トーヨータイヤ 品質管理基準に満たないゴム製自動車部品をホンダに納品?

トーヨータイヤは1/22、「一部報道について」を公表しました。前週末にホンダの人気車種「N-BOX」で使用されている部品をめぐり、製造元のトーヨータイヤが、両社の契約で定められた管理基準から大幅に外れた数値のまま納入していると報道されたことに対する開示です。

トーヨータイヤ

トーヨータイヤは乗用車用、トラック・バス用、建設機械用、産業車両用などの各種タイヤを製造販売する国内第4位のタイヤメーカー。代表的な乗用車用タイヤブランドは「TOYO TIRES」と「NITTO」。東証プライム上場企業です。2019年までは東洋ゴム工業という社名でしたね。

一部報道

「一部報道」というのは、いわゆる文春砲ですね。不適合とされる部品は「トレーリングアームブッシュ」と呼ばれる部品だそうです。段差を乗り越える時やアクセルやブレーキで車体が動く時に発生する揺れを抑制するための部品だそう。

取材先について、「トーヨータイヤ現役社員」とか、「トーヨータイヤ設計部関係者」、「トーヨータイヤ工場関係者」などの証言を紹介する形で報道されています。

トーヨータイヤは、「当社の自動車防振ゴム部品供給取引において、そのような事実はございません」と明確に否定したわけですが、日野やダイハツの件もあり、市場は疑心暗鬼。報道された1/19には同社株は13%安まで売られました。同社は完全否定したんですが、ん~、なんか出てきそうな感じだなぁ。

中小企業庁 下請法に関する調査結果を誤通知

中小企業庁は1/18、「『令和5年度下請事業者との取引に関する調査』の結果に関する通知文書の記載の誤りについて」を公表しました。問題のなかった親事業者7,806社に対しても「下請法の違反のおそれがある」と誤った調査結果を通知していたということです。

下請法に関する調査

この調査、調査対象は大企業や中堅企業など5万5,000社で、下請け企業との取引が適正にされているか調べる目的で行われました。回答内容に基づき、下請法の対象となる取引を行う事業者において下請法違反のおそれが無いか判定を行い、違反のおそれが見受けられた事業者に対し、自主的な点検・改善等の取組を促す通知文書の交付を1月10日付で開始しています。

当初、10,923の事業者に対して通知を行いましたが、違反のおそれを判定する論理構成(判定ロジック)の一部に誤りがあったことから、7,806の事業者に対する通知で、一部項目で違反の恐れがないにも関わらず、違反のおそれがあると記載していました。

違反の恐れあり、の判定はなんと全体の8割近く。対象事業者が通知文書を閲覧するシステムを1月12日に一時停止し、再度、判定ロジックを全て見直したといいます。ということで、実際には3,100件ほどの事業者に違反の恐れありというお話だったんですね。

そもそも、「違反の恐れ」を機械的に指摘するレベルの通知だったので、大きな問題にはなっていないようですが、マイナカード同様、基本的なミスが多過ぎなんですよ。判定ロジックなるものの構築をどこが(民間企業が絡んでいるのかも含めて)行ったのかは公表されていません。

国土交通省 ダイハツの安全軽視に厳罰 3車種の「型式指定」取り消し

国土交通省は1/16、「ダイハツ工業の不正事案に関する国土交通省の対応について」を公表しました。同省は昨年12/21から1/9まで、ダイハツ工業に対する立入検査を行い、事実関係の確認、精査を行ってきました。その結果と処分に関する公表ですね。

検査の結果

検査の結果、ダイハツ工業から報告があった142件の不正行為の事実を認定するとともに、新たに14件の不正行為(試験車両に不適切な加工を行う不正行為(9件)、規定と異なる試験装置を使用する不正行為(5件))を確認したということです。合計46車種156件に拡大しましたね。

特に悪質な不正行為が行われたと認められる以下の3車種について、型式指定を取消すこととし、関係法令の規定に基づく手続きを開始したとのこと。ダイハツ・グランマックス、トヨタ・タウンエース、マツダ・ボンゴ(いずれもトラックタイプのみ)。

さらに、基準不適合の可能性がある2車種(ダイハツ・キャスト、トヨタ・ピクシスジョイ)のリコール届出の指導をしたとしています。両車種は側面衝突時にドアロックが自動解除されず、法規に適合していないんだそう。

今回の処分等についてはあくまで立ち入り検査の結果に基づくもの。別途行うとしていた現行生産車の基準適合性についての技術検証(実際の衝突試験など)の結果次第では、型式指定の取消はさらに拡大する可能性がある、、、という理解で良いんだろうか。

回転寿司のスシロー 中央労働基準監督署が是正勧告

回転寿司最大手のスシローを運営する「あきんどスシロー」が、東京都内の店で働く男性アルバイトの5分未満の労働時間を切り捨て、賃金を支払っていないとして、中央労働基準監督署から是正勧告を受けたようです。

FOOD & LIFE COMPANIES

スシローは回転寿司業界で売上、店舗数ともに第1位です。運営する企業はあきんどスシローで、その持株会社として上場しているのが FOOD & LIFE COMPANIES という東証プライム上場企業です。まぁ、いろいろな業態へ展開してるからこういう上場企業名にするんでしょうが、ややこしいですね。

是正勧告

労働基準法では労働時間は1分単位で計算するのが原則と解釈されているところ、アルバイトの5分未満の労働時間を切り捨て賃金を支払っていなかったというもの。今回是正勧告を受けた店舗以外でも同様のことが発生しているようで、労基署の判断を待っている状況だそう。

同社の従業員は正社員が1,731人、一方でパート・アルバイトは4万6,138人いるとされており、過去の切り捨て分が全員に支払われるとなると、相当な金額になりそうです。ちなみに2022年9月以降は1分単位の労働時間計算に切り替わっているといいます。

ほぼ定期的にといっていいくらい不正行為が出てくる回転寿司業界。アルバイト等への残業代未払い、業界トップでこんな話が出てきただけに、じゃぁ、他の回転寿司はどうなの?ってなりますよね。

三菱電機株式会社による株式会社北弘電社の完全子会社化

北弘電社は1/9、「三菱電機株式会社による株式会社北弘電社の完全子会社化に関する株式交換契約締結(簡易株式交換)のお知らせ」を公表しました。三菱電機は、北弘電社の発行済み株式の約27%を保有する筆頭株主です。経営破綻を回避するための対応ですね。

不正の影響は避けられず

北弘電社は電気設備工事や産業設備機器の仕入れ販売などが主な事業。太陽光発電所の建設工事を巡る不正会計処理や、小型風力発電事業からの撤退などで財務状況が悪化し、2023年3月期に債務超過に陥っていました。不正の概要等は当ブログでも何度も取り上げてきましたので、バックナンバーをご覧ください。

完全子会社化

開示の内容は、北弘電社株1株に対し、三菱電株0.26株を割り当てることで、持ち分法適用会社の北弘電社を株式交換により完全子会社化するというもの。三菱電機の1/9終値(1株2026円)をもとに計算すると、北弘電社株は約530円の評価ということになります。

に、対して、北弘電社の1/9の株価は1,317円。大幅なディスカウントとなる株式交換の公表により1/10にはもちろんストップ安に。以前から会社の状況から考えて信じられないほど高い株価と指摘してきました。しかし、札幌市場の価格形成、おかしいんじゃないの?北弘電社は4月11日付で上場廃止となる予定です。