株式会社クシム 取締役に辞任勧告(その3)

株式会社クシムは12/20、「2024 年10月期決算発表の延期のお知らせ」を公表しました。取締役の不正への関与の調査や、ほか、いくつかの要因により、決算の確定に時間がかかる見通しとなったためと説明されています。

おさらい

現経営陣が取締役(吸収合併した企業の元社長)に不正があったとして辞任勧告を決議。辞任勧告を受けた取締役がこれに反論、真っ向から対決するという状況が続いているところです。詳細については過去記事をお読みください。

暗号資産?

今回の決算延期の開示の中で、延期せざるを得なくなった要因の一つに、「暗号資産の実在性及び評価」というのが登場しています。気になって今回の騒動に関する一連の開示を読み返してみましたが、「暗号資産」というワードはどこにもありません。

辞任勧告を受けた取締役の新たな不正という主張になるのか、はたまた、実は現経営人が会計不正を働いていたことが発覚しつつあるのか。今のところ何の情報もないため判断できませんが、この騒動、新たな展開に入って行きそうな予感が・・・

株式会社ジェイ・エス・ビー 今度は不正会計で決算発表を延期

ジェイ・エス・ビーは12/13、「2024年10月期決算発表の延期に関するお知らせ」を公表しました。以前、社外取締役が逮捕された件で取り上げた企業です。いったいどんな人選してるんだか、ってことを指摘していたんですが、今度は会計の不正が出ているようです。

株式会社ジェイ・エス・ビー

ジェイ・エス・ビーは主に学生を対象としたマンションの企画から事業提案、竣工後の入居者募集、入居者・建物管理などを全国で展開する企業です。

不正の概要

取締役らが海外視察・研修に家族を同伴し、その費用(1,700万円程度)を同社に負担させているという、経費の不正使用が認められているようです。また、社内に保管している金券類総額 約1,321万円(枚数 計4,900枚)の簿外在庫の存在も確認されたとのこと。

さらに、社内外に存在するワインセラーにおけるワイン在庫のうち、784本、購入価格ベースで計3,238万円分が簿外資産となっていることが判明しているそう。ワインだからと侮るなかれ、一本当たり4万円超ですよ。

まぁ、逮捕される社外取締役を選ぶだけあってこの会社の経営陣、凄いことになってるようですね。特別調査委員会の調査は9月から行われていたようですが、これまでずっと非開示。今回の開示でも、タイトルからはまったく不正の存在を感じさせません。ひた隠しです。

nms ホールディングス株式会社 特別調査委員会の調査報告書を公表

nms ホールディングスは12/16、「特別調査委員会の調査報告書公表に関するお知らせ」を公表しました。10月の開示では、「同社一部役員による不適切な経費使用」という表現になっていましたが、やはりこの方、代表取締役社長でした。

不正の概要

社長が使用した接待交際費については、調査対象とした期間(2017年3月から2024年7月まで)において、約6百万円の私的流用と思われる使用があったとしています。

さらに、広尾と代官山に設けた社宅に、知人女性(同一人物で広尾に約2年間、その後代官山で約4年間)を住ませていたようです。報告書では触れていませんが、おそらく社長の愛人ですかね。また、社用車として1,200万円で高級クラシックカーを購入させていたという話も。

会社が社長個人の持ち物に

公私混同が激しく、報告書にも、「社内で絶対的な存在になったために、上場会社であるにもかかわらずあたかも「自分の会社」であるかのような錯覚に陥っていたことが推測される。」との記述があります。

社長に対して批判的な進言をしたことで激怒されたり、責任を追及されたり、部下の前で叱責や罵倒をされたりし、退職に至った幹部も多かったようです。パワハラに関してもこの後問題になるかもですね。こういう人、昭和の時代には結構いたんですが、今の時代にも・・・

株式会社クシム 取締役に辞任勧告(その2)

昨日に続いてクシムの記事です。昨日の記事を当該取締役ご本人がお読みいただいたようです。で、kuniも取締役が開設されたNoteの反論記事を読ませていただきました。

社内調査委員会の設置

反論記事にも出てくるのですが、「社内調査委員会の設置」という行動にkuniも違和感を感じていました。そのため、昨日の当ブログの記事でも現経営陣側の対応や主張を鵜呑みにできなかったわけです。

その取締役が本当に不正を働いていて、その不正を明らかにし、現経営陣の主張や現行のガバナンスが適正であることを証明したいのなら、どちら側にも関係のない中立の立場の委員で構成される第三者委員会を設けるのが普通です。

しかし、今回設置されたのは社内調査委員会。さらに取締役のNoteの情報によると、この社内調査委員会の委員長はフィスコ側の人(正確にはフィスコの親会社と思われるシークエッジ出身者)のようです。こうなってくると、かなりのバイアスがかかった調査結果になりそうですよね。

吸収合併

昨日は現経営陣側の開示に基づき書きましたが、本日は取締役側の情報を一部引用しつつ記事を書いています。吸収合併という言い方が正しいかどうか分かりませんが、吸収された(子会社化された)側の出身者には、まぁいろいろと、手を替え品を替え、追い出すための力が働くもんなんです(これ、kuniの実体験です)。

株式会社クシム 重大な背任行為で取締役に辞任勧告

株式会社クシムは12/9、「(経過開示)社内調査委員会設置に関するお知らせ」を公表しました。これより以前、11/25には「取締役1名に対する辞任勧告の決議」も公表しています。当該取締役が社内情報漏洩や不適切行為への関与があったとしていました。それを調査する委員会ですね。

株式会社クシム

クシムはブロックチェーンの受託開発、暗号資産に関連したコンサルティングなどを行う、ブロックチェーンサービスを中核事業として展開する東証スタンダード上場企業です。一昨年、チュ-リンガム社を子会社化し、ブロックチェーンサービス事業を拡大しています。

辞任勧告

重要事実の継続的な漏洩や、不適切行為の可能性に対する重大な懸念があるということで辞任勧告を決議したということなんですが、その同日に当該取締役が株主提案で取締役4名と監査等委員2名の選任を議案として、来年1月の定時株主総会に問うという動きに出ています。

現経営陣と辞任勧告を受けた取締役が真っ向から対決するという構図。この取締役は冒頭書いた子会社化されたチューリンガムのトップだった方なんですね。そして現経営陣の方は、金融情報、企業情報の配信などを行うフィスコの勢力。ん~、この対決は難しいなぁ。取締役が悪だと片付けるわけにはいかない感じ。