TICAD アフリカ開発会議

8月28日、第7回のTICAD:アフリカ開発会議が横浜で開催されます。日本が主催するアフリカ開発をテーマとする国際会議で、「Tokyo International Conference on African Development」が正式名称です。略称の方は(ティカッド)と読みます。この会議、日本・アフリカサミットなんて呼ぶこともあるそうです。

これまでの歴史

1993年に第一回会議が東京で開催され、ここまで6回開催されています。第5回までは5年ごとに開催されてきましたが、第6回からは3年ごとに短縮されています。第1回から第3回までは東京で、第4回、第5回は横浜で開催されています。第6回は初めてケニアでの開催でした。そして今回は横浜での開催となります。

このTICADと同様の機能を持つ、FOCAC(中国・アフリカ協力フォーラム)というのもあります。こちらは中国が2000年から開催している公式フォーラムです。日本も中国もアフリカが持つ将来のポテンシャルに期待し、こうした会議体を通じて様々な支援等をしているわけです。このところは完全に中国に主導権を握られているという感じですけどね。

アフリカ消費市場の誤算

こちらは7/29付け日本経済新聞の記事「中間層はどこにいる アフリカ消費市場の誤算」で書かれていた記事です。何回かこの会議を取材してきて、アフリカに進出していった企業が、いつの間にか撤収していることが多いんだそうです。記事では即席麺の日清や東洋水産の撤退が例にあがってました。

アジアで見てきた各国の経済成長では、貧困層は中間層へと移行し、その中間層が巨大な消費市場を生んできました。ところがアフリカでは貧困層が社会の圧倒的な多数を占める状況に変化がないということらしいです。アジアと同じアプローチでは上手くいかないみたいです。層の厚い低所得層を粘り強く掘り起こしていく必要があると伝えています。

中国、インドに続いて人口ボーナス期に入っていくアフリカ。明らかに次の時代の、世界の成長センターとなるはずです。2050年には世界人口の4分の1を占めるだろうと言われる巨大な市場。どんなふうに消費市場を構築していくのか、TICAD7も含めて、これからもウォッチしていきましょう。

高齢化 認知症 BPSD

日本経済新聞が行った小池知事へのインタビュー記事。先週の記事だったと思います。超高齢社会に備え、都内で認知症対策を加速する考えを表明されてました。

「これから東京で加速度的に高齢化が進む。認知症対策は重要な課題だ。認知症患者の9割が発症する、暴言や介護の拒絶などBPSDは症状を点数化、見える化する。データをつくって医者や介護福祉士など複数の職種による総合的なケアにつなげていく」

こんなことを語ってたんですね。BPSDという言葉は残念ながら知りませんでした。で、さっそくネットで調べてみました。

BPSD

認知症では、脳の病的な変化や病気などによる脳の障害により脳の細胞が壊れます。その脳の細胞が担っていた役割が失われることで起こる症状を「中核症状」と言います。一方、中核症状によって引き起こされる二次的な症状を「行動・心理症状」や「周辺症状」と言います。ここまではkuniも知ってました。一応認知症サポーターなので。

この「行動・心理症状」や「周辺症状」のことは「問題行動」「迷惑行動」とも呼ばれていましたが、最近、BPSD(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia)という略語も使われているんだそうです。

具体的には、行動症状として攻撃的行動、徘徊、拒絶、不潔行為、異食などがあり、心理症状としては抑うつ、人格変化、幻覚、妄想、睡眠障害などがあります。小池知事はこれを点数化、見える化するとおっしゃってるわけです。

数値化、見える化

「不安」、「妄想」、「興奮など」各項目に分けて重症度を点数化します。点数が高い項目からその人の行動の背景や求めている支援を検討し、実践することが出来るんだそうです。これにより、ケアの優先度が誰にでも見えるようになり、具体的なケアの計画を立てて介護する人全員で共有することができます。

