TOYO TIRE株式会社 偽装免震ゴムで福岡のタワーマンションを買い取り

東洋ゴム工業(現・TOYO TIRE)がデータを偽装した免震ゴムを使用し、解体が決まった福岡市内の超高層賃貸マンション「カスタリア大濠ベイタワー」の譲渡先がTOYO TIREだったことが分かったそうです。取得価格は37億4千万円、責任を取ったということですかね。

データ偽装免震ゴム

東洋ゴム工業が免震ゴムのデータを改ざんし、国の性能基準を満たさない製品を製造販売していた問題。2015年に表面化し、国内の自治体庁舎やマンション、病院などで使用されていたため、免震ゴムの交換を余儀なくされました。

kuniもデータセンターの安全性をチェックした際に、実際に使われている免震ゴムを初めて見ました。そこで使われていたのは東洋ゴム製ではなく、一安心した記憶があります。たしか2018年のことです。

その時に思ったのが、こんなところに使われている免震ゴム、どうやって取り換えるんだ?ってことです。建物支えてるわけで。で、やはり上記のタワマンのケースは取り換えではなく、解体することに。そのタワマンをTOYO TIREが買い取っていたというニュースなんですね。

が、調べてみると、TOYOTIREは、問題発覚後、物件ごとに免震ゴムの交換・改修を進めており、対象となる154棟のうち、今年4月末までに149棟で着工し、148棟で作業を終えているそうです。では、なぜ福岡のこのタワマンだけ解体なんでしょうね。

東洋ゴム工業

東洋ゴム工業、通称「洋ゴム」。いつの間にか社名変更してたんですね。不正発覚を機に、悪化した企業イメージを刷新する狙いですかね。毎月のように不正・不祥事が表面化していますが、その結果がこんなことになるわけです。6年経ってもまだ引きずってます。

OKK株式会社 残るは四半期報告書の提出 または上場廃止

過去の会計不正とこれへの対処における取締役の不適切な対応を公表してきたOKK。前期の有価証券報告書は10/6が提出の最終期限となっていましたが、ギリギリ10/6の提出で間に合いました。とりあえずは上場廃止の危機を脱したわけですが・・・。

会計監査人

10/6の同社の適時開示。凄いですねぇ、タイトル数でなんと14本。で、前期の有価証券報告書は、東証が上場廃止を迫る提出期限までに提出できました。前期分ですから、契約している会計監査人がおり、粛々と作業するだけの話。ここまでは想定内という結果かと。

問題は今期の第1四半期報告書でした。前期までの会計監査人が退任し、次が見つからないという状況が続いていました。これは正直ヤバいかな、と思ってましたが、上記14本の開示の中に、「一時会計監査人選任に関するお知らせ」も混じっていました。

京都の「監査法人やまぶき」が次の会計監査人になるようです。初めて聞く法人ですが、ネット等で見る限り悪い噂等もないようです。株式会社関門海などをクライアントに持っているようです。

時間との勝負

無事に会計監査人が決まったとはいえ、四半期報告書の提出期限は10/12です。12日までは4営業日だけ。いや、こんな場面ですから営業日とか言ってられなくて、土日も稼働してもらって6日間で会計監査を終わらせることになります。何とかなりそうかな。

14本のタイトルの中にはほかに、「代表取締役の退任」や「取締役の役員報酬の返上(3カ月間、50%)」などが含まれていました。あと、「特別損失の計上見込みのお知らせ」では、今回の会計不正に関する特別調査委員会による調査費用等、約650百万円を計上する見込みだと。

三菱電機 品質不正で中間報告書を公表

鉄道車両用空調装置等の検査不正について、今年9月に調査結果と再発防止策を公表するとしていた三菱電機。なんとか10/1に調査委員会がまとめた中間報告書を公表しました。

発生原因

さすがは三菱電機。メディアでも報告書の内容をかなり具体的に取り上げてますね。なので、このブログでは詳細は書きませんが、不正が発生した原因として、「本社部門と現場との距離・断絶が原因の一つ」などと報告されています。これはほんと、不正が発生する企業のどこででも見られる現象です。

会長を辞任し、シニアアドバイザーに

取締役の責任が非常に大きい不正だと思います。報告書でも、次のように指摘しています。

「三菱電機が本件品質不正問題によって存亡にも関わる危機的な状況にあり、本件品質不正問題について取締役・執行役は真摯に反省し再出発を期すべきことを、改めて強調しておきたい。本年7月に執行役社長が辞任しているが、本件品質不正問題の重大さに鑑み、三菱電機経営陣は、その経営責任を明確化する措置を講じるべきである。」

