三幸製菓 ずさんな労働契約 積水化成品工業でも火災

少し前のニュースになりますが、2月の工場火災で従業員6人が死亡した米菓メーカー三幸製菓が、パートだった4人に労働条件を記載した書面を交付していなかったというお話がありました。報道各社の取材に対し同社が文書で答えたということです。

回答の内容

火災で亡くなった4人に加え、「一部のパート従業員」である「10名程度」への書面の不交付を認めたとのこと。労働基準法は賃金や労働時間といった労働条件を、書面などで明示するよう義務づけており、違法の疑いがあるずさんな労働契約が常態化していたと報道されています。

工場火災の発生とは直接関係ないかもしれませんが、やはりルールを逸脱してパート従業員の生産性を優先するみたいな経営方針は、労働環境の悪化を招き、最後には工場火災発生やその際の対処への備えといったことへ色濃く影響しているような気がします。

積水化成品工業 工場火災

話は変わって積水化成品工業はゴールデンウイーク前の4/23、「株式会社積水化成品大分における火災事故について」を公表しました。発泡ポリスチレンシートの製造を行う株式会社積水化成品大分において火災事故が発生しました。鎮火までに5時間近くかかった火災事故です。

幸い人的被害はなく、建屋および生産設備の一部に被害を受けた程度ということです。そのためか、開示はこの1回のみで、発生原因等、詳細についてはまだ開示されていません。三幸製菓の例のように、直接的な原因にとどまらず、火災につながるガバナンス上の何らかの問題がなかったのか、しっかり調べてほしいものです。

知床半島沖の観光船沈没事故にみるリスク管理

北海道・知床半島沖で観光船沈没事故が起きてしまいました。現時点で14人が死亡、12人が行方不明となった海難事故。今さら多くの説明は不要と思われます。この事故から見えてくるリスク管理の問題は、昨今の企業の不祥事にも関連する要因がたくさんありそうな気がします。

コスト削減とリスク管理

まず最初に、運航会社が直前に多くの熟練従業員を解雇していたという話。コロナの影響で事業が振るわず、コスト削減のため、運航に必要な様々な場面で、多くの経験やスキルを持った従業員が解雇されていたということです。

通常通り運営されている組織というのは、一定の人員さえ確保していれば問題なく運営されるものです。ただし、そこへ通常とは異なる状況が発生した際に、頼りになるのは長年にわたり業務を見てきた熟練従業員の経験やスキルなわけです。

いざという場面に備えた(平時は不要かもしれない)装備。このような状況では出航させるべきではないという判断。航海中の異常に対する最善の対応。どれをとっても熟練従業員の知見と、トップに対する進言などがあれば、このような事態は避けられていたと思われます。

企業経営でも同じ

こんなふうに考えていくと、システム障害を繰り返して社会的な批判を浴び続けた銀行と、非常によく似た構図が生まれていたことが分かります。観光船の運航もシステムの運用も、経営が考えるより多くのコストがかかるもの。しかし、そのコストに見える部分は将来のリスク回避の保険でもあるわけですね。

システム障害に限った話ではありません。当ブログで取り上げる企業の不祥事の数々。コスト削減のために従業員を切り捨ててきたことが、事故や不祥事の原因となった事例はいくらでもあります。企業の経営陣には「他人事ではない事故」としてとらえる必要がありそうです。

ルーデン・ホールディングス株式会社 外部調査委員会を設置

ルーデン・ホールディングスは5/2、「外部調査委員会設置に関するお知らせ」を公表しました。同社子会社が行った初ICO時に調達したと認識していた BTC(ビットコイン) が手元に確認できず、また、BTC の調達方法は、投資家からの借入(消費貸借)だったことが判明したため、外部調査委員会を設置して事実関係を調査することに。

ルーデン・ホールディングス

ルーデン・ホールディングスは、住宅の壁・天井に抗菌性の高いコーティングを施すサービスと、ビルやマンションの管理・メンテナンスを中心に不動産開発などの事業を展開していた企業。もともとの事業が悪化し、あれやこれやと事業を多角化しています。東証グロース市場上場企業です。

事案の概要

子会社のRuden Singapore が ICO における新規発行トークン「ルーデンコイン」の販売により US$400,000 をその対価として取得すると共に、1,700 BITCOINを調達した。はずだったのに、その調達したはずのBITCOINが行方不明。調べてみたらBITCOINは借りてきたもので、既に返却済みになっていたとのこと。

