イー・ガーディアン グレスアベイル 調査結果を公表

イー・ガーディアンは11/11、「調査委員会の調査報告書の受領および役員報酬の減額に関するお知らせ」を公表しました。グレスアベイル元代表取締役による、不適正な支出行為、不適正な債務負担行為、及びこれらに連動する粉飾行為が確認されたとのこと。

取締役の不正行為

グレスアベイルをイーガーディアン子会社と合併させるにあたり、グレスアベイル社の増資等に応じる形で出資し、その現金を同社代表取締役が不正に横領したという形のようですね。増資を引き受けることで払い込まれた金額は総額 299,700 千円だそうです。

当時のグレスアベイル代表取締役に対しては、調査委員会も一切聴取等ができていない様子で、調査結果についても確証が取れていないみたいです。そのため、不正に詐取された金額についての総額については調査報告書でも明示されていません。

業績への影響額について表示している一覧表で、第24期(直近期)の「現金及び預金」の額が1億3,300万円マイナスとなっており、初報時点での不正金額の総額と一致していますので、これが現時点での代表取締役による不正行為の総額ではないかと思われます。

デューデリジェンス

これって、結局はグレスアベイルを買収しようとした際の値踏みが間違っていたということですね。「増資引受後のGA社の業績が低迷を続けており、またGA社の技術力や代表取締役の営業力が当社の想定ほどに高くないことが明らかとなってきた」、、、なんて表現もありました。

グレスアベイルの実力や、同社の代表取締役について、完全に見誤っているわけで、イーガーディアンの買収という経営判断の失敗をもっと明確にするべきですかね。代表取締役社長の報酬の 20%減額、専務取締役の報酬の 10%減額、は少々甘すぎるかと。

スマートバリュー サイネックス 公正取引委員会による立入検査

地方自治体が発注するウェブサイト管理システムを巡り、競合他社の参入を妨げた疑いで、公正取引委員会は情報システム開発のスマートバリュー、サイネックスの関係先を独占禁止法違反(不公正な取引方法)の疑いで立ち入り検査しました。

スマートバリュー

スマートバリューは、公的手続きのオンライン化を推進する「デジタルガバメント」と、クルマに関するデータ利活用を支援する「モビリティ・サービス」からなるクラウドソリューション事業を手掛ける東証1部上場企業。

サイネックス

サイネックスは、50音別電話帳「テレパル50」などを発行し、広告枠の販売を収益とする出版事業が中核。このほか、インターネットの地域情報サイトなどを運営するICTソリューション事業、ロジスティクス事業などを展開する、こちらも東証1部上場企業です。

疑われている不公正な取引方法

自治体がウェブサイトの編集や更新に使う、コンテンツ管理システム(CMS)。誰でも利用可能なオープンソースのソフトウエアを使って開発する業者が多いようですが、スマートバリューはオープンソースを使わず、自前でCMSを開発する企業。

そこで両社は複数の地方自治体に対し、事業者の提案を総合評価する「プロポーザル方式」で受注企業を募る際の仕様書に、オープンソースのソフトウエアを使っていないCMSであることを要件に盛り込むよう働きかけていたようです。このことで、オープンソースを利用する企業の取引を妨害した疑いがあるということです。

オープンソースを利用することで安価で構築できる(多くの企業が競える)という面と、オリジナルのプログラムでセキュリティを堅牢にできるという面。両方一理あると思われます。この案件の審議はかなり難しいものになりそうです。

東急建設 今期赤字転落

東急建設は11/8、「第2四半期決算短信」と「業績予想の修正に関するお知らせ」を公表しました。この業績に関する開示、今期経常利益を一転赤字に下方修正というもので、公表翌日の株価は683円の121円安と売られてしまいました。

おさらい

以前、当ブログでも取り上げましたが、同社が代表企業である共同企業体が施工中の「相鉄海老名駅改良工事」において、基礎杭が沈下する事象が発生しました。基礎杭に先端不良が確認されたということでしたね。

業績予想

第2四半期累計(4-9月)の連結経常損益は71.5億円の赤字(前年同期は16.8億円の黒字)に転落。また、通期の同損益を従来予想の73億円の黒字→33億円の赤字(前期は48.9億円の黒字)に下方修正し、一転して赤字見通しとなりました。

