメント等を公表していません。おそらく臨時の取締役会でも開催して、コメントを出すかどうか検討くらいはしてるでしょう。犯行が行われた当時、元社員と同社は一切関係なかったのであれば、そういうコメントを出すべきではないかと思いますね。