株式会社クシム 借金返済のため中核子会社をすべて売却

株式会社クシムは2/3、「代物弁済に伴う連結子会社の異動(株式譲渡)および個別決算における特別利益の計上見込みに関するお知らせ」と、「株式会社CAICA DIGITAL との資本業務提携の解消に関するお知らせ」を公表しました。

箱企業ですか?

カイカフィナンシャルホールディングスからの529百万円の借入金の返済のため、子会社ZEDホールディングスの株式を代物弁済にて返済するというもの。これに伴いZEDホールディングス傘下の株式会社Zaif、株式会社クシムソフト、チューリンガム株式会社、株式会社WEB3テクノロジーズ、Digital Credence Technologies Limitedが連結対象外に。

要するにクシムの主要子会社をすべて手放してしまうという惨事に。ほぼ中身なしの箱企業になってしまったということでしょうね。手放す理由は、「株主提案(による臨時株主総会での決議で)により、当社の経営体制変更となった場合の返済リスクの懸念があるので、速攻で金返せと迫られたためだそう。

株主総入れ替え?

この開示を受け同社株は2/4、早々にストップ安売り気配に。現行株主にすべて売らせて、何らかの方法で現経営陣側についてくれる株主に買ってもらい、臨時株主総会で株主提案を迎え撃つ、、、なんて作戦でもあるんでしょうか(これは考えすぎかな)。

なんか、凄いことになってきましたね。こうなると解任された取締役が返り咲いて会社を再建というシナリオが濃厚になってきたかも、です。

株式会社クシム 有価証券報告書の提出期限延長を申請・承認

株式会社クシムは1/31、「2024 年10月期有価証券報告書の提出期限延長に係る承認申請書提出のお知らせ」を公表しました。同日のうちに承認されたことも公表しており、提出期限は3/31まで延長されました。

提出期限の延長を必要とする理由

これまで取締役を解任するに至った理由が漠然としたものでしたが、今回の上記申請にかかる開示では少し具体的な内容が公表されています。決算が締められない理由として書かれているわけですが、ほぼ取締役を解任した理由に通じる内容だと思われます。

その理由とは、① 取締役が関与する暗号資産関連業務に関する検証の必要性(同社および子会社にかかる暗号資産の実在性及び評価)。② 同社の経費支出の妥当性に関する検証の必要性(取締役による経費支出の適切性)の2点になっています。

詳細については、当ブログの紙面では書ききれませんし、当方に暗号資産にかかる専門知識などもないことから、ここでは考察を控えます。是非皆さんの方で、先日取り上げた取締役の主張と、今回の現経営陣の主張を読み比べていただければと思います。

この後は調査委員会の調査結果を待つしかないですかね(調査委員会が公正・公平な調査結果を出すかどうかもビミョーですが)。あと臨時株主総会の行方も。まだまだ紆余曲折ありそうです。

株式会社プロレド・パートナーズ 子会社の代表取締役を解任

株式会社プロレド・パートナーズは1/24、「当社子会社代表取締役の解任に関するお知らせ」を公表しました。第一報がいきなり社長の解任という唐突感のある開示です。

プロレド・パートナーズ

プロレド・パートナーズは、主に成果報酬型の経営コンサルティングを展開し、各種コスト削減を支援している企業。関連して投資運用事業を手掛け、収益確保に努めています。初めて聞いた企業ですが、東証プライム上場企業です。

子会社 ブルパス・キャピタル

ブルパス・キャピタルはプライベート・エクイティ・ファンドの運営や役員派遣によるハンズオン経営支援を行うプロレド・パートナーズの子会社です。グロース企業に投資して、コンサルもするみたいな企業ですかね。よく分からんけど。

で、今回の開示はこのブルパス・キャピタルの代表取締役を解任しました、という内容。その理由は、「ブルパス・キャピタル社のファンド運営に関わる背信的行為を企図するなど、同社の代表取締役として不適切な行為を行ったためであります。 」とだけ説明されています。

調査委員会を設置して・・・みたいな手続きは一切なさそうで、即解任。「背任行為を企図」って、いったい何をしでかしたんでしょう。一応東証プライム上場なわけだから、子会社の代表取締役とはいえ相応の説明が必要だと思うんだけど。

株式会社ジェイ・エス・ビー 再発防止策を公表

株式会社ジェイ・エス・ビーは1/14、「再発防止策の策定に関するお知らせ」を公表しました。社外取締役が逮捕されたり、女性取締役が会社を私物化(経費の不正使用、簿外で金券類、高級ワインを所有)した挙句に、昨年末にひっそり辞任するなど、昨年一気にガバナンスの問題を露呈した企業です。詳細については過去記事をご参照ください。

再発防止策

公表した再発防止策は全8ページに及ぶ大作。しかし、内容はあれもこれもという感じで総花的って感じですかね。その中で目を引いたのは、「支配的株主との適正な距離の確保」という項目。

残存するオーナー企業意識を払しょくするために、支配的株主である「相談役」が2024年12月31日をもって退任したのに加え、この支配的株主との、常勤取締役単独による連絡や面談を禁止するなどの対応も設けています。支配的株主といかに距離を保つかについてはかなり力が入っているようです。

この支配的株主というのは、おそらく創業者の奥様で、創業者がなくなったのち取締役会長として会社を支配してきた人だと思われます。会社を私物化してきたとして辞任に追い込まれた女性取締役がその娘という構図かと(これについては推測も交じってます)。

創業家の影響を受けながらの企業経営。このあともいろいろと問題出てきそうですが、同社としては、「支配的株主の影響力低減に向けた取組みを検討し、支配的株主とも協議をしてまいります。 」としています。創業家、、、面倒ですな。

株式会社ジェイ・エス・ビー 渦中の取締役が辞任

株式会社ジェイ・エス・ビーは12/20、「取締役の辞任に関するお知らせ」を公表しました。取締役らが海外視察・研修に家族を同伴し、その費用を同社に負担させたり、金券類の簿外在庫や高級ワインの簿外資産などが出てきた例の会社。(詳細は過去記事でお読みください)

調査報告書で記載された a氏

調査報告書ではこの a氏が主犯格とされており、経費の不正使用、金券類、高級ワインすべてに関わっています。調査報告書にあるいくつかの表現を拾ってみると、「取締役に就任したのが2019年1月」、「a氏が所管する秘書室」などという記述があります。

この2点から考えると、冒頭で書いた今回辞任した女性取締役がa氏のようです。ということで引責辞任ということなんでしょうが、開示における辞任の理由は、「一身上の理由によるものであります。」となっています。この期に及んで・・・って感じですね。

筆頭株主との関係

さらに報告書では発生原因として、「情実が生じ易い大株主とa氏の関係性」とか、「オーナー企業意識の残存によるコーポレートガバナンス上の問題」なんてのが挙げられています。a氏は筆頭株主と関係が深く(親子かしらね)、実質的には同社のオーナー的存在だったということのようですね。

いずれにせよ、会社を私物化していた取締役が、詳細を公表することなく、ひっそりと姿を消したと。こういうやりかた、好きじゃないなぁ。この会社は上場企業として不適格としか言いようがありません。