住友大阪セメント 赤穂工場で粉塵爆発と見られる火災事故

8月10日午前7時ごろ、兵庫県赤穂市の住友大阪セメント赤穂工場で火災事故が発生しました。高さ約30メートルの石炭ミル設備建屋から炎が上がっていたといい、消防による消火活動により、約4時間後の午前10時48分に鎮火しました。

住友大阪セメント

住友大阪セメントは、セメントの製造・販売を中心に、生コンクリートの製造・販売を主力事業とする企業です。販売量では、太平洋セメント、UBE三菱セメントに次ぐ国内第3位の東証プライム上場企業です。1994年に住友セメントと大阪セメントが合併し、住友大阪セメントとなりました。

火災事故の概要

高さ約30メートルの石炭ミル設備(セメント製造の燃料となる石炭を細かく砕くための設備)から出火したとのこと。設備の粉塵計で濃度上昇を示す警報が作動し、作業員が遠隔操作で設備を停止しましたが、その直後に火災が発生したということです。建屋の天井部分が破損しているといい、消防は粉塵爆発が発生したものとみて原因を調べています。

度重なる事故

同社ではこの事故に関してお知らせやお詫びを公表していません。なんとも無責任な、と思いつつざっと調べたところ、この工場では2019年にも、リサイクル燃料を炉に運ぶベルトコンベアーで火災を発生させていました(同年他にもう1件)。さらに、2011年にも2か月連続で火災を発生させています。これマジで現場コントロール効いてません。

ピジョン株式会社 中国子会社で従業員の不正行為が発覚

ピジョン株式会社は8/8、「当社グループ子会社元従業員による不適切取引の疑い及び2024 年 12 月期第 2 四半期決算発表の延期について」を公表しました。決算発表を当初予定していた8月8日から延期し、14 日へ変更することになったようです。

ピジョン株式会社

ピジョンは育児用品の大手。主力商品の哺乳器では国内で約9割と高いシェアを持ち、スキンケア商品、おしりふき、母乳パッド、ベビーカーなど幅広い商品を扱っています。介護用品、保育所運営などの子育て支援サービスも展開し、中国を中心にアジア、欧米など海外進出も積極的に進める東証プライム上場企業です。

不正の概要

7 月上旬、中国の同社グループ子会社において、元従業員が費用や資産に関する不適切な取引を行ったと疑われる事象の存在を認識し、直ちに社内調査を開始したということです。調査及び諸手続を完了させるまでには更に一定期間を要する見込みであることから、決算発表延期ということに。

開示された不正行為に関する情報は以上で、行為の詳細や金額などは不明です。同社の中国子会社は上海に2社と江蘇省常州市に1社、このうちのどれかと思われます。海外子会社での不正というと、経理担当責任者による会社資金の着服と棚卸資産の虚偽計上なんてのが多いですね。あと、自分の親族やその経営する会社とつるんで・・・なんてのも。

数日間だけの発表延期としていることから、社内調査がある程度進んでいるような様子です。特別調査委員会等の設置は行わず、社内調査で完結しようとしているようですね。

日清食品、カップ麺で再販売価格の拘束 公取委が警告へ

日本経済新聞は8/8、「公取委、規律ある価格転嫁促す 日清食品に警告へ カップ麺で価格拘束か」と報じました。「カップヌードル」など主力5品目の希望小売価格について、全国の小売業者に対して値上げ額を指定して販売価格を上げるよう求めていたということです。

事案の概要

独禁法は、小売業者に自由に販売価格を決めさせない行為を「再販売価格の拘束」として禁じていますが、卸業者を通じて小売業者に販売価格を上げるよう求めていたこの行為が違反に該当するとしているようです。対象となった商品は「カップヌードル」をはじめ、「シーフードヌードル」、「カレーヌードル」、「どん兵衛きつねうどん」、「日清焼そばU.F.O.」の5商品。

