ITbookホールディングス 従業員の不正行為(横領) 調査結果

ITbookホールディングスは6/27、「調査委員会の調査報告書の受領に関するお知らせ」を公表しました。経理担当マネジャーがATM から現金を着服し、その行為を隠蔽するために、ATM からの出金が正当な処理と思わせる会計上の操作を行っていたという件の調査結果です。

結果の概要

2021年8月から2023年5月にかけて、同社の口座から、セブン銀行ATMでキャッシュカードを利用して合計6,750万3,300円を不正に引き出し、遊興費として費消していたということです。当然、発覚を恐れて、仮払金を不正に計上するなどの会計処理を行い、隠ぺい工作も行っていました。

もちろん行為者が悪いんだけど

当初公表されていた通りの横領額でしたが、発生に至る経緯が酷過ぎます。不正な会計処理により仮払金の残高が突如増大したことなどが何度か経理部の部長に相談されているんですが、同部長はまったく機能せず、2年間近く放置されてしまいます。

で、最終的に事が発覚したのが、同部長が当該キャッシュカードを使用しようとした際にカードがなく、初めて入出金履歴を精査したタイミングだったということです。このキャッシュカード、手提金庫に入れてあったということですが、施錠もされていなかったとか。

これって、どう見ても上場企業の管理レベルではありません。起こるべくして起きた不正行為であり、もちろん行為者が一番悪いんだけど、経理部の部長や、同部を管理する担当役員などの責任が問われてしかりですね。

こうして横領に関する調査は終わったようですが、同社では別途会計不正に関する疑義を特別調査委員会が調査しています。2023年3月期決算については、この調査結果を待って訂正するとしています。

株式会社ヤマウラ 不適切な支出 さらに拡大 25億円?

株式会社ヤマウラは6/22、「社内調査及び第三者委員会による調査の進捗状況に関するお知らせ」を公表しました。連結子会社から、少なくとも334百万円の不適切な支出が行われていたことを公表していましたが、その後の調査でその金額がさらに拡大しているようです。

不適切な支出

前回の開示では、「不適切な支出」と表現されていたんですが、その概要が明らかにされました。ヤマウラの経理責任者で東京の子会社の経理担当を兼務していた者が、当該子会社の資金を自身の子どもが経営している会社に不正送金していたということです。

不正に送金した先は少なくとも4カ所で、自分の子どもが代表を務める会社には3億3,400万円を、また、子ども名義の個人口座や子会社とは取引関係のない会社にも送金していたといいます。

さらに拡大

前回の開示では、銀行預金残高と帳簿残高の差異が10億円ということで、最大10億円の不正支出か?という感じでしたが、この金額も増えそうな感じです。期を遡るほど不正支出のデータが見つかっているようで、銀行から取り寄せた不正支出先への振込票の合計額は25億円であることが判明しているそうです。

さらにこれら以外にも疑義のある支出があるようで、25億円で済むのかどうか、ビミョーな書きぶりになっています。ヤマウラの経理責任者ってことで、かなりの経理処理等を任されていたようなんですが、どういう職位の人なんでしょう。しかし、まぁ、凄いことになってきました。

国立研究開発法人物質・材料研究機構 室長級職員が私的流用

国立研究開発法人物質・材料研究機構は6/16、「元職員による架空業者への不正発注について」を公表しました。当ブログでは上場企業以外での不正・不祥事は取り上げてこなかったんですが、この事案についてはちょっと特別に・・・。

国立研究開発法人物質・材料研究機構

物質・材料科学技術の水準の向上を図ることを目的として設置されている機関で、世界最高水準の研究開発成果の創出・普及及び活用の促進に向けた取組を進め、我が国のマテリアル分野を牽引する中核的機関としての役割を果たしているんだそう。

