大豊建設 従業員の不正行為 外部調査委員会を設置

大豊建設は1/19、同社従業員による不正行為が判明したと公表しました。外部の公的機関による調査の過程で発覚したとしています。不正行為の事実関係等を明らかにし、再発を防止するため外部調査委員会を設置し、調査を進めるようです。

不正の概要

不正が発覚したのは東北支店と大阪支店。それぞれの従業員が、一部の取引において複数の工事下請け業者に対し契約金額を水増しした発注を行い、水増し分を同業者にてプールしてもらったうえで、同社が発注する別工事の工事代金に充てるよう依頼していたとのこと。

社内調査で判明した概要。不正行為は2016年3月期から2021年3月期までの期間行われています。今年1月時点で判明した、水増しした売上の総額は約266百万円だそうです。

これ、まんま2回目

大豊建設では2017年にも、東京本社や大阪支店で、架空発注・水増し発注により工事費約230百万円を不正に支払わせていたという不正が発覚しています。この時も第三者調査委員会を設置して調査をしていますが、今回の不正と期間が一部被っているようですね。

当時の会長の指示によるものではないか。とか、会長への資金還流を目的としていたのではないか、といった疑惑もありましたが、結局どちらも証拠は発見されず、会計処理の問題。つまり、下請け業者との間の利益調整に関する手続き面での瑕疵。ということで終わっています。

極端に短期間な調査期間

そして今回の従業員の不正。今のところプールした資金が誰かの懐に還流したのかどうか分かりません。開示の内容も妙に曖昧な書き振りにとどまっています。そして気になるのが調査期間の想定。調査期間は2月初旬までと見込んでいるとのこと。

実質3週間弱ですね。四半期報告書の提出日程に合わせてるんでしょうが、今回もまた踏み込み不足で終わらせるんでしょうか。

わらべや日洋ホールディングス 社内調査委員会設置 ソシアリンクの全事業撤退

わらべや日洋HDは1/18、ソシアリンクの一部事業を譲渡したうえで、全事業から撤退することを公表しました。あわせて今回問題となった出入国管理及び難民認定法(入管法)違反に関して社内調査委員会を設置し、より客観的かつ専門的な事実関係の調査を行うとしています。

株価にはびっくり

千葉地方検察庁により起訴されたのが1/5。当ブログでは1/7に取り上げましたが、同日に好決算を発表。翌日株価は200円近く急騰し、1,642円を付けています。今週は1,700円台も。。。上手くやりましたね。ネガティブなニュースが出たとたんに好決算の公表。ブラック企業の評判、見事に打ち消しました。

株価が上げて見せることには、このニュースはたいして悪材料ではないんだ、とか、世間はあまり気にしてないんだ、、、といった具合に社会的評価を改善する効果があります。

セブンが動きましたね

前回の記事で、セブンイレブンは主要取引先として、筆頭株主として、わらべや日洋に対して開示の仕方等を指導するべきと書きました。早速セブンが指導し始めたんでしょうね。好決算を開示してバッドニュースを打ち消し、社内調査委員会を設置して徹底的に調査。

そして、二度と起こされては困る不祥事。子会社ごと抹殺して事態の完全収拾を図った、、、ように見えます。さてさて企図した通りになりますやら。子会社が腐るのは親会社が腐っているからです。濁った水は高いところから低いところに流れるだけなんですね。

とまぁ、想像も織り交ぜ悪態を付きましたが、ここまでの対応は形式的には合格点だと思います。問題は本気で取り組んでいるかどうか。親会社まで含めて膿を出し切れるかどうかです。社内調査委員会の調査結果を待ちましょう。

国税職員の不正・不祥事 人間関係の希薄化が原因

1/18付け日本経済新聞に「国税職員の不祥事相次ぐ」という記事がありました。昨年は確かに国税や税務署職員の不祥事をよく見たような気がします。それでも記事によると件数自体は例年と大差ないらしいです。ただ、不祥事の内容が酷すぎるということのようですね。

2つの事例

記事で紹介されていたのは、甲府税務署の20代職員の事例。大学生と共謀して持続化給付金をだまし取った疑いで逮捕されています。250件の虚偽申請に関与しているとか。さらに、愛知県警の家宅捜索で乾燥大麻まで出てきたというあの事件です。

もう一件は、不動産取引で消費税の還付を不正に受けたとして、札幌国税局の職員が逮捕された事例。こちらは45歳の職員ですね。この職員も昨年夏に大麻を栽培、密売したとして逮捕、起訴されています。どちらも国税職員としての専門性を悪用しています。

