セーラー広告株式会社 社内調査委員会の調査結果

セーラー広告株式会社は7/24、「社内調査委員会の調査報告書の公表並びに再発防止策に関するお知らせ」を公表しました。2か月前の5/22、発注額の一部を発注者である同社従業員に還流する仕入取引が行われていた可能性を認識し、社内調査を始めていました。

社内調査の結果

この不正を働いていたのは徳島支社の支社長で、不正に協力していたのは1事業者(個人事業主)のみというのが結論のようです。当該事業者に対し下請け取引業者として発注代金を支払い、必要の都度、支社長がキックバックを要求し、私的費用(飲食費、遊興費等)に流用していたとのこと。

発生原因等

この不正行為に関しては、支社長自らが発注業務を行い、起票しているため、発注内容の承認行為が自己承認となっていたというのが最大の発生原因。よくあるパターンですね。調査の結果、当該キックバックによる同社の被害額は、4,173 千円だそうです。

認定された不正取引は、同社グループを含め、上記不正行為のみであったと結論付けています。社内調査の進め方等、少々雑な感じもするんですが、調査結果等を受けて会計監査人による追加的な監査手続等も全て終了しているといいます、、、良しとしましょうか。

株式会社クロップス 海外連結子会社で従業員の不正行為

株式会社クロップスは7/18、「当社連結子会社(孫会社)のベトナム社会主義共和国での社会保険料未納及び同社社員による不正行為に関するお知らせ」を公表しました。連結子会社(孫会社)というのは JOB LINKS CORPORATIONという会社です。

株式会社クロップス

クロップスは愛知県を中心に東海・首都圏エリアでKDDI専売の携帯電話販売代理店を展開するほか、東海・首都圏での人材派遣事業、ビルメンテナンス事業、飲食店舗の転貸借事業、文具・生活用品や自然派化粧品の卸売などを手掛ける東証スタンダード上場企業です。

不正行為

現地メディアの報道で発覚した子会社の社会保険料が未納であった事実(日本円換算額は約178百万円)。これを契機に同社で調査した結果、この事象に関連して同社社員による不正行為が行われていた可能性が高いことが判明したとのこと。

2024年1月から同年6月にかけて、同社社員が、複数の外部者と共謀の上、虚偽の申請を繰り返すなどして、複数回にわたり同社の預金を引き出し、総額約260百万円の現金を私的流用していたといいます。当該資金の私的流用が背景となって、社会保険料の支払が適切に行われず、本事象が生じていたということです。

一時期、中国の子会社での不正がやたらと発生していましたが、最近あまり聞かなくなりました。経済の勢いが中国から他のアジア圏に移っていったように、これからの不正はベトナム等中国以外のアジア圏に移っていくんでしょうかね。

SMBC日興証券元社員 顧客から300万円詐取容疑で逮捕

報道によると、金融商品の購入を装い、自身の口座に投資資金を送金させて現金約300万円をだまし取ったとして、警視庁渋谷署は詐欺容疑で、元SMBC日興証券社員(25歳:渋谷支店の営業)を逮捕したということです。犯行が行われたのは昨年10月~今年2月までの期間らしいです。

SMBC日興証券

日興証券は株式会社三井住友フィナンシャルグループの100%子会社。国内に100店舗以上を構える従業員9000人ほどの証券会社です。現在では野村、大和、日興、みずほ、三菱UFJモルガンスタンレーが大手証券と呼ばれています。

日興証券といえば、公募増資に関するインサイダー営業や、執行役員らのインサイダー取引、仕組み債の違法な勧誘、ブロックオファー取引での相場操縦などなど。不正行為のデパートのような存在です。

逮捕容疑

同社の金融商品「日興ファンドラップ」を追加購入させる際、「会社の振込専用口座にシステム不調で入金できない。着金の確認が早いので、私の口座に振り込んでほしい」などとうそをついて、計3回にわたり現金約300万円を振り込ませて詐取したということです。なんとも古典的な手口ですね。

容疑のほかにも1000万円以上詐取してるようで、「ギャンブルや借金返済の金がほしかった」というのが動機。まだ他にも被害者いそうですね。同社の過去の数々の不正と比べると、かなり小規模な不正行為だからでしょうか、日興証券も三井住友フィナンシャルグループもコメントすら出してないようです。

ブックオフグループホールディングス 従業員の不正行為が発覚

ブックオフグループホールディングスは6/25、「特別調査委員会の設置及び2024年5月期決算発表の延期に関するお知らせ」を公表しました。同社が運営する店舗において、従業員による架空買い取りなどの不正行為が発覚したということです。

ブックオフグループホールディングス

ブックオフグループホールディングスは中古書籍・ソフトなどを扱う小売店舗「BOOKOFF」を中心に、「リユース」を切り口にした小売店舗の運営およびフランチャイズ事業を行う企業。最近では家電商品、アパレル、スポーツ用品、ベビー用品、腕時計・ブランドバッグ・貴金属、食器、雑貨などへも展開する東証プライム上場企業です。

不正の概要

同社子会社(ブックオフ)が運営する複数店舗において、従業員による架空買い取り、在庫の不適切な計上及びこれらによる現金の不正取得の可能性があることが発覚したということです。今回の開示で説明されていることはこれだけですが、「複数の店舗において」というのが不気味ですよね。

サービスの形態から考えても、いかにも起こりそうな不正だけに、他の店舗でも常態化している可能性を感じます。特別調査委員会を設置して調査を開始するとしていますが、グループの国内外全店舗において、臨時の実地棚卸も実施するようで、これにより実態がある程度見えてきそうです。

ちなみに、この日同社株は1405円で前日比163円安。10%超の下落となっています。

明治安田生命 営業職員の女性が1億3千万円を着服

明治安田生命は6/21、「元営業職員による金銭の不正な取得に関する調査終了について」を公表しました。2022年6月に一旦公表していた営業職員による金銭の不正取得を含む不適切な事案について、調査と顧客への被害金額の弁済等を完了したということです。

明治安田生命

明治安田生命は非上場企業ですが、総資産、経常収益、保険料収入で業界第3位で、4大生保(日本生命保険、第一生命ホールディングス、明治安田生命保険、住友生命保険)の一つに数えられる生命保険会社。名前の通り、旧明治生命と旧安田生命が合併して生まれた会社です。

不正の概要

不正を働いたのは新宿支社の営業職。なんと、80 歳(退社時 76 歳)の女性だそうです。1994年から2021年までの間、顧客の保険料など計約1億3千万円を着服していたとのこと。被害にあったのは計5世帯10人で、被害の大半は同社と女性により弁済されました。

顧客が保険を担保に保険会社からお金を借りられる制度を悪用し、自身の口座に入金するなどしていたようで、2020年に退職した後も職員と偽り、着服を続けていました。同社の調査に対し、金銭は生活費に使ったと話しているそうです。

いやぁ、1994年からですよ。30年近くにわたって不正が継続できていたというのは驚きです。昨年から「営業職員チャネルのコンプライアンス・リスク管理態勢の更なる高度化」に取り組んでるようですが、同社のガバナンス、問題ありです。たとえ上場企業じゃなくてもです。