東京衡機 不正取引 第三者委員会を設置

株式会社東京衡機は12/9、「第三者委員会の設置に関するお知らせ」を公表しました。外部機関より同社の商事事業の売上計上の一部に疑義があるとの指摘があったということです。このことを受け、外部の有識者で構成される第三者委員会を設置して調査を開始します。

東京衡機

東京衡機(とうきょうこうき)は素材や部品などの、実働条件下における耐久性などの評価で利用する試験・計測機器のメーカーです。自動車、鉄鋼、鉄道などのメーカー、各種研究機関などに提供しています。創業は1936年という歴史のある東証スタンダード上場企業です。

久々に株価を見てビックリ。昔は2,000円以上していたのに、いまでは200円ちょっとの株価になっています。本業が厳しいんでしょうね、日用雑貨、家電の仕入・販売や輸出入、各種サービスを手掛ける商事事業なる事業にも手を出してるみたい。不正な取引はこの商事事業で起きています。

不正の概要

外部機関より、当該事業に係る売上計上の一部について、実質的には、取引の主体となっていない代理人取引や、金融的取引等があるのではないか等の疑義を呈されたということです。外部機関っておそらく税務当局でしょうね。今回開示された情報はこれだけ。架空循環取引なんかが出てくるんでしょうか。

この会社相当ボロボロになってるみたいで、数年前にも中国子会社で執行役員らによる不正取引が発覚しています。よくある海外子会社へのガバナンスの形骸化ってやつですね。

設置した第三者委員会の調査の対象は、同社が商事事業を開始した2019年(平成 31 年)2月期以降の有価証券報告書および四半期報告書に係る商事事業の取引および会計処理としています。

サカイホールディングス 会計監査人の変更

サカイホールディングスは11/16、「公認会計士等の異動に関するお知らせ」を公表しました。今年6月に就任したばかりの会計監査人が退任し、今度は有限責任中部総合監査法人なるところが新たに就任するんだそうです。

子会社の会計不正

連結子会社の株式会社セントラルパートナーズで、代表取締役の指示に基づき経理部長が6年間にわたり売り上げを水増しするという会計不正。以前当ブログでも取り上げました。子会社における典型的な、経営や親会社に対する忖度で発生した不正でしたね。

調査結果が3月に公表され、一件落着したわけですが、その後6月には、なぜか会計監査人が変更になります。で、その際就任した一時会計監査人が今回退任するという流れ。これだけちょこちょこ変更されると会計監査人も監査やりづらいでしょうね。

新たな会計監査人

今回の開示にはこんなことも。「監査役会で決定した 2022年10月24日時点で速やかに開示すべきところ、本日まで開示を遅延することとなった経緯と致しましては、株主総会議案として取締役会の決議後に開示するものと誤った認識によるものです。深くお詫び申し上げます。」

のっけからケチが付いた格好ですね。さらに今回就任した「有限責任中部総合監査法人」。日本公認会計士協会の上場会社監査事務所登録制度における登録状況が、「現在、準登録事務所名簿への登録を申請中」となっています。

なんとまぁ、とりあえず急場しのぎで取り繕うかのような会計監査人の選定です。この監査法人、設立が2022年9月となっています。大丈夫かいな、サカイホールディングス。

株式会社オークファン 特別調査委員会を設置

オークファンは10/21、「特別調査委員会の設置及び2022年9月期決算発表の延期に関するお知らせ」を公表しました。同社の連結完全子会社である株式会社 SynaBiz(シナビズ)において、複数事業年度に渡って不適切な取引及び不適切な会計処理が行われていた疑念があることを認識したということです。

オークファン

オークファンは廃棄ロス削減のため企業の保有在庫を流動化させるトータルEC支援ソリューションを展開する企業です。在庫価値ソリューション事業と商品流通プラットフォーム事業が主な事業となっています。創業は2007年。元々はオークションの価格比較・相場検索サイトの運営事業を行っていた、デファクトスタンダードという会社だったみたい。

SynaBiz

SynaBizはオークファンの100%子会社で、WEBで卸売り・仕入れマーケットプラットフォームを運営したり、余剰在庫、返品商品の再流通事業などを手掛けている企業です。WEB上で買い手と売り手を結び付けて商売。実際のブツは同社を経由しないとなれば、架空取引なんかにはうってつけのビジネススタイルですね。

