インフォコム株式会社 子会社前役員が逮捕

インフォコム株式会社は10/6、「当社連結子会社前役員の逮捕について」を公表しました。連結子会社である株式会社メディカルクリエイトの前代表取締役が、10/5に贈賄の容疑で警察に逮捕されたということです。この事実以外は開示では一切触れていません。

事件の概要

国立がん研究センター中央病院のシステム導入に関し、ソフトウエア開発会社のメディカルクリエイト社長が贈賄容疑で逮捕されたということらしいです。同社に便宜を図った見返りを受けたとして同病院の放射線技術部長も収賄容疑で逮捕されています。見返りに複数のタブレット型端末などの物品(約97万円相当)を受け取っていたとのこと。これくらいの金額でやるかね?こういう悪さ。

インフォコムには迷惑な話

見返りの物品を渡した(犯罪が確定した)のが2021年3月だといいます。調べてみると、メディカルクリエイトが全株式をインフォコムに譲渡して完全子会社化したのが、2021年10月末なんですね。つまり贈賄事件が起きたときはまだ連結子会社じゃなかったんだと思われます。

冒頭の開示はつまり、子会社化する前に社長が起こしていた不正について謝罪しているわけで、謝罪にも力が入りません。気持ちはよく分かります。ただ、調べれば「同社子会社の社長が」ってのはすぐに判明しますから、逮捕から間髪を入れずに開示したのは正解です。

しかし、インフォコム側は頭にきてるだろうね。まぁ、不正を行っていた偽りの姿の会社を子会社化(買収)したわけですから、損害賠償請求へと進むんでしょう。

ケイアイスター不動産元役員(現Gunosy執行役員)の不正行為

Gunosy執行役員(40歳)が警視庁により逮捕されました。ぱっと見Gunosyの役員による不正行為のようなニュースに見えちゃうんですが、逮捕容疑は前職の「ケイアイスター不動産」の執行役員時代に行ったものです。ケイアイスター社は21年3月にその不正について刑事告訴していたということです。

不正の概要

2018年10月~20年2月、ケイアイスター社のネットシステムの開発や保守管理などを請け負っていた宇都宮市のウェブ制作会社の20代男性社長と共謀し、男性社長に業務委託費を水増しさせて約1億円を請求させ、ケイアイスター社に約3,100万円の損害を与えたというのが逮捕容疑だそうです。

その後、水増し分の3,100万円は同容疑者が代表を務めるコンサル会社や自身の口座などに送金されていたといいます。いわゆるキックバックですね。リクルートキャリアやクリーク・アンド・リバー社などを経てケイアイスターに入られた方のようです。上手い具合に会社を渡り歩いた人のようですな。

伏せられた不正の情報

同容疑者は2021年6月にGunosyの執行役員に就任しているようです。その3か月前にケイアイスターが刑事告発しているわけですが、Gunosyとしては不正について何も知らされることなく採用してるってことなんでしょうね。ケイアイスターは不正の発見から刑事告訴に至るまで、何も開示していないみたいです(kuniがチェックした限りでは)。

で、逮捕時はGunosy執行役員、、、ってことですから、報道のタイトルはGunosy社の名前が踊ります。多くの人の記憶にも「Gunosyの役員が逮捕されたんだって」ってなりますよね。ちなみに、この記事を書いている段階で既にホームページ上執行役員紹介から削除されていました。Gunosyは採用から1年少々、この執行役員にどういう評価をしてたんでしょうね。

カッパ・クリエイト 社長逮捕(その2)

はま寿司からかっぱ寿司に転職した現社長が逮捕されたという事件。社長に続き商品部長も不正競争防止法違反容疑で逮捕というニュースも飛び込んできました。この手のニュースは数ある不正の中でもメディアの食い付きが良いですね。ここまでのニュースで何度見たことか。

メディアでは

多くのメディアが指摘していたのが、「転職による情報漏洩リスクの認識強化が必要」だとか、「雇用の流動化が背景にある」みたいなことでした。これまでは、「確かにそういうリスクはあるし、退職時に誓約書取ってる」けど、訴えるところまではなかなか。というのが企業の本音だったと思います。

一昔前は顧客リストの持ち出しなんて、ほぼ当たり前のように行われてきました。何らかの媒体に記録されたリストと、退職者の頭にある記憶。明らかにリストが存在することの証明ができないため、訴えるところまではいけません。最近はメールの存在やダウンロードの記録なんかが決め手になるようになってきたんですかね。