不正の概要

不正を行ったのは同機構の室長職にあった者。事業実態のない架空の個人事業主に対し、調達部署の承認手続きを要しない少額契約の不正発注や経費申請の手続きにより、機構業務を架空業者に繰り返し発注する形を装い、業務委託料等を私的に流用していました。

不正発注は2015年度から2021年度までの7年間にわたり行われ、発注件数は計69件、発注金額は総額27,248,500円だったそうです。

不正は昨年末に情報提供があって発覚し、機構側が内部調査をしていたようです。公表文では、「職員は死亡により退職したため懲戒処分は実施していない」としています。報道等でも、「流用を認めた後に死亡」と表現されています。状況からすると、おそらく自殺なんでしょうね。

不正等の調査で、行為者の自殺は最も回避すべきことです。本人が真摯に語ってくれれば、他にも様々な課題が見えてきたかもしれません。もちろん民間企業であっても同様です。

THECOO株式会社 従業員による不正行為(その2)

ちょっと見落としていたんですが、THECOO株式会社は5/15、「特別調査委員会による調査の進捗に関するお知らせ」を公表していました。そもそも特別調査委員会の設置が5/8。調査を開始して1週間で進捗も何もなかろうってタイミングです。

進捗状況ではなく新たな展開

もともと「業績への影響を判断することを調査の最優先事項とし、当該事項に関する中間報告書を2023年5月15日までに提出する予定」、としていたんですが、おそらく同社としても想定していなかった新たな展開になっているようです。

3名の従業員が、自身の親族が代表を務める会社や個人、知人などに架空発注や水増発注をしていたことが判明しているようです。当初は従業員1名が単独で行っていましたが、同僚で仲の良かった他の2名の従業員らに対して、その実行方法を伝授したんだそう。トホホですな。

取締役の不正?

このような従業員の不正以外にも、2件の不適切な会計処理が行われていた可能性がでてきたといいます。いずれも現時点で全容を把握するには至っていないとしており、把握している金額も数百万円程度のようです。

しかし、新たな展開の極めつけは、これら不適切な会計処理に関して、同社社内のチャットツールの履歴で同社CFO(最高財務責任者)が宛先に含まれており、CFOが関与していた可能性が否定できないというところです。

この取締役CFOが関与していた他の会計処理の中にも不適切なものが含まれているリスクが否定できないことを踏まえ、当初の不正発注に加え、追加の疑義として徹底した調査を実施するとしています。

株式会社レイ 従業員による着服行為 調査結果

株式会社レイは6/9、「第三者調査委員会の調査報告書受領に関するお知らせ」を公表しました。4/14付けで第三者調査委員会を設置していましたから、調査期間は約2ヶ月でしたね。受領に伴い、有価証券報告書等を6/30をめどに提出する予定だそうです。

おさらい

株式会社レイは、SP(セールスプロモーション)、TVCM(テレビコマーシャル)などの企画制作と、デジタル映像インフラを駆使した実制作を行う、テレビ朝日ホールディングスの持分法適用関連会社でした。第一報では同社従業員による着服行為が過去数年にわたって行われていた事実が確認されたとしていました。

調査結果の概要

調査の結果、同社において、①仮想取引による会社資金の詐取、②不適切なキックバック、③背任行為による会社資金の詐取という不正が行われていたことが判明しています。行為に関与したのは3名といっていいと思いますが、実際に儲けていたのは2名で、詐取した金額のほとんどは1名の懐にって感じです。

仮想取引による資金の詐取は約2億2,000万円。不適切なキックバックは約4,300万円。背任行為による会社資金の詐取は約1億6,000万円だそうです。いずれも不正を働いた従業員が設立していた法人口座への入金という形。かなり壮大な金額になりましたね。

売上高が100億円程度で、経常利益が10億円に届くことが珍しい、という規模の会社で、上記のような不正がどうやって隠れ続けてきたのか。2020年3月期から行われてきた不正とはいえ、億円単位で収益や費用がブレることに、普通は誰か気が付きそうなものだけど。