日清製粉 子会社が大谷翔平と広告出演契約締結を適時開示

日清製粉グループ本社は11/19、「子会社による大谷翔平さんとの広告出演契約締結について」を適時開示しました。連結子会社である株式会社日清製粉ウェルナが大谷翔平さんとの広告出演契約を締結したとのこと。

事実の概要

開示文書でも「事実の概要」という言葉が使われています。これ笑えます。日清製粉ウェルナは、ロサンゼルス・ドジャースに所属する大谷翔平さんとの広告出演契約を締結するに至りました。とのこと。大谷選手くらいになると適時開示にまで登場しちゃうんですね。

そういえば、製粉業界2位のニップンは白血病から不死鳥のごとく復活した水泳の池江選手をCMに起用してましたね。業界1位の日清製粉はメジャーリーグのユニコーン翔平を起用。この企業間競争も面白い。粉もの界はスポーツ選手と相性が良いようで。

ちなみに大谷選手は日清製粉のほかに、ポルシェ、日本航空、三菱UFJ銀行、セイコー、コーセー、伊藤園、西川、ラプソードなどとスポンサー契約を結んでいて、これらからの副収入は100億円超なんだそうです。

なんだかほっこりするというか、面白い適時開示でしたが、このような開示と同様に、自社にとって芳しくない情報もちゃんと開示していこうね(日清製粉に対してではなく全上場企業に対してのコメントです)。

マーチャント・バンカーズ株式会社 適時開示に関する疑義 第三者委員会設置

マーチャント・バンカーズは2/9、「第三者委員会設置及び過去に公表した開示内容の経過等に関するお知らせ」を公表しました。過去の適時開示に関する疑義について社内調査を行ってきた結果、徹底した事実関係の調査並びに原因究明を行うため、第三者委員会を設置することになったということです。

マーチャント・バンカーズ株式会社

マーチャント・バンカーズは、国内外の企業および不動産への投資を行うマーチャント・バンキング事業を基幹に、ボウリング場などを運営するオペレーション事業を展開。投資活動による収益追求と安定収益基盤の構築の両立を目指す東証スタンダード上場企業です。

適時開示に関する疑義

公表時点では業務委託契約に係る基本合意を締結していたものの、最終的に業務委託契約の締結に至らなかったケース。業務委託契約等の締結に至ったものの、当該業務委託契約等がすでに終了しているケース。開始した新規事業がその後に廃止あるいは中止となっているケース。こうしたケースにおいて、それらの経過が適切に開示されていない事案等が複数発覚したとのこと。

簡単にいうと、市場で好感されそうな好材料はどんどん開示するんだけど、それが不発になった場合などの悪材料は開示してこなかった、ってことでしょうね。投資家にとってこれは非常に迷惑な開示姿勢です。過去の株価推移を見ても、何かしらの好材料で短期間に株価が2倍、3倍に上昇し、あっという間に下がってくるという展開が何度か見られます。

好材料で株価を煽って高値を売り抜ける。仕手株によくみられる動きです。継続開示の問題にとどまらず、相場操縦やらなんやら、意外に大きな事案に発展するかもしれません。

ID&E ホールディングスと子会社日本工営(その2)

先日書いたID&E ホールディングスと子会社日本工営の第二弾。不適切行為というか不正が行われたことについては子会社のホームページでお知らせし、上場企業である親会社は一切開示なし。逆に子会社で新しい事業に参入みたいな場合は、親会社が開示してアピール。こういうのって皆さんどう感じてます?

投資家にとっての透明度

事故や不正が発生しても、大手のメディアがあらためて取り上げない限り、子会社のホームページでは気付きません。今回のように上場親会社が持株会社の場合は特に、不正が起きたのは最重要子会社というか、こないだまで上場してた企業です。同社の株主にしても親会社の開示情報は入ってくるけど、子会社までは、ってことになってしまいます。

つまり、投資家や株主にとっては情報を知るためにもうひと手間が必要になるわけで、情報開示の透明度が下がってしまうということだと思うんですね。今回の親子上場の件における東証から上場企業への通知文でも、「(開示事項が)投資判断上重要であり、投資家との対話の出発点となる」と書かれているそうだし。

ネガティブな情報もしっかり

投資判断に重要なネガティブ情報もしっかり上場会社が開示するよう、東証から指導等があっても良いのでは?と思うんだけど、ただ、これやると、東証上場の超エクセレントカンパニーが主に指導対象になっちゃうのよね。TOYOTAとかね。

グローリー 電子マネー決済システムの障害

グローリーは2/24、「2月14日から2月19日にかけて発生した電子マネー決済システム(iD決済)の障害に関するお詫びとお知らせ」を公表しました。同社が提供する電子マネー決済システムの障害により、一部の加盟店でのiD決済において、利用代金が二重に引き落としされる事象が発生したということです。

システム障害の概要

発生した障害はまぁ、冒頭で書いた通りで、すでに原因を特定し、正常に復旧しているとのこと。本件は、サイバー攻撃等によるものではなく、顧客の個人情報の流出はないとしています。二重引き落としされた利用者に対しては、利用者側の手続きなく、後日、カード発行会社から返金されるそうです。

ちゃんと開示しようよ

このシステム障害の件、kuniが知ったのはメルカリのヤフー掲示板でした。適時開示はされておらず、ホームページ上のお知らせのみ。メルカリは適時開示もホームページでのお知らせすらもしていません。まぁ、同社はグローリーにとっての「一部の加盟店」ということで、うちのシステムの問題じゃないから、ということかもしれませんが。

自分で定期的にホームページとか見に行ってる人以外は、たとえ株主であっても、被害に遭われた方でも、このシステム障害の件は知らないということですからね。企業の開示に対する姿勢って、こんなもんで良いんでしょうか。

自社に都合のよくない事案はできるだけ伏せる。こういうのって本当によろしくないと思います。この感覚って、kuniだけなんでしょうか?

帝人 決算発表してましたね 工場火災の件も初めて

帝人は2/8、「業績予想の修正及び特別損失(連結・個別)の計上に関するお知らせ」を公表しました。前回取り上げたように、オランダの工場で起きた火災事故とそれによるアラミド繊維の出荷制限など。開示すべき情報を適時に開示せず、決算発表で初めて、特損の理由として開示しています。

業績予想の修正の理由

今回の発表では業績予想の下方修正を行っているんですが、その原因が開示してこなかった工場火災による影響です。下方修正の理由、原文のまま引用します。

「マテリアルセグメントにおける欧州拠点での工場火災による生産量低下に伴う販売量減少、中国のロックダウン後の経済停滞に伴う需要減の影響等により、売上高を上記の通り前回発表予想から下方修正することといたしました。」

「また、売上高修正の要因に加え、マテリアルセグメントにおける米国拠点での設備故障復旧後の立上げ遅延による生産性改善遅れ等も影響し、営業利益、経常利益につきましても上記の通り前回発表予想から下方修正することといたしました。」

開示って何?

オランダの工場火災の件、やっぱりね、って感じです。そしてさらに、これは報道もされていなかったと思いますが、米国の工場でも設備故障が起きていたようです。決算発表で結果を知らされるまで、株主、投資家は何も知らなかったわけです。

工場火災や故障等による設備の不稼働、こうした情報が会社の評価や株価へどんな影響を与えるのか。そういった情報が提供されてこそ、投資家は様々な判断ができるわけです。それを会社が、「こんなの大したことないよ、決算発表の時でいいじゃん」で済まされたらたまりません。