オイシックス・ラ・大地 不正会計に係る調査報告書を公表

オイシックス・ラ・大地は3/27、「エス・ロジックス株式会社における不適切会計に係る調査報告書受領及び2025年3月期第3四半期決算発表予定日に関するお知らせ」を公表しました。同社が連結子会社化したシダックスの子会社での不正会計に関する調査結果です。

調査結果

エス・ロジックスにおいて、月次で実施している実地棚卸の結果及び外部倉庫から報告された在庫数を記載した「棚卸表」の数値を虚偽の数値に書き換えた上、シダックスグループ全体で利用している経理システムに入力することにより、棚卸資産の過大計上を行っていたとのこと。直近10年間で過大計上額は約4億7,570万円でした。

行為は従業員1名により行われ、当該従業員以外の者は関与していないことが確認されたといいます。また、行われた不正は、棚卸資産の過大計上のみであり、架空売上・架空仕入及び横領を含む私的 な利得を目的とした他の不正行為は認められなかったとしています。

当該従業員が所属する事業部が、目標予算の未達で赤字が継続する中、赤字継続により事業譲渡又は事業廃止を懸念した従業員が、棚卸資産の過大計上により、予算を達成することを目的に開始され、約10年間継続されたんだそう。

調査不足

上記とは別のフード事業の各店舗の店長等の責任者約1700名に対するアンケート調査及びその後のヒアリング等による調査で、8件の100万円を超える不適切在庫が判明したようです。うち7件については上記の不正と同様の手口。しかし、小口のためかそれ以上の調査はしていない模様。これ、マズくないかぃ? こんなに簡単に別件が出てくるんだからもっと本格的に横展開しないと。

サイバーエージェント 子会社サイバーアウルで不適切な会計処理が発覚

サイバーエージェントは3/26、「社内調査委員会の設置に関するお知らせ」を公表しました。100%子会社である株式会社CyberOwl(サイバーアウル)において、不適切な会計処理が判明したとのこと。この事案の解明等を目的に、外部の専門家を含む社内調査委員会を設置するとしています。

サイバーエージェント

サイバーエージェントは独立系のインターネット広告代理店。インターネット広告の制作・運用のほか、スマートフォンゲームの開発・運営や、スマートフォンなどからも視聴できるインターネットTV「ABEMA」なども手掛ける東証プライム上場企業です。

事案の概要

今回開示されたのは冒頭に書いた、「不適切な会計処理が判明した」という事実のみ。どのような内容なのかは全く示されていません。同日、「サイバーエージェントのある事業をサイバーアウルに承継することを中止する」なども開示されていることから、当該事業継承の手続きを進める中で発覚したものと思われます。

このての子会社で不適切会計処理が見つかるケースでは、買収した子会社が買収以前に行っていた不正会計等が今になって出てきました、みたいなパターンが多いですよね。しかし、このサイバーアウルはもともとサイバーエージェントが設立した会社のようで、役員も全員サイバーエージェント出身者。買収した企業だからという言い訳はできません。

金融庁出向中のインサイダー取引 元裁判官に有罪判決

金融庁に出向中にインサイダー取引をしたとして、金融商品取引法違反(インサイダー取引)罪に問われた裁判官出身の元金融庁職員(32歳)。その判決公判で、東京地裁は3/26、有罪判決を言い渡しました(この事件の経緯等は過去記事でご覧ください)。

判決の内容

判決は「懲役2年、執行猶予4年、罰金100万円、追徴金約1020万円(求刑は懲役2年、罰金100万円、追徴金約1020万円)」という内容です。求刑に対して違ったのは、「執行猶予4年」というところですね。

「金融庁による監督制度の信頼を大きく失墜させた。規範意識の欠落は甚だしい」と断じたそうです。「市場の公平性と健全性、市場に対する一般投資家の信頼を大きく損なった」とも。そのとおり。執行猶予なしでよかったのに。

これまで明らかになっていなかったんですが、被告はTOB情報を利用したインサイダー取引を重ね、約393万円の利益を得ていたそうです。

さて金融庁は

前にも書きましたが、この事件。裁判官の出向を受け入れ、企業開示課課長補佐として働かせていた金融庁の責任も問われて然り。このあと金融庁としてどのような対応(処分や再発防止策など)をとるんでしょうかね。

ニチレイ 子会社ニチレイフーズの中国子会社で代表者による不正行為

ニチレイは3/25、「当社中国子会社における元従業員による不正行為に関するお知らせ」を公表しました。ニチレイフーズの中国子会社である日冷食品貿易(上海市)で、元董事長兼総経理が勝手に取引先の債務を保証したり、経費を流用したりするといった不正があったということです。

ニチレイ

ニチレイは、冷凍食品を扱う加工食品、温度管理が必要な食品を保管し輸配送する低温物流を主力事業として展開しています。冷凍食品や冷蔵倉庫では国内トップの売上高を誇る東証プライム上場企業です。そのニチレイの孫会社にあたる中国企業での不正ということになります。

不正の概要

董事長兼総経理が勝手に取引先の債務を保証したり、経費を流用したりするといった不正が行われ、不正による損失額は最大約9000万円になるとのこと。ニチレイフーズから出向していた董事長兼総経理が2020年から2024年にかけて不正行為を行っていました。

従業員?

公表文では「元従業員」と何度も表現されているのですが、「董事長兼総経理」ってその企業の代表者。日本で言えば、代表取締役兼社長執行役員ってとこですかね。それを「元従業員」と連呼するのはいかがなものか(契約形態が雇用契約なのかもしれませんが)。罪が軽く見えるからでしょうかね。

ちなみに調査委員会の報告書では、「日冷食品貿易の董事長兼総経理がニチレイフーズの承認を得ずに、日冷食品貿易に資金負担等を課す契約を締結し、また、個人出資の会社を通じて日冷食品貿易のビジネスを奪い、人的リソースを流用したという不正事案」と表現しています。

ふくおかフィナンシャルグループ傘下の十八親和銀行 また別の行員が顧客から現金を着服

ふくおかフィナンシャルグループ傘下の十八親和銀行は3/24、男性行員(32歳)が顧客から約9200万円の現金を着服していたと公表しました。行員は同日付で懲戒解雇処分となっており、同行は長崎県警に通報したということです。

今年に入って2度目

十八親和銀行は長崎県を地盤とした地銀で、福岡銀行、熊本銀行と共に、株式会社ふくおかフィナンシャルグループの一員です。十八親和銀では2月にも、元行員の男性(58歳)による数千万円の着服が発覚していました(詳細は過去記事をご覧ください)。

新たに着服が発覚した行員は、2020年6月から2024年10月までの約4年間にわたり、1人の顧客から預かった通帳を使って、無断で預金を引き出すなどの着服を繰り返していました。取得した資金はギャンブルや借金の返済に充てていたということです。度重なる行員による顧客資金の着服、さすがにこれはきついですね。

同行の適切な対応が功を奏した事例

今回の事件は、3月上旬に顧客から銀行窓口に相談があり発覚したもの。同行は2月の事件を公表した際、被害総額はまだ確定していないとして、「本件に関するお問合せ先」という窓口を設けて顧客に周知しているんですね。

おそらくこうした顧客への事実の周知、「自身の取引で不審に感じたことがあったらご連絡を」、という姿勢が2件目を炙り出したんだと思われます。そして今回も同様の対応をとっています。事件自体は酷いものですが、同行の危機発生時のアクションは他の金融機関でも参考になると思います。