はま寿司についても

また、自社の元役職員が働いた不正(自社の汚点でもある)だから公に晒したくない、という被害企業側の事情もありました。この事情って結構大きくて、持ち出された情報による被害と、そんな悪いことをする役職員を雇用してたんだ、という評価をされるリスクを天秤にかけることになるわけです。

今回のケース、メディアはカッパ・クリエイト側を徹底的に非難する形になっているようですが、はま寿司の問題についても認識しておく必要があります。営業秘密を転職先に持ち出し、「営業秘密に当たると思ってなかった」くらいのことを言ってる人が、同社の役員にまでなってたわけですからね。

コンプラに関する意識や倫理観がかけた人材を取締役にまで抜擢していたってことです。そういう人はこの役員だけなんでしょうか。いや、そんなことはなくて、この会社のカルチャーとして緩いんじゃないのか。この事件、そんな見方も必要ですね。

カッパ・クリエイト 社長を不正競争防止法違反容疑で逮捕

回転ずし業界4位の「かっぱ寿司」を運営するカッパ・クリエイトの現社長が、同社に転職する前に競合他社「はま寿司」の仕入れに関する内部データを不正に持ち出した疑いがあるということで、警視庁は持ち出された情報が営業秘密に当たるとして、不正競争防止法違反容疑で同社長を逮捕したということです。

ここまでの経緯

当ブログでも以前取り上げたこの事案、株式会社はま寿司より不正競争防止法に纏わる告訴がされ、当該告訴に基づき、関係当局による初めての捜査が行われたのは昨年6月でした。あれから既に15ヶ月が経ったんですね。

逮捕容疑

今回の情報は報道が関係者への取材により入手したという格好。日本経済新聞も9/30付けで「かっぱ寿司社長に逮捕状 転職前のデータ持ち出しか」という見出しで報じています。

かっぱ寿司に転職する前に、競合他社である「はま寿司」の仕入れ価格等に関する内部データを不正に持ち出した疑いがあるということで、警視庁は持ち出された情報が営業秘密に当たるとみているようです。

不正競争防止法で規定する営業秘密は、企業が保有する技術上、営業上の秘密情報を指します。①秘密として管理されている(秘密管理性)、②事業などに有用(有用性)、③公然と知られていない(非公知性)――の3つの要件を満たす必要があるんだそう。

不正競争防止法に限らずですが、当ブログでも何度か取り上げているように、回転寿司業界はちょっとおかしなことになってますね。テレビCMなど見てる限りは、とっても元気のよい業界のように見えますが、既に過当競争で業界丸ごとおかしくなっていってるような感じです。

TOKAIホールディングス 取締役社長の不適切な経費の使用

見落としていました。TOKAIホールディングスは9/15、「代表取締役の異動に関するお知らせ」を公表しました。続いて9/22には、「特別調査委員会の設置に関するお知らせ」も公表。代表取締役社長による不適切な経費の使用が認められたということです。

TOKAIホールディングス その2だな

TOKAIホールディングスは静岡県地盤で、エネルギーや情報通信サービス等を幅広く提供している企業です。元々は都市ガス事業からスタートした企業ですね。実は昨年10月にも当ブログで取り上げた企業。その時は同社子会社2社の元従業員2名による不正行為(総額5億円にのぼる会社資金の私的流用)についてでした。

開示の概要

そして今回の開示では、代表取締役社長による不適切な経費の使用が内部通報により発覚したため、同日開催の同社取締役会において、同氏を代表取締役及び社長兼最高経営責任者(CEO)から解職する旨の決議を行ったとしています。

さらに、同社グループ会社においても、各グループ会社の株主総会において速やかに取締役からの解任手続きを行い、同氏は同社グループ会社の全ての役職から離れる予定だそう。

代表取締役社長自らが不適切な経費の使用を行っていた事態を重く受け止め、事実関係を明らかにすべく、9/22開催の取締役会において、外部の弁護士及び公認会計士をその構成員に含む特別調査委員会を立ち上げることになったという顛末です。

グループトップがこんなことやってるわけで、子会社の従業員の不正も「さもありなん」ってところでしょう。それにしても特別調査委員会の設置とは大掛かりですね。報道によると「私的な会食費を交際費として複数回請求した疑い(請求額は最大で数千万円に上る可能性がある)」なんだとか。さてさてどんな調査結果が待っているんでしょう。委員会の報告を待ちましょう。