都留信用組合に対する行政処分 特別調査委員会調査結果も

12/23 関東財務局は都留信用組合に対して、健全かつ適切な業務運営を確保するための業務改善計画の提出・実行を命じました。提出期限は令和2年1月31日。同日、都留信用組合は、「不祥事件に関する特別調査委員会調査結果」を公表しています。

不祥事件の概要

今回不祥事の概要を振り返りましょう。今年、5/29、支店長(50代男性)が顧客から1億9,500万円を着服していたことが公表されました。その後、6/7になって3支店3名の職員が顧客のお金を着服していたと公表します。そして6/14、特別調査委員会の設置が公表されています。

元支店長事案

現役支店長時代に着服が見付かっているわけで、元・・・とは書きたくないんですが、報告書でこう書かれているので、元支店長事案とします。この事案、なんと1994年から不正が始まっています。なんと25年間にわたり、不正行為がバレずに続いたんですね。

最初の不正行為は親族の定期積金を無断解約し、その後も掛金を毎月着服するところから始まります。取引先とのゴルフや飲食のためだといいます。その親族の定期積金の満期が近付くと、親密な取引先から500万円を借り入れて返済。その後この借入の返済のために、別の顧客の定期預金を無断で解約。

この時、着服したお金の返済を目論んで行った株式投資(信用取引)で失敗し、不正の連鎖に完全にはまってしまいます。得意先担当(ヒラ)の彼は、こうしたことを繰り返しながら、支店長にまで昇格し、支店長として勤めた3支店でも不正を継続。最後に顧客からの問い合わせで、今年4月に発覚しています。

なぜこれほど長期間発覚しなかったか

「なぜこれだけ長期間不正がバレなかったのか」という疑問がわきます。7回の転勤では前任者と後任者の間で引き継ぎがあるはず。また、次長や支店長に昇格する際には、それなりのチェックもあるでしょうにね。この辺りの詳細の考察は報告書に任せるとして、一点だけ気になったことがあります。

「エリア人口の減少に対応するため、営業力強化が行われ、その一環として本部の管理部門が縮小されている。そのため、ビジネスモデルに応じた不正や事故が発生するリスクに見合う内部管理態勢となっていない。」という報告書の警告です。

何とか黒字にするために、収益を増やすために、内部管理部門を縮小。地銀や信金も全く同じ状況でしょう。地域金融機関における不正リスク、実は足もとでかなり大きくなっているのかもしれません。

3支店3名の不正については次回にでも。

レオパレス21 一級建築士の懲戒処分について

国土交通省は12/20、建築士法に基づき、レオパレス21の一級建築士3人の免許を取り消しました。アパートでの施工不良が相次ぎ見付かった一連の問題を受けて、ということですが、行政処分は初めて。「免許取消」というのはおそらく最も重い処分でしょうね。

令和元年度 一級建築士の懲戒処分について(第2回)

これが国土交通省が公表した資料のタイトルです。第2回とありますので、令和以降で第1回というのもあるということですね。まずこの第2回では、レオパレスの一級建築士3名の免許取消のほか、14日間の業務停止の処分を受けている建築士がいます。

第1回の処分は令和元年9月6日付けで、同じく4名が処分を受けています。こちらは業務停止1ヶ月の人と14日の人が2名ずつです。もう一回遡って、平成30年4月3日付け処分では、計11名の処分が下っていました。最も長い人で5カ月の業務停止となっています。過去3回分の処分を見る限り、他に免許取消は見当たりませんでした。

レオパレス21の対応

建築士処分してもねぇ、、、と思いつつレオパレス21のホームページをチェック。今回の免許取消を受けて、同社は次のようなお知らせを出してました。

「今回の処分は一級建築士3名に対して行われたものですが、当社はこれを”会社”に対して下された処分と受け止めております。当社としては、今回の処分内容を真摯に受け止め、このような事態を二度と発生させることのないよう、今後はより一層コンプライアンス体制を強化するとともに、法令を遵守し、適切に業務を行ってまいります。」

直近大炎上した郵政トップの対応と違って、なかなかいい感じですね。一応、合格点のコメントです。話変わって、何度かチェックしてきた入居率の推移、11月はさらに低下して79.21%になってますね。前月から0.28%低下です。このぶんだと12月は79%割れてきそうな気配です。

大和ハウス 実務経験証明書虚偽記載で施工管理技士取得

またまた大和ハウスです。当ブログの常連さんになってきました。毎月のように何かしらネタを提供していただいてます。今回は349人もの社員が、国家資格である「施工管理技士」を、必要な実務経験を満たさず受験して合格していたというもの。と、ここまでは日本経済新聞の書きぶりです。

実務経験証明書

「必要な実務経験を満たさずに受験して合格」って、なんかおかしくないですか。ということで、この国家資格、受験に際しての手続きを調べてみました。受験願書を提出する際に必要な書類の一つに、「実務経験証明書」というのがあります。自身が従事した経験内容を証明する書類です。

