西武ホールディングス 西武建設 ホテルなどを売却

西武ホールディングスは2/7、「一部報道について」を公表しました。複数の報道機関が、同社連結子会社であるプリンスホテルが所有するホテル・レジャー事業の一部資産の売却に関し、相手先、対象施設数、売却額等について報道しており、これを受けたものです。そして2/10には、GICと基本協定書を締結したことを正式に発表しています。

西武建設

今回の報道に先立ち、1/27には、傘下で住宅建築などを手がける西武建設を電気や建設工事を手掛けるミライト・ホールディングス(HD)に売却することを発表しました。昨年10月に売却に関する報道が先行し、同社は今回同様否定していました。それが実現したわけですね。

資産の売却

プリンスホテルやレジャー施設など、プリンスホテルが国内で所有する76事業所の約4割にあたる国内の31カ所を、シンガポール政府系投資ファンドのGICに売却するというもの。売却額は1,500億円規模となる見通しだそうです。資産を減らして経営効率を高めるという同社のこれまでの方針通りの展開です。

今回売却の対象となるホテルは十数件らしいです。「サンシャインシティプリンスホテル」、「ザ・プリンスパークタワー東京」、「札幌プリンスホテル」、「グランドプリンスホテル広島」などです。ただし、売却後もこれら施設の運営を受託するみたい。

このところ日本のホテルやビルなどが外資系ファンドなどに、どんどん買われていってます。資産を見直して、より効率よい経営を、ということなんですが、なんだか寂しい話ですよね。バブルのころは今とは全く逆に、日本企業による海外資産の買収が盛んに行われていました。やっぱ、これも、、、時代なんですね。

株式会社アウトソーシング 再発防止策の中で特筆してお伝えしたい事案

グループ17社において会計不正が発生したアウトソーシング。調査結果報告書を開示し、1/14には、四半期報告書を提出し、併せて「再発防止策の策定等に関するお知らせ」も公表。一旦当事案に関しては終結していました。

再発防止策の中で特筆してお伝えしたい事案

その後1/17、「適時開示した再発防止策の中で特筆してお伝えしたい事案」という文書を公表していました。適時開示はされていないので、kuniも見落としていたんですが、同社ホームページで公表されています。

「再発防止策の中で特筆してお伝えしたいこと」。パワーポイントでまとめられた文書で、次の項目からなっています。①内部通報制度の見直し、②トップ主導の社内風土改革、③コンプライアンス意識の改革、再発防止策の徹底、④事業計画・数値目標について。

適時開示する再発防止策が形式ばったものになりがちなのに対し、この文書では経営の心意気というか、本気度みたいなものも感じられます。特に②、③については、「経営トップである私、土井みずからが責任をもって」という表現で語られているんですね。

代表取締役 土井さん

土井さんは代表取締役社長兼会長。経営トップが改革の意思を明示しているところが良い感じ。発生した不祥事が自らの責任であることも認めているからこそ、こういう表現をされたんだと思います。

末端の従業員を切ってお終い。外部講師によるコンプライアンス研修を・・・みたいな、経営者自身の覚悟が疑わしい再発防止策が多いなか、同社のこの「再発防止策の中で特筆してお伝えしたい事案」、なかなか新鮮でした。

グローリー株式会社 従業員の不正行為 調査委員会を設置

グローリーは2/9、「社内調査委員会設置に関するお知らせ」を公表しました。同社は、従業員による資金詐取判明後、ただちに部門横断的な役職員で構成される社内調査チームを結成し、本件に係る調査を開始していましたが・・・。

おさらい

グローリーは2/4、「第3四半期決算発表延期に関するお知らせ」を公表し、「国内連結子会社において従業員による資金詐取の疑いが判明したため」とだけ説明していました。

決算発表ギリギリのところで同不正行為が発覚したための延期であり、資金詐取という事案の重大さよりは、タイミングの問題かという印象の方が強かったですね。が、しかし、やはり社内調査委員会の設置ということになりました。

