日本製鋼所 検査データ不正(その2)

日本製鋼所は5/9、「当社子会社の一部製品における品質検査の不適切行為の判明と特別調査委員会の設置について」を公表しました。子会社の日本製鋼所M&Eが生産した鉄鋼部材で検査不正があったという事件ですね。昨日に続いて(その2)です。

子会社?

子会社での検査不正として公表され、メディア等でも子会社で、という報道がなされています。が、しかし、この日本製鋼所M&Eなる会社、設立は2020年4月なんですね。この時、日本製鋼所の素形材・エネルギー事業と風力発電機器保守サービス部門、並びにグループ会社4社を統合して発足しています。

これに対して、今回明るみに出た検査不正は、「遅くとも1998年から、繰り返し継続的に実施されていたことを確認している」、と公表されています。そう、この不正はもともと日本製鋼所本体の中で繰り返してきた不正だという可能性もあるわけです。

考えようによっては本体で行われてきた不正を察知し、当該部門を切り離して別会社化したように見えなくもありません。これは穿った見方過ぎかもしれませんが、少なくとも子会社での出来事で済ますべき事象ではなさそうです。

株価の方は

同社株価については、公表のあった5/9、3,025円まで700円下げ、ストップ安まで売られました。翌日5/10も2,500円台まで500円近く売られる展開に。相場全体が弱いことも影響してるでしょうが、最近の不祥事が株価に与えるインパクトはかなり大きくなっているような気がします。

上記の通り、実質的には日本製鋼所で行われてきた検査不正ではないかということを、投資家は嫌ったようにも見えますね。ちなみに、今回不正のあった対象製品は発電所に納入されてきた製品なんですが、原子力発電所には納入されていないということです。

日本製鋼所 子会社で検査データ不正

日本経済新聞は5/8、「日本製鋼所子会社、鉄鋼部材で検査データ不正 火力発電向け」と報じました。子会社の日本製鋼所M&E(北海道室蘭市)が生産した鉄鋼部材で検査不正があったということです。この時点で親会社も子会社も何の開示も行っていませんでした。

日本製鋼所

日本製鋼所は原子力や火力、水力などの各種発電設備で使われる大型鋳鍛鋼や、各種鋼板、圧力容器など、エネルギー産業を支える鉄鋼関連製品を手掛ける大手メーカー。ミサイル発射装置など、防衛関連機器の製造・販売も手掛ける東証プライム市場上場企業です。

不正の概要

火力発電所で使うタービンの軸材であるロータシャフトなどにおいて、顧客との契約で示した品質基準を満たしていないのに、検査データを書き換え、基準を満たしているように装っていたということです。顧客に示した検査をしていないのに、検査したように装ったケースもあったそう。

不正は2000年ごろから続いていたようで、今年に入って日本製鋼所M&E社内からの指摘で発覚したとしています。既に外部の弁護士らによる第三者委員会を設置して詳しく調べているようです。

順番がめちゃくちゃ

これらの報道を受け、日本製鋼所は5/9早朝に初めて報道されたことが事実であることを認める開示。同日に開催された取締役会で審議し、12:25になってやっと正式な開示が行われました。

一連の流れ、そもそもは読売新聞の取材に対し、5/7に日本製鋼所の幹部が不正を認めたということらしいです。順番がめちゃくちゃですね。メディアにリークしたのちに取締役会で審議。もうこれ以上は隠し通せません・・・みたいな感じでしょうか。

オリジン東秀 従業員の迷惑行為

オリジン東秀は5/5、「当社従業員の迷惑行為について」を公表しました。同社従業員が、2月20日深夜に、キッチン DIVE 亀戸店にて、商品破損を伴う迷惑行為を行っていたとのこと。再発防止に向け、全従業員に対し、改めてコンプライアンス教育を行っていくとしています。

オリジン東秀

オリジン東秀は弁当、惣菜販売を主体事業とするオリジン事業(「キッチンオリジン」「オリジン弁当」「オリジンデリカ」)、飲食業を主体事業とする外食事業(「れんげ食堂Toshu」「中華東秀」)の店舗を運営する企業。もともとは東証2部上場企業でしたが、2006年にイオン傘下に入り上場廃止となっています。

迷惑行為

都内にある24時間営業の弁当店であるキッチン DIVE 亀戸店に6人の男性が入ってきて、商品をたたきつけるなどの行為を行ったといいます。その行為はYouTubeでライブ配信されていたんですね。この6人の中に近所のオリジン弁当の従業員がいたということらしいです。

