東京衡機 不正取引 第三者委員会を設置

株式会社東京衡機は12/9、「第三者委員会の設置に関するお知らせ」を公表しました。外部機関より同社の商事事業の売上計上の一部に疑義があるとの指摘があったということです。このことを受け、外部の有識者で構成される第三者委員会を設置して調査を開始します。

東京衡機

東京衡機(とうきょうこうき)は素材や部品などの、実働条件下における耐久性などの評価で利用する試験・計測機器のメーカーです。自動車、鉄鋼、鉄道などのメーカー、各種研究機関などに提供しています。創業は1936年という歴史のある東証スタンダード上場企業です。

久々に株価を見てビックリ。昔は2,000円以上していたのに、いまでは200円ちょっとの株価になっています。本業が厳しいんでしょうね、日用雑貨、家電の仕入・販売や輸出入、各種サービスを手掛ける商事事業なる事業にも手を出してるみたい。不正な取引はこの商事事業で起きています。

不正の概要

外部機関より、当該事業に係る売上計上の一部について、実質的には、取引の主体となっていない代理人取引や、金融的取引等があるのではないか等の疑義を呈されたということです。外部機関っておそらく税務当局でしょうね。今回開示された情報はこれだけ。架空循環取引なんかが出てくるんでしょうか。

この会社相当ボロボロになってるみたいで、数年前にも中国子会社で執行役員らによる不正取引が発覚しています。よくある海外子会社へのガバナンスの形骸化ってやつですね。

設置した第三者委員会の調査の対象は、同社が商事事業を開始した2019年(平成 31 年)2月期以降の有価証券報告書および四半期報告書に係る商事事業の取引および会計処理としています。

電通 セレスポ 五輪テスト大会談合で強制捜査

東京五輪・パラリンピックの大会運営を巡って、テスト大会の計画立案業務の入札で談合があったということです。東京地検特捜部と公正取引委員会は、各社間で落札者を事前に決めるなどした行為が独占禁止法違反に当たると判断し、強制捜査に踏み切りました。

電通グループ

電通は国内外で広告事業を手掛ける総合広告会社で、日本では最大手企業です。企業買収による海外での広告事業拡大を加速させ、世界的にも大手の一角。五輪やサッカーワールドカップなどの大型スポーツイベントの各種権利獲得にも積極的に取り組んできました。

セレスポ

セレスポは「セレモニー」、「スポーツ」、「プロモーション」、「フェスティバル」、「コンベンション」を5つの柱に、企画から当日の設営・運営に至るまで、トータルでプロデュースするイベント制作会社です。設備・設営に関するノウハウを持ち、オリンピック・地方創生などのイベント企画企業としても注目を集めてきました。

談合の概要

独禁法違反の疑いがもたれているのは、2018~21年に計56回開催されたテスト大会の計画立案業務だそう。特捜部と公正取引委員会は、会場ごとに行われた計26件の競争入札を巡り、受注した電通やセレスポなどが受注調整していたとみています。26件実施された入札のほとんどで、参加企業が1社だけの「1社応札」だったとも言われてますね。

この26件の落札額は数億円とみられていますが、その後のテスト大会の実運営や本大会の運営業務にまで、計画立案した会社が事実上、一体受注していたと見られており、その合計額は数百億円になるということです。これまで報道されてきたオリンピック関連の不正とは、けた違いの事件になりそうです。あらためて大会組織委員会のガバナンスの欠如が問われそうですね。

サカイホールディングス 会計監査人の変更

サカイホールディングスは11/16、「公認会計士等の異動に関するお知らせ」を公表しました。今年6月に就任したばかりの会計監査人が退任し、今度は有限責任中部総合監査法人なるところが新たに就任するんだそうです。

子会社の会計不正

連結子会社の株式会社セントラルパートナーズで、代表取締役の指示に基づき経理部長が6年間にわたり売り上げを水増しするという会計不正。以前当ブログでも取り上げました。子会社における典型的な、経営や親会社に対する忖度で発生した不正でしたね。

調査結果が3月に公表され、一件落着したわけですが、その後6月には、なぜか会計監査人が変更になります。で、その際就任した一時会計監査人が今回退任するという流れ。これだけちょこちょこ変更されると会計監査人も監査やりづらいでしょうね。