なんじゃ、こりゃ。って事案です。で、この調達に関与していた同社の元取締役(他に事情を知っている人がいないとか)が、難病により契約の詳細等を聞くことが出来ず、調査が難航。外部調査委員会を設置することになったということのようです。

まぁ、どこまでが本当なのかもよく分かりませんが、美味しいファイナンスを実施したけど、調達したはずの金がドロンしちゃって、事情を知る元取締役が難病で入院。結末はだいたい想像できますね。この会社、株主無視とも取れる資本政策を繰り返して来たようですね。この先、相当ヤバいことになりそうです。ちなみに、同社の株価はわずか124円です。

G-7ホールディングス 代表取締役社長が逮捕

G-7ホールディングスは5/1、「当社代表取締役社長が逮捕された件について」を公表しました。同社代表取締役社長の木下氏が4/30に道路交通法違反(酒気帯び運転)の疑いで逮捕されたということです。翌日の5/2には、同氏の辞任が伝えられています。トホホな事件ですな。

G-7ホールディングス

G-7ホールディングスは、食のプロから一般消費者まで対象とした「業務スーパー」と、カー用品を扱う「オートバックス」のフランチャイジーとして、フランチャイズチェーン(FC)事業を主に展開する企業です。関東・中部・関西を中心に全国展開しています。東証プライム市場上場企業です。

逮捕容疑

開示では、「道路交通法違反(酒気帯び運転)の疑いで逮捕」としか説明されていませんが、この事件いくつか報道されていました。4/29 午後11時ごろ、神戸市西区の市道で、酒を飲んだ状態で乗用車を運転した疑いで逮捕されたんですが、兵庫県警によると、高級外車「ベントレー」で直前に民家2軒にぶつかる物損事故を起こしていたということです。

知人宅で飲んで、家に帰る途中で民家2軒にぶつかって、門柱とフェンスを傷つける事故を起こし、住民が110番通報して御用となりました。

木下社長は創業者の長男で、2019年に社長に就任してるんですね。いわゆる2代目のボンボンってヤツのようです。2代目がやらかしてしまうケースはよく目にしますが、酔っ払い運転で逮捕されました、、、ってのはあまりに情けなさすぎます。

実はkuniはこの会社の創業間もないころを知っているんですね。証券会社の営業をやっている頃、同社を何度か訪問したことがあります。当時はキノシタ商事という会社でした。30数年ぶりに見るこの会社のニュースがこんな事件だとはねぇ。

広済堂ホールディングス 子会社従業員による不正行為

広済堂ホールディングスは4/27、「当社子会社における不正行為発覚に関するお知らせ」を公表しました。連結子会社である東京博善株式会社において、従業員による不正行為が発覚したということです。東京国税局の税務調査の過程で発覚したといいます。

広済堂ホールディングス

広済堂ホールディングスは、印刷関連サービスを提供する情報セグメントを基幹に、求人媒体の発行などを行う人材セグメント、斎場を運営する葬祭セグメントを展開する東証プライム市場上場企業です。葬祭セグメントでは、東京都内で火葬場を併設した総合斎場を運営しています。

子会社である東京博善株式会社では、100年近くの歴史が育んだ総合斎場を都内6カ所で運営しており、1カ所の保棺施設を運営しているそう。

不正行為の概要

開示では、「東京博善の従業員が過去複数年にわたり、斎場内において金品を窃取していた事案が発覚した」と説明されています。東京博善は、不正を行った従業員に対する民事責任の追及、刑事責任の追及を視野に入れて、当該従業員から被害金額の回収に努めるとしています。

説明はこれだけ。斎場でこの従業員はいったい誰のお金を摂取していたんでしょう。ただの香典泥棒であれば、東京博善の資産や収益には影響しないだろうし、国税局の方からも見えない犯罪ですよね。なんだか不思議な事案です。

ホームページでは「火葬場内に『花の自動販売機』を設置」なんてニュースもあるので、こんなふうに顧客が東京博善に支払ったお金を摂取していたということでしょうかね。そういわれてみると斎場には売店やらお食事処みたいなのもあったような気もします。

今回の開示ではその被害金額等については一切説明されていませんが、何やらこの開示ですべてを終わらせるような雰囲気です。業績に与える影響は軽微であり、2022年3月期の業績予想
に変更はないとしています。