日清食品ホールディングスは25年3月期に、即席麺などの販売が伸びるとして過去最高の利益を見込んでいるそう。こういう不正によって業績を伸ばしてるのってねぇ。バチ当たるよ。

なぜかカップ麺

公取委が認めた「再販売価格の拘束」。2年前には「株式会社一蘭」が同様に違反を指摘されていました。同社は豚骨ラーメンのチェーン「一蘭」を展開する企業で、違反の対象とされたのはやはりカップ麺。前年から発売開始したカップ麺「一蘭 とんこつ」という商品。

カップ麺の業界ってなんか共通する悪しき商慣習みたいなのがあるんでしょうか。日清がCMでやってる「夏が熱すぎてカプヌが売れない」みたいな季節要因があって、夏場に小売業者が投げ売りするから、みたいなこともあるのかな。

レーザーテック 特別調査委員会の調査結果を公表

レーザーテックは8/5、「一部報道についての補足説明 特別調査委員会による調査報告のお知らせ」を公表しました。Scorpion Capital LLCから不正会計等のいちゃもんをつけられていた件について、特別調査委員会を設置して1か月半にわたり調査してきました。

調査結果の概要

同社製品のACTIS および MATRICS の仕掛品に係る、実在性の確認や残高に含まれる項目の適切性、回収可能性(資産性)などを検証したとのこと。その結果は「当委員会は、本調査の調査目的に照らして必要な調査手続は十分に実施できたとの心証を得ており、実施したすべての検証手続において、調査目的に関連する不正は認められなかった。」ということです。

今回開示された調査報告書は要約版で、4ページだけというもの。プライバシーおよび機密情報等の保護の観点から要約版を公表したとしています。先に不正を指摘したスコーピオンが300ページに及ぶレポートを出してきたことを考えるとやや貧弱、というか、不正はなかったという結論しか書かれていません。

マーケットの反応

調査結果公表を受けた株式市場では、同社株は猛烈に反発・急騰してるんですが、市場全体が暴落・急反発したり、その後に同社が好決算を発表したりといった材料が交錯しましたので、今回の調査結果がどれほど影響を与えたのかは何とも言えません。しかし、いずれにしてもスコーピオンの空売りは大成功、独り勝ちってことですね。

ブックオフグループホールディングス 従業員の不正行為(その2)

ブックオフグループホールディングスは8/6、「特別調査委員会による調査進捗状況に関するお知らせ」を公表しました。従業員による架空買い取り、在庫の不適切な計上及びこれらによる現金の不正取得の可能性があるとして、6/25から調査してきた件ですね。

不正の実態

今回の開示は、特別調査委員会の中間報告といえる開示ですね。以下のように大きく分けて3種類の架空買い取りが行われていました。

① 取引の実態が存在しない買取を当社システム上に記録した上、かかる買取に対応する現金を実際には当該行為を実施した従業員が着服する行為
② 買取の実態は存在し、お客様への査定金額は適切であったものの、当該買取を当社システム上に登録する際に単価や点数を水増しあるいは別の商品コードで登録し、当該水増し分等の現金を当該行為を実施した従業員が着服する行為
③ 取引の実態が存在しない買取を当社システム上に記録した上、その後同等の商品の売上を当社システム上に登録し、売上を偽装あるいは過大に計上する行為

これらの不正をごまかすために、やはり3種類の在庫の不正な計上が行われていたとしています。今回行われた臨時の実地棚卸において、これらの不正が発見されているのは国内ブックオフ事業の 24 店舗で、発見されている不適切な在庫計上として 70 百万円を認識しているとのこと。

機能してなかった店舗における実地棚卸

同社では各店舗の店舗在庫の実地棚卸を各店舗の店長・主任を中心として行っており、また、実地棚卸の適正性についての確認、検証は、店長・主任の上長である複数店舗を所轄するエリアマネージャーをはじめとした上長が行うこととして管理をしてきたといいます。

この管理体制が機能してこなかったということですね。店長や上長の統制が機能してなかっただけなのか、彼ら自身もこの不正に加担してきたのか。この辺は気になります。