業績予想の修正の理由を読むと、「施工中工事における基礎杭の先端不良に係る損失見込み額を計上したことに加え、過年度に引渡した土木工事において、隣接地に敷設した本来撤去すべき仮設物が残置されていたため、当該撤去費用の見込み額を計上したこと、及び過年度に引渡した一部の建築工事において、施工不具合による瑕疵補修費用の増加額を見込んだことなどにる」と書かれています。

海老名駅改良工事の件が大きく影響してるんでしょうが、他にも過年度に引き渡した建築工事において、施工不具合なんかが出てきてます。工事損失引当金が6,228百万円、完成工事補償引当金が1,582百万円といいますから、過年度分もそこそこ大きいですね。

海老名駅の件にしても、基礎工事の段階で工事スケジュールが先送り。引き当てについてはどこまで見込んだのか分かりませんが、今後さらに原価が上昇していくなんてこともあるかもしれません。

グレイステクノロジー 不正会計で特別調査委員会を設置

グレイステクノロジーは11/9、「特別調査委員会の設置及び2022年3月期第2四半期決算発表の延期に関するお知らせ」を公表しました。会計処理の適切性につき外部からの指摘を受け、不適切な会計処理が行われていた疑念があることを認識したといいます。

グレイステクノロジー(6541)

国内・国外の各種産業機械やソフトウエアメーカーを顧客とし、製品に付随する操作系および運用系の技術マニュアル、さらに企業内で使われる業務マニュアルの制作・翻訳・電子化など、マニュアルに関わるサービスを手掛ける企業です。2016年12月に上場しています。

不正会計の概要

事実経緯の確認のために社内調査、検討を進めた結果、一部の取引について、2017年3月期から2022年3月期第1四半期までの期間において、会計処理の適切性に疑念があることを認識したということです。ちょうど上場する頃も含まれますね。

会計処理の適切性等につき深度ある調査、検証を実施するため、同社と利害関係を有しない外部の専門家を委員長とし、外部の専門家で構成される特別調査委員会を設置しました。併せて2022年3月期第2四半期決算発表の延期も公表しています。

株価が、、、

開示された情報は以上なんですが、株価が凄いことに。開示直前の11/9の株価は1,000円ちょうど。開示後2日間ストップ安で、この記事を書いている段階では550円ストップ安売り気配です。不適切な会計処理の話題でここまで売られるのは珍しいですね。

SNSなどでは「架空売上」やら「架空循環取引」を指摘する声も。株価の動きをみると、これくらいのこと、出てくるのかもしれません。信用買残220万株かぁ。辛いなぁ。

住友ゴム工業 調査委員会の調査結果

住友ゴム工業は11/9、「品質管理に係る不適切事案に関する調査委員会の調査結果と今後の対応について」を公表しました。加古川工場での防舷材検査と、南アフリカ子会社でのタイヤ生産における検査の不正に関する調査です。調査期間は約3ヶ月でした。

加古川工場 防舷材検査

別件の不適切事案を機に、全社一斉に不適切事案の点検を行ったところ、ハイブリッド事業部の担当者から、「以前から防舷材の検査データを改ざんして出荷してきた」という申告があったことで発覚したようです。この検査不正は30数年以上前から連綿と行われ続けてきていたといいます。

合格基準に達しなかった製品の一部について、検査データを改ざんした上で出荷。定められた試験方法を拡大解釈し、独自の試験方法によって合格させた製品を出荷。といったことが行われていたとのこと。

南アフリカ子会社 乗用車用タイヤ

検査規格について、顧客の承認を得ず、住友ゴム工業の承認を得ることもなく、現場の判断で変更(緩和)していた。製品のスペックの一部について、正規の変更手続(住友ゴム工業の承認)を経ず、顧客に対する事前説明も行わないまま、現場の判断で変更していた。

不正の概要は以上のような感じです。南アフリカ子会社での不正なんですが、この不正、日本人の首席駐在員の指示により行われていたようです。この方、住友ゴム工業本体の役員も務められた優秀な方なんだけど、中国駐在時に不祥事報告義務違反及び従業員へのハラスメントで降格処分を受けてます。

住友ゴムとしては、この方を生産技術の面では卓越した能力を有すると評価し、再起させるべく南アフリカ子会社に派遣したということです。見事に裏切られた格好ですね。不祥事やハラスメント、従業員はともかく、役員は復活させるべきではありません。