不正の概要

外部機関による今年7月から現在に至るまでのヒアリング調査に対応する過程で発覚したようです。「2022年9月期を含む複数事業年度に渡って、その実在性に疑念がある商品販売委託取引、その他の不適切な商品取引及び不適切な会計処理が行われていた疑念があることを認識した」とのこと。

この表現だと架空取引はまず確定って感じですね。まだまだいろいろ出てきそうな感じ。さらに、「本件に関与した人数並びに役員の関与については、現時点で確認できていない」、と、わざわざ付け加えているところも気になります。組織的に行われてきたことを匂わせます。

ナカノフドー建設 不適切な会計処理に関する調査結果を公表

ナカノフドー建設は6/27、「内部調査委員会の調査報告書受領に関するお知らせ」を公表しました。海外連結子会社タイナカノ(同社出資比率49%)において、不適切な会計処理が行われていたことが判明したため、内部調査委員会を設置して調査をしていました。

会計不正の概要

平成31年3月期から令和4年3月期にかけ、工事原価を他の工事に付け替えることにより費用を先送りする会計不正が組織的に行われていたというもの。2017年頃から日系企業から受注する工事が減少し、外資系企業やローカル企業から工事を受注するため、ローカルの建設会社との間で価格競争にさらされたといいます。

そのため、採算の取れそうもない工事を受注しては、赤字を回避するために支払いを渋る。協力業者との間で別の工事に原価を付け替えることで何とか了承を得る。みたいなことを繰り返してたんですね。タイナカノの社長、副社長など、経営層の指示によりこうした原価移動が実施されていたということです。

本社海外事業本部からの受注獲得に対するプレッシャーが、、、ということが発生原因とされていますが、まぁこんなことどこの企業でもあるわけで。

アジア現法の実態

タイナカノはタイに進出する日系企業の倉庫や工場の建築工事を受注して施工してきました。設立以降、日系企業のタイを含む東南アジアへの進出が盛んであったことから、受注件数は安定的に伸びていましたが、2017年ころから、日系企業から受注する工事が減少しています。そこに新型コロナが追い打ちを。

海外現地法人で日本企業の進出を前提に設けられた企業はたくさんあるでしょうが、どこも同じ状況かもしれませんね。報告書を読んでいて、「ナカノフドー建設以外にも結構出てきそうだなぁ」と感じた次第です。

三協フロンテア株式会社 会計不正等の調査結果を公表

三協フロンテアは6/27、「調査委員会の調査報告書受領に関するお知らせ」を公表しました。第一報が5/17でしたから、わずか1ヶ月ちょっとで調査完了ということですね。2022年3月期の決算短信についても同日開示。大きな影響がないということで、過年度の有価証券報告書の訂正もありませんでした。

不正等の概要

そもそも今年1月の、東京国税局による原価の付け替え事案の指摘がきっかけだったようです。さらに水増し請求や架空請求によるキックバック等の不正(地域の営業担当者17名)についても指摘を受けています。国税局の調査により、ある程度不正が判明していたんですね。

「架空請求、上乗せ請求・現金および物品のキックバック」と整理されている事案だけでも、協力業者8社が登場し、同社の損害額は約4,700万円。「架空請求等および着服」と整理されている事案についても、少なくとも3社以上の協力業者とつるんでおこなっており、同社の損害額は約840万円。

「原価の付け替え案件」と整理されている事案については、まぁあちこちでやってたようですが、同社決算への影響額は(同社の原価総額に比して)極めて少額とされています。

「プール金設定案件」については、架空工事による仕入代金を上乗せし、水増しした請求書を同社に提出してもらい、水増し分を当該仕入先にプールするという手口。プール金の設定およびその取崩しは、営業担当者において、もっぱら現場ごとの粗利率の平準化を図るために実行されていたということです。

細かい話はこの辺りにしておきますが、結果的に巨額の不正には至らずという調査結果です。とにかくいろんな従業員が、多くの協力業者や仕入れ先と、昔ながらの「なあなあ」の関係で、今では不正と呼ばれる行為を継続してきていたということのようです。

最も問題なのは、こうしたカルチャーを自社で発見し、是正出来てこなかったということ。で、一番不細工な国税当局の指摘で初めて気が付いた、、、という点につきますかね。