認知症の人は、普通の人にように自分の心の状態を言葉でうまく伝えられません。だからこそ、見守る側でBPSDを数値化、見える化して、認知症患者の心の不安、恐れ、寂しさなど心の状態を把握してあげることが重要ということなんですね。

心の状態を把握することにより適切な対応法が明らかになり、しかも誰もが実践し易いために、介護する職員のやる気も引き出せるんだそうです。

クロネコヤマト リスト型攻撃で個人情報3,467件漏洩

ヤマト運輸の個人向け会員制サービス「クロネコメンバーズ」のサイトに不正アクセスがあり、3467件の個人情報が漏洩した可能性があることが公表されました。同社は、不正ログインを確認したIDはパスワードを変更しなければ利用できないよう対策をとったとのこと。

リスト型アカウントハッキング攻撃(リスト型攻撃)

以前当ブログでも、リスト型アカウントハッキング攻撃(リスト型攻撃)については取り上げました。ユニクロやコジマが被害を受けていたころのことです。今回のヤマト運輸の件も同様の手口のようです。何らかの手段により他者のID・パスワードを入手した第三者が、これらのID・パスワードをリストのように用いてサイトにログインを試みるという手口ですね。

ヤマト運輸によると、22日夜から24日朝にかけて約3万件の不正アクセスがありました。このうち3467件が不正にログインされ、名前や住所、メールアドレスやクレジットカード番号の下4桁などが閲覧された可能性があるとのこと。25日時点で個人情報の悪用など被害は確認されていないようです。

同サイトでは2014年9月25日にもリスト型攻撃を受けており、1万589件の不正ログインがありました。その時のログイン試行回数は19万件だったと報道されていました。一度こういう被害が出ていて、パスワードの使い回しに対する注意喚起が行われているのに、、、。それでも使い回しはなくならないんですね。ちなみに2014年9月は佐川急便も同じ被害にあってたようです。

ヤマト運輸の対応

公表されている情報が事実であれば、3万件のアクセスを受けた時点ですぐに不正を検知しています。また、速やかに、不正ログインを確認したIDについてパスワードを変更しなければ利用できないよう対策もとっています。翌日には事実の公表も行われていて、おおむね良好な対応がされているという評価でしょうか。

このところ不正・不祥事が相次いだヤマトだけに、またやらかしたか、、、と思いましたが、今回はヤマトを責めるわけにもいかないようです。ただし、会員登録する際の画面においてどんな注意喚起が行われているか、とか、アマゾンやヤフーのIDと連携できるようになっている仕組みに問題はなかったのか、といった点についてはkuniもチェックできていません。

2回も同じ手口で被害にあってしまうわけですから、どこかに問題があるんじゃないかという気がしますが、、、。あともう一つ気になるのが、このサイトで犯人は何を目的にアクセスしたかです。住所変更して宅急便をだまし取るんでしょうか。よく分かりません。

エルシオ フレネル型液晶レンズ 小児弱視の治療に

大阪の光学スタートアップ企業のエルシオは、度数を自在に変えられるレンズを開発したそうです。電圧をかけることで、液晶レンズ内の液晶分子を傾けて、光の進み方を変えることで度数を自在に調整できるといいます。小児弱視の治療期間を最大4分の1にできる眼鏡が実現できそうだとのこと。この記事は7/24付け日経産業新聞から。

小児弱視

日本では約7万人、米国では30万人の患者がいるらしく、成長に合わせて度数を変えながら治療に2年かかるとか。数か月ごとの通院や眼鏡の買い替えで30万円程度かかるらしいですが、この新型の眼鏡であれば、常に最適な度数で使い続けることが可能になり、治療期間も大幅に短縮できるんだそうです。

21年度の発売を見込んでいて、年1万個程度を量産した場合の価格は7万円程度を見込んでいます。治療期間も治療費も4分の1程度に抑えることが出来そうですね。

開発者 渋谷義一氏

渋谷氏はTDKで30年間光記録媒体の研究に従事し、その後は液晶レンズの研究を手がけたものの、商品化できなかったそうです。55歳で早期退職して大阪大学に移り、そこで研究が花開き大学内起業でエルシオを創設したとのこと。

