AMR 薬剤耐性菌問題

AMR(antimicrobial resistance)という言葉をご存知でしょうか?薬剤耐性だそうです。薬剤耐性については知っていましたが、AMRという言葉は初めて聞きました。週刊東洋経済の記事からです。ジム・オニール氏のこの記事は、気候変動への対策を求める声が強まっているが、それと同じくらい深刻なAMRについては置き去りにされているという主張です。

薬剤耐性

抗生物質を使い続けていると、細菌の薬に対する抵抗力が高くなり、薬が効かなくなることがあります。このような抗生物質への耐性を持った細菌のことを薬剤耐性菌といいます。薬剤耐性は、耐性を持たない別の細菌に伝達され、その細菌も薬剤耐性化し、次々に連鎖していくこともあるそうです。

具体的な例としては、院内感染のニュースなどで聞くことがあるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)が挙げられます。抗生物質(ペニシリン)で駆逐されたはずのブドウ球菌は、耐性を身につけ耐性化、これに対応するためにメチシリンが作られましたが、さらに耐性化したのがメチシリン耐性黄色ブドウ球菌というわけです。

社会へのインパクト

抗生物質が発明されたことで人類を大きな恩恵を受けてきました。細菌の耐性化が進むというのは、要するに抗生物質が発明される前の時代に戻っていくということ。気候変動と同じくらい深刻な問題であることがよく分かります。製薬会社は儲かる見込みが低いことから、新薬の開発を避けているといいます。

AMR対策。気候変動への対策と同じレベルの社会課題でありながら、今のところは気候変動に隠れてしまっていて、AMR対策は世界的にも広がりを見せていない。少なくともこういう現状であるということは、投資家としても認識しておく必要がありそうです。今後、株式市場でも折に触れて材料化するはずです。