新たな会計監査人

今回の開示にはこんなことも。「監査役会で決定した 2022年10月24日時点で速やかに開示すべきところ、本日まで開示を遅延することとなった経緯と致しましては、株主総会議案として取締役会の決議後に開示するものと誤った認識によるものです。深くお詫び申し上げます。」

のっけからケチが付いた格好ですね。さらに今回就任した「有限責任中部総合監査法人」。日本公認会計士協会の上場会社監査事務所登録制度における登録状況が、「現在、準登録事務所名簿への登録を申請中」となっています。

なんとまぁ、とりあえず急場しのぎで取り繕うかのような会計監査人の選定です。この監査法人、設立が2022年9月となっています。大丈夫かいな、サカイホールディングス。

日本製鋼所 不正行為に関する調査結果

日本製鋼所は11/14、「当社子会社における不適切行為に係る調査結果及び今後の取り組み等について」を公表しました。子会社である日本製鋼所 M&Eにおける不正について、5/20に設置した特別調査委員会の調査結果を公表。6か月間に及ぶ調査になりましたね。

調査結果 違和感その1

これまで火力発電向けの鉄鋼部材で検査不正があったとしていましたが、やはり他の製品にまで拡大し、不正行為は1998年以降で合計449件となったようです。さらに、新たに原子力発電所に関する製品で、データの改ざんなど20件の不適切行為があったということです。

原子力製品では2013年からデータの改ざんや捏造(ねつぞう)、虚偽記載が行われていたものの、この不正があった原子力発電所に関する製品については、海外向けのものであり、国内での使用実績はないとされています。これ、信用していいんだろうか。報告書を読んでいて感じた違和感その1です。

違和感その2

調査の対象とされたのは、室蘭製作所(日本製鋼所 M&E)、広島製作所、横浜製作所、名機製作所ということでしたが、不適切行為が確認されたのは室蘭製作所(日本製鋼所 M&E)において製造出荷された製品のみであり、広島製作所、横浜製作所、名機製作所において製造出荷された製品については、不適切行為は確認されていないとのこと。違和感その2。

室蘭製作所(日本製鋼所 M&E)がもつ特殊な生い立ち(機能分社による子会社化の歴史)が原因だとされているのですが、ここまでくると何をどう説明されてもしっかりと腹落ちしません。この感覚、kuniのような投資家のみならず、取引先においても同様ではないでしょうか。

最後に、国内では使用されていない(つまり海外では使用されている)。の方が今後の同社に対する損害賠償等のリスクは大きいという点は押さえておく必要がありそうです。

株式会社グローバルキッズ COMPANY 運営費の不正受給

グローバルキッズ COMPANYは11/11、「当社連結子会社における不正事案の社内調査及び再発防止策に関するお知らせ」を公表しました。保育士数を水増しして運営費を不正受給していたということらしく、今年6月に第一報が出ていたようです。完全に見落としていました。

グローバルキッズ COMPANY

グローバルキッズ COMPANYは、首都圏を中心に自治体から認可などを受けた保育施設および学童クラブ・児童館、児童発達支援事業所などを運営する「子育て支援事業」を営む企業です。2015年設立という若い企業ですが、東証プライム市場上場企業です。

不正の概要

問題となった不正というのは、保育士の「名前貸し」を行い、保育士の人数を水増しして、行政から補助金を不正に受給していたというもの。2022年1月に東京都が同社に「特別指導検査」に入って全園に一斉検査を行い、行政への虚偽報告が発覚しました。

本部関与の下、本社で働く保育士資格のある社員19人について、勤務実態のない保育園で働いていたかのように、名簿や出勤簿を偽造していました。少なくとも15年4月から19年12月までの間、都内の認可保育園11カ所、認証保育園5カ所で虚偽の報告をしていたとのこと。不正受給の合計額は、少なくとも3,400万円に上るということです。

開示の在り方

会社ぐるみでの虚偽の報告による不正受給という、非常に問題ある不正行為なわけですが、詳細はここでは書きません。開示を読んでまず一番に感じるのが、開示の頻度やタイミング。さらに今どういう状態なのかが非常に分かりにくいこと。こんな報告を部下から受けた日には、間違いなく突き返すと思われるほど、いい加減な内容です。

こんな開示で再発防止策とか言われても、、、って感じ。今現在も同社の体質は何も変わっていないのでは?と感じます。