会社でやり残した仕事を退職してからも続け、ここまで育て上げたんですね。カッコいいじゃないですか。kuniと同じ世代ですし、会社を退職した後の人生が少し重なって見えるところもあり、この記事になったってところです。いやぁ、素晴らしい。

フレネル型液晶レンズ

冒頭に書いたように、電圧をかけることで液晶分子が傾く仕組みは、まさに液晶テレビの画面と同じです。液晶分子が傾く(寝てたものが立つ)ことで、後ろのライトが見える。そこが明るく見えるのが液晶テレビの原理です。レンズの場合は液晶分子が傾くことで、その部分を通過する光を屈折させているんですね。

可動機構を組み込まなくてもズームが可能になるため、眼鏡以外にも、監視カメラや車載カメラ等の小型化にもつながりそうだとしていました。スマホカメラの小型化にも貢献しそうですね。

記事にはありませんでしたが、老眼鏡なんかも自由度の高いものが出来そうです。手元を見るための老眼鏡が一瞬にして、遠くを見るための眼鏡になるでしょうし、外に出るときはサングラスにもなってくれそうです。この用途にはもう少し価格が下がらないと難しいですかね。

すてきナイスグループ 元会長ら3人を逮捕 第三者委員会報告書も

東証一部上場のすてきナイスグループの粉飾決算事件で、横浜地検が同社元会長の平田恒一郎ら3人を金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の疑いで逮捕しました。また、逮捕前日の7/24には、同社が設置していた第三者委員会の報告書も公表されています。

不正な売り上げ計上

報道では、在庫物件などを会計上の子会社に売却する形で、約30億円の不正な売り上げ計上があったと報道されていました。第三者委員会の報告書を読んでみると、ここで会計上の子会社とされている会社は、元会長が個人的に100%株式を保有する会社で、ナイスグループとは全く関係のない別会社の子会社です。

ちょっと分かりにくいですね。平田恒一郎氏が100%保有する「エイワ設計株式会社」という会社があり、その100%子会社に「ザナック設計コンサルタント株式会社」(以下、ザナック)という会社があります。このザナックという会社が約30億円の在庫物件を買い付けた会社です。

資本上はナイスグループと一切関係ないわけですね。報告書ではこの会社をグループ外支配会社と呼んでいます。また、このザナックが買い付けに投じた30億円は、実はナイスグループから融資された資金。資本関係はないが、平田恒一郎氏が支配する会社を舞台に、在庫物件を売却して、会計上認められない売り上げを計上し、利益も上げていたということです。

おまけにこの平田恒一郎氏、「エイワ設計株式会社」の株式を100%保有しているにもかかわらず、株主名簿上では他人の名義にしていたとのこと。ナイスグループや同氏と関係があることが外形上分からなくして、いろいろと裏取引みたいなことをしてきたようです。

創業家の強い影響力

創業家の二代目であった平田恒一郎氏。筆頭株主であり、ナイスグループ内では圧倒的な影響力を持っていたようです。役員等の人事権も当然掌握してます。スルガ銀行の件と同じですね。ザナックとの取引が通常の取引とは思えない、何か問題があるのではないかと懸念したとしても、取締役をはじめ、役職員がこれをけん制することはできなかったと見ているようです。

監査役 会計監査人

監査役にもザナック案件について、事前には情報が届いていなかったようです。かろうじて期末監査の際(つまり事後的に)ザナック案件を知り、会計上の疑義を持ち、会計監査人に相談をしています。ところが、会計監査人は「会計上の問題はない」という回答をしているみたいです。監査役および会計監査人が、ザナックを実質的に支配しているのはナイスグループであることについて、どこまで知っていて判断したのかに関しては、報告書からは読み取れませんでした。。。長くなってきたので、今日はここまで。