発生の原因

この記事の中ではある現場職員の話として、「人間関係の希薄化」をあげていました。この意見にはkuniも賛成です。新型コロナの影響で人と人との距離感が大きく変化しました。組織で働く者は、組織の中で上司や同僚から受ける「牽制」を意識するものです。

この牽制がうまく機能していることで、一人一人のルール遵守が担保されてきたのは事実だと思います。その牽制が有効に機能するための人と人との距離感が変化してしまいました。リモートワークしかり、職場でのウェブ会議しかり。職場で飲み会がなくなってしまったことも。

こうした状況はまさに不正を働く機会が増加したということであり、さらに、発見しにくい環境も出来てしまっているということだと思います。不正・不祥事がより発生しやすくなっていますし、より発見しにくくなっているのです。管理職の方はまずこの現実を直視する必要があると思います。

朝日放送グループHD 朝日放送テレビ 従業員のインサイダー取引

朝日放送グループHD子会社の朝日放送テレビ株式会社の社員1名が、重要事実の公表前に社外に情報を提供するとともに、自らもインサイダー取引を行い、利益を得ていたことが分かりました。証券取引等監視委員会は情報受領者とあわせて2名に対する課徴金納付命令を発出するよう勧告しています。

インサイダー取引の概要

朝日放送グループHDの開示ではよく分かりませんが、同社の認定放送持株会社体制への移行という情報と、株式会社ディー・エル・イーの第3者割当増資引受による子会社化という2件の別々の内部者情報を巡る事件です。

「認定放送持株会社体制への移行」については、当該情報が公表されたのが平成29年2月8日。もう一方の「ディー・エル・イーの第3者割当増資引受による子会社化」については、情報が公表されたのが令和元年(平成31年)5月10日です。

つまり、約2年間の間に同じ従業員が、当時の朝日放送株式については知人に情報伝達して儲けさせ、ディー・エル・イー株式については知人のみならず、自分自身も儲けました。というお話なんですね。課徴金の額は、同社従業員が451万円、知人が305万円となっています。

開示された情報

ここまでのお話は監視委員会の報道発表をもとに書いています。当の朝日放送グループHDの1/15の開示ではここまでのことは分かりません。というか、開示情報の書きぶりでは、同社子会社の朝日放送テレビの従業員が、一度だけインサイダー取引規制違反をしたかのように見えますね。

明らかに別の重要事実ですし、その公表時期も全く違う事件なんですから、もう少し書きようがあるんじゃないかな。知人に儲けさせてもお咎めがなかったので次の機会では自分も、、、みたいな事件の悪質さ(再犯である事実)を隠したいという意図が感じさせる開示です。

グルメ杵屋(9850) 労働基準法違反により書類送検

グルメ杵屋は1/13、連結子会社である株式会社グルメ杵屋レストラン、他1名が労働基準法違反の疑いで大阪労働局より大阪地方検察庁に書類送検されたことを公表しました。連結といえば聞こえはマシですが、ど真ん中の主力事業会社です。

グルメ杵屋

グルメ杵屋レストランは売上で6割を占める主力事業。うどんの杵屋、蕎麦のそじ坊、おらが蕎麦、明月庵田中屋などを展開している会社です。FC店舗まで含めると350店舗もあるんですね。

外食産業ですから、コロナの影響で売上は大きく低下していますが、コロナ前の2019年4月~12月までの月次売上を見ても、前年同月比マイナスの月がほとんど。プラスになったのは5月と6月のみです。かなり苦しんでますね。通期では10億円を超える赤字となっています。

違反の内容

2020年1月22日、グルメ杵屋レストランにおいて、労働基準法に定める上限を超える労働時間があったとして、大阪労働局による捜査を受けています。捜査の結果、2019年4月1日から12月31日までの間において、大阪府内5店舗の従業員12名に対し、36協定で定める延長時間を超えて、違法な時間外労働を行わせたとして書類送検されました。

先ほどの月次売上で見た通り、なんとしてでも20年3月期を黒字にするために、、、といった具合でかなり厳しい営業を強いられていたものと思われます。同時期のブラック企業番付みたいなサイトで見ると、グルメ杵屋は堂々の23位にランキングされていました(まったく別のサイトからのデータですので信憑性のほどは何とも、、、)。

「労務問題対策委員会」を立ち上げるとともに、外部のコンサルティング会社に依頼して労務・法務の専門家等による「第三者委員会」も設置したとのこと。ネットでブラックと評判が立っている時点で経営は何を考えていたんでしょうね。おそらく調査報告書は開示しないんでしょうね。