社内調査委員会

同社監査等委員を委員長に、総務担当役員、経理・財務担当役員を二人の委員とする社内委員会の設置。さらに公正かつ透明性が担保された調査を実施すべく、調査委員会の履行補助者として外部の弁護士及び公認会計士を加えた体制になります。

にわかに事の重大さを印象付ける展開になってきましたね。SNSとかでは、「パワハラ、モラハラ過労で、会社に不満がある従業員が精神的に追い詰められて」、、、なんて指摘も(あくまでSNSのおはなしです。事実関係はまったく分かりません)。

一時期めちゃくちゃ成長した企業が、時代の変化とともに凋落(もしくは停滞)していく状況。組織の中では様々な不協和音が起きやすいです。kuniもバブル崩壊後の証券会社でいろいろ経験してきました。

熊本産アサリ 産地偽装か

2/1付け日本経済新聞に、「熊本産アサリに外国産混入か 農水省、産地偽装で調査」という記事がありました。年初にサガミホールディングスにおける食品偽装の記事を書きましたが、産地偽装の事案がまた出てきました。

記事の概要

農林水産省が、熊本県産と表示していたアサリの大半について、外国産が混入していた可能性が高いと発表しました。実際の漁獲量を大幅に上回る量が同県産として販売されていたことがわかり、産地偽装の疑いがある輸入業者や卸売事業者などに立ち入り検査し、実態把握を進めるというもの。

生鮮アサリを販売している小売店829店舗から50点を買い上げてDNA分析したところ、熊本産と表示していた31点のうち、30点で「外国産が混入している可能性が高い」との判定が出たそうです。

アサリの産地認定

産地表示の制度には妙な特徴があるんですね。国の食品表示基準では、輸入したアサリでも、国内の干潟などで成育した期間が原産国より長い場合は「国産」と表示すると定めているんだそうです。

実際に有明海などで成育し、熊本県産に表示されるアサリもあり、これをDNA分析した結果、外国産と判定されても、産地偽装にはならないんです。そのため日経が書いたように、「外国産が混入している可能性が高い」としても、ただちにアウト、というわけでもないみたいです。

そのため、疑いがある輸入業者や卸売事業者などに立ち入り検査し、実態把握を進めるという、地道な作業を続けるしかない、ということなんでしょうね。

有沢製作所 従業員の不正行為

少し前になりますが、有沢製作所は1/31、「当社子会社従業員による不正行為に関するお知らせ」を公表しました。最近増加してますねぇ、従業員の不正行為。いや、役員の不正行為の方が目立ってるかも。

株式会社有沢製作所

有沢製作所は、100年を超える歴史を持ち、カバーレイフィルム・積層板・層間接着シートなどのプリント配線板材料や、産業用構造材料、電気絶縁材料、ディスプレイ材料等の製造事業に展開している企業。

主力の電子材料事業は表面処理技術、各種熱硬化性樹脂に各種変性剤・薬品を組み合わせる配合技術、樹脂コーティング技術、ラミネート技術を駆使してリジットおよびフレキシブルのプリント配線板用材料を開発・製造、電子材料専門メーカートップの実績を誇ります。新潟県上越市に本社を置く東証1部上場企業です。

不正行為の概要

同社の子会社の従業員が、今年7月から11月にかけて、会計伝票を操作することにより銀行預金の過大払い出しを行い、私的流用を行っていたとのこと。被害総額は73百万円だそうです。そのうち18百万円は当該従業員により既に弁済を受けています。

「同社子会社」としか説明されていません。どこでしょうね。同社の連結子会社は国内で見ると、サトーセン、アリサワファイバーグラス、プロテックインターナショナル、有沢総業、有沢樹脂工業、カラーリンク・ジャパンの6社。

海外子会社の場合はそれを明示するのが普通ですから、おそらく今回の不正が発生したのは上記国内6社のいずれかだと思われます。

当該従業員に対しては、既に懲戒解雇処分を行っており、刑事告訴を視野に入れつつ、責任の追及を進めているとしています。