過剰な診療報酬の請求 関西の有料老人ホーム運営大手「スーパー・コート」でも

共同通信は9/3、「関西大手ホームでも不正、過剰か 入居者訪問看護「全て複数人に」、と報じました。昨日取り上げたサンウェルズの事例とほぼ一緒です。

スーパー・コート

スーパー・コートはホテルチェーン「スーパーホテル」と同一グループで、老人ホームやパーキンソン病専門住宅を約50カ所運営する企業。入居者向けの訪問看護ステーションも併設しています。この会社は上場企業ではありませんが、昨日の記事との関連で取り上げています。

過剰な請求

入居者への訪問看護について、必要性に関係なく100%複数人での訪問にするよう全社的に指示していたことが3日、共同通信が入手した社内文書で分かったとのこと。さらに、複数の現・元社員が「看護師1人で訪問した場合でも『複数人で訪問した』という虚偽の記録を作り、診療報酬を不正に請求している」との証言が。

これに対するスーパー・コートの反応は、「過剰な報酬請求には当たらないと考えている。不正請求の指摘については、会社の指示ではないことを明確に申し上げる」というもの。いやいや、会社の指示なしにこんなこと起きます?この業界の不正請求(もしくは過剰請求)って、どうやら業界標準になってるみたいですね。ひどい話です。

株式会社サンウェルズ 難病向け老人ホームで不正請求か

株式会社サンウェルズは9/3、「共同通信社における記事について」を公表しました。前日に共同通信が報道した不正請求に関する記事を否定するとともに、記事の内容が同社の信用を毀損しているとして、訴訟を含めて法的措置を検討している、といった内容です。

株式会社サンウェルズ

サンウェルズは、介護施設の運営を主力とし、指定難病であるパーキンソン病専門の有料老人ホームを展開する企業。各種介護サービスを提供し、介護保険や健康保険、障害福祉サービスによる保険給付や、利用者が支払う自己負担金などの収入を得ています。本社を金沢に置く東証プライム上場企業です。

共同通信の記事とそれに対する反論

記事が不正請求ではないかと指摘しているのは、共同通信が入手した社内のマニュアルでは「1日3回」「複数人での訪問」を「必須で入力」となっており、複数のホームで、併設の訪問看護ステーションがホーム入居者への訪問について実際とは異なる記録を作り、不正に診療報酬を請求していたというもの。

これに対してサンウェルズは、「1日3回」、「複数人での訪問」、それぞれについて一律に実施するのではなく、主治医の指示に基づき、入居者の状態に合わせて個別に判断しているといった主張になっています。が、マニュアルに基づき不正な入力が行われている可能性については今一つ反論できていないような感じですね。

正直、現段階で白か黒か分かりません。ただ、共同通信の記事がサンウェルズの複数の現・元社員の証言に基づいているという点、この情報を受け同社株が株式市場で大量の売りを浴び、ストップ安売り気配となっている点。これはかなり気になります。

バリュエンスホールディングス 従業員の不正行為に関する調査結果

バリュエンスホールディングスは8/30、「当社連結子会社の元従業員による不正行為に係る社内調査結果等のお知らせ」を公表しました。今年3月に公表していたこの事案、あの時の開示をもってほぼ調査終了って感じでしたが、その後も継続していたんですね。

調査結果

子会社における不動産仲介サービスにおいて、元従業員が 2023年11月から 2024年3月までの間、計4回にわたり、不動産売却意向のないお客様が保有する不動産に関し、不動産売却の仲介依頼を受けたように捏造し、不動産仲介手数料等として現金合計約6百万円(内、約2百万円は回収済。)を着服していた。

2023年12月から 2024年3月までの間、計3回にわたり、正式に締結した不動産仲介契約において、仲介手数料及び手付金の金額を過少に報告し、仲介手数料及び手付金の一部である現金合計約1百万円を横領していた。 というのが不正行為の概要です。

内部管理体制の不備

不正行為の発生原因として、不動産事業部における金庫の鍵、社判及び印鑑などの現物管理ルール等に不備があったことがあげられており、再発防止策に法務部や総務部に決裁・承認権限を集中させる、といったことが書かれています。

要するに、少なくとも本業とは言えない不動産事業部では、契約の締結や契約内容の変更(手数料の割引など)が、現場で勝手に行われていたということ。さらにそうしたことを本社がチェックできていないという杜撰な管理状況でした。しかし、上場企業でこんなことってあるの?

日産自動車 日産横浜工場で作業員の死亡事故

産経新聞によると8/28午前4時半ごろ、横浜市鶴見区大黒町の日産自動車横浜工場で、クレーンで作業していた59歳の男性が、重さ約2トンの鉄棒の束とフェンスの間に挟まれた状態で見つかり、搬送先の病院で死亡しました。鶴見署は詳しい状況を調べているとのこと。

日産自動車

日産自動車は、日系自動車メーカーの中でトヨタ、ホンダに次ぐ第3位の規模を誇る自動車メーカーです。ルノーと三菱自を加えたアライアンスを形成。中国では、東風汽車との合弁会社で事業を展開している東証プライム上場企業です。過去にはゴーン氏の問題や検査不正、下請け法違反などが起きている会社。

事故の概要と過去

直径4・6センチ、長さ6メートルほどの鉄棒26本をまとめた束を、クレーンで移動する作業中だったということで、工場の警備員が発見しました。発見の時間が午前4時半ごろということで、実際に事故が起きた時間はまだ分かりません。こんな時間から作業はしてないでしょうから、おそらく事故発生は前日の夜ですかね。

この会社もいろいろとで出てきますね。今年4月にはグループ会社の日産自動車九州工場の敷地内で1名の死亡事故。2017年には日産追浜工場でも死亡事故が起きてます。不正が横行する企業では、現場で働く労働者の安全も守られていないってことか。

株式会社イズミ ランサムウェア被害で 今期純利益30%減

イズミは8/28、2025年2月期の連結純利益が前期比30%減の144億円になりそうだと発表しました。2月に発生したランサムウエア(身代金要求型ウイルス)被害を受け、システム障害が長期間継続、業績を悪化させることになってしまいました。

株式会社イズミ

イズミは広島市に本社を持ち、中国・四国、九州に集中して出店するドミナント展開を推進。複合型GMS(総合スーパー)「ゆめタウン」を中心に、食品スーパー、近隣型商業集積など計197店を運営する東証プライム上場企業です。

ランサムウェア被害

今年2/15、社内サーバーに対するサイバー攻撃が検出され、何者かが同社で運用するVPN装置の脆弱性を利用して、グループ会社のサーバーに侵入しランサムウェアを実行。これにより同社サーバーデータが暗号化されてしまいました。個人情報最大約780万件の漏えい懸念も公表されてましたね。

業績悪化

今回の第1四半期の開示によると、ウイルスによる不具合は5/1までに復旧したものの、発注システムを止めた影響で、商品供給不足や販促アプローチができず、減収減益となりました。ランサムウェア被害による販売機会逸失などで発生した利益影響額(損失)は約29億円だそうです。ちなみに、同社はランサムウェア被害を除けば第1四半期は実質増益だとしています。

システムの復旧作業にかかった費用等、詳細は公表されていませんが、ランサムウエア被害が業績に与えるインパクトがどれ程のものかがわかる良い事例ですね。皆さんの会社は大丈夫ですか?情報セキュリティは単なるコストではなく、重要な投資ですよ!