東レ 認証不正に関する関係者処分

東レは11/8、「当社樹脂事業におけるUL認証登録に関する不適正行為に係る処分および対応の進捗状況について」を公表しました。UL認証が取り消しとなった合計62品種の約半分を再登録できたようですね。併せて今回の一連の不正に関する関係者の処分についても公表しています。

関係者の処分

認証不正が明るみに出てからかなりの時間が経ちました。認証の再登録やら、再発防止策の地道な実行など、それなりに軌道修正され、再生し始めているようです。日本経済新聞でも今回の開示は取り上げられていましたが、「東レ、部長級以上39人を処分」というかなりザックリなニュース。

一応、その内訳を書いておきます。
代表取締役社長、月額報酬の50%減額(6か月間)
代表取締役 2名、月額報酬の30%減額(6か月間)
その他取締役 5名、月額報酬の20~10%減額(6~3か月間) という処分内容。

そのほかでは、樹脂UL認証における不正に部長級以上の職責で関わっており、現在も東レグループ内で部長級以上の地位にある者については、降格降級相当が29名、減給が8名、譴責が2名となっています。

再発防止

今年4月に有識者調査委員会の調査結果報告を受け、再発防止に向けた改善対応を半年ほど実施してきての今回の開示。かなりの長期間にわたって、「まぁ、こんなもんでいいだろう」と続けてきた不正行為。いつものことだけど、経営者がどれだけ「本気」で改善しようとしているのか、、、がすべてです。

三井住友 SMBC日興証券、合計22人を一斉処分

日本経済新聞は11/5、「三井住友とSMBC日興、トップら22人一斉処分」と報じました。金融庁から相場操縦と銀証の情報共有規制違反で一部業務停止命令などを受けたSMBC日興証券でしたが、グループ全体で合計22人を一斉処分するということになりました。

相場操縦

以前、当ブログでも取り上げましたが、最も大きな法令違反は相場操縦でした。SMBC日興、当初は違反性を巡って当局と全面的に戦うかのような姿勢でしたが、とうとう全面降伏となりました。「誰が見てもこれおかしいよね」っていう感じでしたけどね。

銀証の情報共有規制違反

さらに、銀行から証券に顧客を紹介する際に遵守しなければならない法も守っていませんでした。顧客の同意を得ることなく、銀証間で顧客に関する情報を共有していたというもの。これもまたちょっと信じられないような法令違反です。銀行系証券では最も重視すべき法令ですからね。

そして証券、銀行、持ち株会社すべてで

そのため、グループすべての会社から処分者が出るという事態になってしまいました。証券には銀行から沢山人がやってくる。経営に近いポストほど銀行員が増え続け、証券の業務が分からない。しょうがないので外資系証券などからあぶれた、実務に明るく、馬力のある人をどんどん採用する。

こんなふうに組織が壊れていき、コンプラお構いなしの会社ができるんですね。銀行系証券会社では、どこも似たような現象、起きてるだろうなぁ。

株式会社オークファン 特別調査委員会を設置

オークファンは10/21、「特別調査委員会の設置及び2022年9月期決算発表の延期に関するお知らせ」を公表しました。同社の連結完全子会社である株式会社 SynaBiz(シナビズ)において、複数事業年度に渡って不適切な取引及び不適切な会計処理が行われていた疑念があることを認識したということです。

オークファン

オークファンは廃棄ロス削減のため企業の保有在庫を流動化させるトータルEC支援ソリューションを展開する企業です。在庫価値ソリューション事業と商品流通プラットフォーム事業が主な事業となっています。創業は2007年。元々はオークションの価格比較・相場検索サイトの運営事業を行っていた、デファクトスタンダードという会社だったみたい。

SynaBiz

SynaBizはオークファンの100%子会社で、WEBで卸売り・仕入れマーケットプラットフォームを運営したり、余剰在庫、返品商品の再流通事業などを手掛けている企業です。WEB上で買い手と売り手を結び付けて商売。実際のブツは同社を経由しないとなれば、架空取引なんかにはうってつけのビジネススタイルですね。

不正の概要

外部機関による今年7月から現在に至るまでのヒアリング調査に対応する過程で発覚したようです。「2022年9月期を含む複数事業年度に渡って、その実在性に疑念がある商品販売委託取引、その他の不適切な商品取引及び不適切な会計処理が行われていた疑念があることを認識した」とのこと。

この表現だと架空取引はまず確定って感じですね。まだまだいろいろ出てきそうな感じ。さらに、「本件に関与した人数並びに役員の関与については、現時点で確認できていない」、と、わざわざ付け加えているところも気になります。組織的に行われてきたことを匂わせます。

レオパレス21 報道に対して反論

レオパレス21は新潮の報道に対して、「当社に関する報道について」を公表しました。報道の内容についてほぼ全面的に否定する内容となっていて、これを受けた10/21の株式市場では同社株は買い気配で始まるという、前日とは対照的な動きとなっています。

レオパレス21の反論

「入居率嵩増しの手口として審査不合格者の入居、家賃滞納者の居座りを容認」
「仲介業者と結託して不正を働いた社員がいた」
「3 カ月以上の家賃滞納者には立ち退きを迫るはずなのに、2 年近く放置していた」
「部屋の退室に関し解約処理をわざと翌月にずらし、契約状態の部屋とカウントすることで入居率の上乗せを図っている」

という新潮の報道に対してそれぞれについて事実無根であるとして否定、もしくは適切な対処がされている旨訴えています。これが本当ならなぜ内部告発が・・・、ということになります。火のないところに煙は立たぬ、、、と言いますように、何か起こっているのは事実でしょう。

株価の方は

株価の方はというと、前日の終値274円に対して、買いが集中し、306円で始まりました。その後319円まで買われる場面もありましたが、そこからはじり貧という値動き。結局終値は290円の16円高となりました。

株価の動きがすべてを表していると思いますね。これまでさんざん顧客や株主を裏切ってきているだけに、たった一枚の開示(反論)だけではね。多くの投資家は同社とリスクを共にする覚悟はできなかったということでしょう。

内部告発が行われたあたり、経営陣の中での内紛とかが始まってるんでしょうか。さてさてこの後どういう展開になることやら。

レオパレス21 いきなりストップ安

10/20の株式市場で、当ブログでも何度も取り上げてきたレオパレス21がストップ安(80円下げて274円)となりました。施工不良問題が次々に発覚していたあのレオパレスです。それでもこのところ株価は回復してきており、300円台を固めて400円を窺うような動きを見せていたんですけどね。

デイリー新潮らしい

きっかけはデイリー新潮というメディアが報じたニュースのようです。入居率が80%を下回ってくるとヤバい。みたいに言われていたレオパレス。一時期77%まで下がっていた入居率がその後するすると80%台を回復していたんですね。

同社が月次で公表しているこの入居率、意図的な「数字工作」が行われていたということです。メディアが報じるところによれば、「経営陣主導のもと入居率の数字工作が行われていた」としています。ん~、確かに感触的には数字が操作されていたというのは納得できる話です。

内部告発

このことが明るみに出たのは、内部告発文書がレオパレスの社外取締役である弁護士や、コンサルタントなどに送り付けられたためだそうです。ただ、この文書が送り付けられたのが昨年の10月ということになってるのが解せないところ。社外取締役等はこの内部告発文書を1年間にわたって握りつぶしてきたということでしょうか。

もちろんメディアにしても裏取りに時間はかけるでしょうが、1年間というのはちょっと長すぎじゃないかと。入居率の数字工作も大問題ですが、この期にいたってなお、内部告発を隠蔽する力が働いていたとしたら、こちらも相当問題ですね。