にもかかわらず、取締役会長が辞任してシニアアドバイザーに就いたとのこと。これまでなにもできていなかったのに、このあと何をアドバイスするの?って感じです。

検査成績書を自動生成するプログラム

今回の鉄道車両用空調装置等の検査不正に関して最も驚かされたのが、検査成績書の捏造にとどまらず、乱数を用いて商用試験の嘘の検査成績書を自動生成するプログラムを作成し、品質不正が発覚するまで当該プログラムの使用を続けていたこと。

検査不正等の未然防止策としてデジタル化がよく言われますが、デジタルにもこんな使われ方があるということですね。不正そのものがデジタル化されたんではどうしょうもないです。これも一つの教訓にしないと。

トヨタ 個人情報の不適切な取扱い 無断登録

トヨタ自動車は9/15、「トヨタ販売店におけるお客様の個人情報の不適切な取扱いについて」を公表しました。8/19に公表した、トヨタ販売店における個人情報の不適切な取扱いについて、全国257社の再点検を実施した結果を発表したかたちですね。

無断登録

今年3月、福岡トヨペット株式会社で、本人の同意を得ずにTOYOTA/LEXUSの共通ID発行のために、顧客の個人情報を登録したことが判明したのがきっかけでした。その後、全国の販売店において同様の事例がないか、調査を開始しています。

8/19時点の調査結果では、販売会社9社において、同IDの発行のために3,318名の顧客の個人情報を、本人の同意を得ずに登録していたことが明らかになりました。さらに全国257社の再点検を実施した結果、販売会社27社において、5,797名の顧客においても同様の無断登録があったということです。これが9/15公表分です。

合計36の販売会社で、9,115顧客の個人情報を無断で登録していたんですね。TOYOTA/LEXUSの共通IDとは、トヨタ自動車の各サイトが提供する様々なサービスを利用するための会員認証サービスです。

つまり、販売会社が入手した顧客の個人情報を、顧客に無断で入力して、別の会社であるトヨタのシステム(サービス)に会員登録してしまったということ。このことをトヨタは「個人情報の不適切な取扱い」と呼んでるんですね。いやいや、「無断登録」でしょう。

メディアも相変わらず

トヨタモビリティ東京が運営するレクサス高輪で不正車検」の記事でも書きましたが、トヨタはやはりこの件も適時開示していません。そして意趣返しを恐れるメディアはやはり大きく取り上げようとしません。いつも通りとはいえ、なんだかなぁ、、、です。

エフオン(9514) 売電価格の不正操作?(その3)

木質バイオマス(廃材等を選別・破砕した木質チップ)をエネルギー源とした発電所の開発、建設および運営など、グリーンエナジー事業を行うエフオン。売電価格の不正操作疑惑が報道され、当ブログでも過去二回取り上げました。

同社の動向

2回目に取り上げた直後の8/23、また「一部報道について」を公表し、日経が伝えた同社が不正の件に関する再調査を検討しているという記事に関して、同社が公表したものではなく、再調査する予定もないといった認識を示しました。

その後は、同社側からの開示等もなかったんですね。9/6に定時株主総会招集通知が出ているくらいです。その中にある監査役会による監査報告書でも、「取締役の職務の執行状況についても問題はない」旨の記述があります(どこの会社でもそうですが)。

エフオンの不正を憂う社員の会ブログ

そのような状況のもと、突然「エフオンの不正を憂う社員の会ブログ」なるものが公開されました。同社社員たちが内部告発者を支援する目的で、自主的に立ち上げたブログのようです。同社の中の様子が実名で書かれていて、かなり刺激的な内容になっています。

同社においてどんなことが起きているのかは実際に同ブログを読んでいただくとして、少々気になった点が。「この不正は、一企業の不祥事ではなく、再生エネルギー賦課金を売り上げの原資としている企業が、公共の利益を損なっている問題を孕んでいます。」という記述です。

読み方にもよるのかもしれませんが、同社と同様の事業を営む他の企業においても、同様のことが起きている、かのようにも読めますね。どこの業界でも、横並びで同様の不正が起きているなんてことはよくある話ではありますが。