しかし、これって2/20深夜の出来事だったみたいです。なんで2か月以上経って話題になったんでしょう。

キッチン DIVEは、ライバル店の従業員による営業妨害器物破損事件として、オリジン弁当に対して事実確認と再発防止のお願いしたものの、これにオリジン東秀は適切に対応せず。弁護士を通じた書面のやり取りを経てやっと、オリジン東秀が謝罪するに至ったということのようです。

この事例、現場での苦情が本社の所管部署に正しく上がっていなかったことが、2か月以上の時間を要した原因らしいです。まぁ、これもオリジン東秀側の言い分ですが(公表された文書にはこの辺りのことは書かれていません)。

東亜石油株式会社 製品試験に関する不適切行為 調査委員会を設置

東亜石油は5/6、「当社 京浜製油所における製品試験に関する不適切行為について」 を公表しました。親会社である出光興産も同日の同じ17時に、「当社子会社における製品試験に関する不適切行為についてのお知らせ」を公表しています。

東亜石油

東亜石油は、出光興産グループの石油精製会社です。受入れた原油を、ガソリン、灯油、軽油、重質油などに精製し、グループの東日本地区に供給する役割を担っています。高い重質油分解装置能力が強みだそうです。2005年に出光興産の子会社となった、東証スタンダード市場上場企業です。

行為の概要

最近毎月のように発覚している認証不正と同様ですね。①定められた測定頻度又は試験方法を遵守していない。②実際には測定していないにも関わらず、試験成績表に記載している。といった不正が行われていました。

対象となる製品は
・1号ガソリン・2号ガソリン・3号軽油・ノルマルヘキサン・ノルマルへプタン
・ベンゼン・プロピレン・ブタン・ライトサイクルオイル
・溶剤(3 品目) の12品目と説明されています。

例によってですが、出荷した対象となる製品の品質については、様々な関連項目において品質を全て確認し、安全上問題ないことを確認できているとのこと。安全性の問題なしとのことですが、性能面の問題はどうなんでしょうね。いつからいつまで生産された製品がその対象なのか、についても言及されていません。

同社は本件を重大に受け止め、外部有識者を含む調査委員会を設置し、事実関係の調査と原因究明に全力を挙げていくとしています。調査結果を待ちましょう。しかし、日本の歴史のある企業における製品検査に関する不正、止まりませんね。

オウケイウェイブ 債権の取立不能または取立遅延に関し調査委員会を設置

オウケイウェイブは5/6、「調査委員会の設置及び2022年6月期第3四半期決算発表の延期に関するお知らせ」を公表しました。同日に、「(開示事項の経過)債権の取立不能または取立遅延のおそれのある取引先への対応に関するお知らせ」も公表しています。

オウケイウェイブ

オウケイウェイブは、Q&Aサイト「OKWAVE」を中心とするサービスを提供する企業。「OKWAVE」は利用者が投稿した質問に対して別の利用者が回答し、「Oshiete(教えて)」と「Kotaeru(答える)」を結びつける仕組みなんだそうです。名古屋証券取引所ネクスト市場上場企業です。

債権の取立不能または取立遅延

オウケイウェイブは約1年前から、Raging Bull合同会社という運用会社に資金運用を委託していたようです。で、その運用会社が倒産して、委託していた運用資金が回収できなくなったというお話。そもそも委託した資金が3,429百万円で、約1年間の収益(運用成果)が1,503百万円。合計4,933百万円が返ってこなくなったと。

Raging Bull合同会社はオウケイウェイブとの契約にもかかわらず、定められた運用をしていなかったいうことらしく、刑法上の詐欺罪に該当する可能性が高いとして、捜査機関と連携の上、違法な行為をした者及び加担した者に適正な処罰がなされるように手配をしていくとしています。

何とも奇妙な事件ですね。34億円運用委託してわずか1年での運用収益が15億円?。運用利回りは約44%になります。これってどんな運用してたわけ?って感じです。この「運用」とやらのからくり、委託したオウケイウェイブ側の担当役員も十分わかっていたと考えるのが妥当ですよね。

このオウケイウェイブという会社、子会社で会計不正だの、元社長がインサイダーだの、辞任だの。と、いろいろやらかしてきたみたい。現在株価は100円ちょっと。なんだか相当ヤバいことになってきてます。