どういった工事を何年行ってきたかを記入し、現在所属している会社の社印と代表印を押印して提出することになっています。つまり、大和ハウスは日本国、国土交通省に対して、受験する自社の社員の実務経験年数を偽って証明(捏造)したわけです。正しく報道するなら、「実務経験証明書を偽装して合格させていた」ですね。

確認不足が原因

また、日経では確認不足が原因だったと伝えていますが、現役社員の資格保有者の8%にあたる社員がこんなことやってるわけです。社内では「自己申告だし、チェック入らないから大丈夫」、、、というのが常識になってたとしか思えませんよね。

確認不足ではなく、社員への教育不足ですし、ルールを守るのが当たり前という、ごく一般的なカルチャーがないんだと思います。この会社やっぱり不祥事が発生する素地がありそうです。加えてもう一つ気になるのは、これって大和ハウスだけの問題なのか?他社でもやってないか?というところ。

資格取得者は会社も増やしたいはず。もちろん社員も資格を取得したいはず。で、資格取得を奨励する会社が受験資格を証明するという構図はコンプライアンス上いかにも脆弱です。一次試験に合格後、必要な実務期間を経過しないと本試験が受験できないような仕組みにするべきでしょうね。

日本郵便 切手横領 3人目

今度は池袋、サンシャイン60内郵便局で元課長代理が郵便料金として受け入れた郵便切手を、今年4月までに計527万7千円相当、横領していたことを公表しました。元課長代理は既に7/19付で懲戒解雇されています。全額弁済の意向を示しているとのこと。

またまた出てきた

① 芝郵便局 総務部課長 40代男性 1憶4000万円
② 神田郵便局 郵便部課長代理 50代男性 4億円
③ サンシャイン60郵便局 課長代理 50代男性 527万円

いずれも手口は同じです。今回のサンシャイン60郵便局の件は、4月の業務検査で発覚したということですが、公表したのは12/4です。約1か月前には、総務省から「日本郵便が自ら不祥事を公表していない点」を問題視し、情報公開の在り方を検討するよう行政指導を受けていたはず。そこからでも1か月間公表しなかったことになりますね。

芝郵便局の件の行為者が、朝日新聞の取材に「他の人も絶対やっている」と語ったというニュースもありましたが、こりゃ相当出てきそうです。いや、ひょっとすると既にたくさん見つかっていて、収拾がつかない状況なのかもしれません。いずれにしても悉皆調査は避けられません。

実態に向き合わない経営

公表に対する姿勢を見ても、この会社の経営陣が現場や実態に向き合おうとしていないことがよく分かります。今回のサンシャイン60郵便局の件も、プレスリリースとして12/4に公表されていますが、12/6時点では既にアーカイブから消されているようです。これってどういうことなんでしょう。全く理解に苦しみます。

そして、このプレスリリース。よく見ると発信者が「日本郵便東京支社」となっています。その他のリリースは「日本郵便」なのに。不祥事は支社に責任取らせて、本社は関知せず。ということでしょうか。

キックバック 丸井グループ部長 6500万円着服

マルイは良い会社だ、なんて書いたのもつかの間、グループ会社のメンテナンス部長が下請け業者に水増し請求させてキックバック、6500万円を着服して逮捕されるという事件が発生しました。着服した資金は株取引に充てたとみられているとのこと。

事件の概要を整理

逮捕されたのは丸井グループの施設管理会社「マルイファシリティーズ」のメンテナンス部長。逮捕容疑は、店舗の照明をLEDに変更する工事をめぐり、下請けの工事会社に水増しした見積書を作成させ、マルイファシリティーズに提出。同社から過大な工事費を支出させ、7700万円を詐取したというもの。

日経の記事などはやや錯綜した報道になっていましたが、この事件3つの金額が出てきています。1億3000万円、7700万円、6500万円。少し整理しておきましょう。水増しすることにより、マルイファシリティーズが余分に払わされた金額が、2013年10月から2014年6月の間で7700万円。この期間以外にも同様の手口で詐取されていて、合計で1億3000万円ということのようです。

そのうちの6500万円を容疑者が着服しているといいますから、あともう6500万円の行方が分かりません。報道によっては、1億3000万円を詐取した金額としてるところもあれば、業者に発注した金額と伝えているところ(日経)もあります。まだ混乱してますね。

一番わかりやすいのは、容疑者に協力した下請け業者側の担当者が、山分けで6500万円を手にしているというシナリオですね。もう少し捜査、報道が進むのを待ちましょう。

発覚の端緒

この件、どのようにして発覚に至ったんでしょう。この手の業者との癒着みたいな関係は、内部通報により発覚というパターンが多いんですね。丸井グループは「丸井グループホットライン」という、取引先にも開放された内部通報制度を設けていて、社内に加えて社外の弁護士事務所にも窓口を設けているようです。WCMS(内部通報制度認証)はまだみたいですが。

今回の事件、メンテナンス部長は背任罪(刑法247条)の対象になり得るとして、社内的には懲戒解雇ということでしょうね。残るはやはり、下請け業者側へ損害賠償請求・・・といった展開になっていくのかが注目されます。