オウケイウェイヴ 悪材料公表前に関係者が売り抜け(インサイダー取引)

報道によると、名古屋証券取引所に上場しているウェブサイト運営会社「オウケイウェイヴ」(東京)の株を巡り、未公表情報を基に取引した疑いがあるとして、東京地検特捜部が、同社関係者を任意で事情聴取していたことが分かったとのこと。

オウケイウェイヴ

オウケイウェイヴは、利用者間の「Oshiete(教えて)」と「Kotaeru(答える)」を結びつけるQ&A形式のコミュニティサイト「OKWAVE」を中心にサービスを提供する名古屋証券取引所ネクスト市場上場企業です。

不正の概要

同社は2022年4月、資産運用のために投資会社に預けた資金が他の使途に流用され(ポンジスキームによる投資詐欺)、約50億円を回収できない見込みになったとの事実を公表しました。

この事実を把握した当時のオウケイ社関係者(ビミョーな表現)が公表の直前に、管理していた大量の同社株を売却し、損失を免れた疑いがあるとのこと。実際、公表前は300円台だった同社の株価は公表後に100円台まで急落しています。

この報道に対して同社は2/19、「当社は過去と決別した新体制の下で経営再建を進めており、引き続き旧経営陣に対しての責任追及を行う方針です。」とコメント。ここにも新旧経営陣の対立の構図があったようですね。

追記

2/20、同社と財務アドバイザリー契約を締結していたコンサルタント会社代表で公認会計士の男(53歳)が金融商品取引法違反容疑で東京地検特捜部に逮捕されました。同社株計11万株を約3400万円で売却し、損失を回避したということです。

東芝テック株式会社 従業員の不正行為 2億円を着服

東芝テック株式会社は2/18、「当社従業員による不正行為に関するお知らせ」を公表しました。同社国内支社において、従業員1名が架空の受注計上により、私的着服を目的に物品を受領し転売した事実を確認したとのこと。

東芝テック株式会社

東芝テックは、POS(販売時点情報管理)システム の世界最大手で、複合機、オートIDシステム(バーコード、ICタグ等のデータを自動的に取り込み、識別し管理するシステム)なども手掛ける東芝の子会社で、東証プライム上場企業です。

不正の概要

従業員1名が2017年度からおよそ8年間にわたって顧客からの注文を装って、パソコンを架空に受注したうえ転売を繰り返し、約2億円を着服していたということです。顧客との取り引きを確認していた上司からの問い合わせに対し、この従業員が不正を認め、社内調査を行った結果判明したとしています。2/18付けで懲戒解雇処分になっています。

事案の発覚から社内調査のプロセスや結果などはすべて公表されておらず、従業員を解雇してお終いという開示ですね。ほかに類似事案はなかったのか、当該従業員以外に関与したものは居なかったのか、8年間も発見できなかった管理の態勢に問題はなかったのかなどなど、何も公表することなく幕引き。大丈夫か?、この会社。こういう行為者を切ってお終いという会社の多くが、似たような事案を再発させます。

みずほ銀行でも 行員が貸金庫から顧客の金品を盗んでいた

報道によると、みずほフィナンシャルグループ傘下のみずほ銀行は2/18、2019年に元行員1人が貸金庫から顧客2人の資産を盗んでいたことを明らかにしたということです。被害総額は数千万円で、1つの支店で発生。盗んだ元行員は懲戒処分となり、既に退職しているとのこと。

何故公表しなかった?

6年間公表してこなかったんですね。こんなところに企業の体質、カルチャーが出てしまいます。三菱UFJ銀行で同様の事件が発生し大騒ぎとなりましたが、この事件を受けてみずほ社内ではどういった議論が行われてきたんでしょう。公表すべきか、隠しきるべきか・・・

同行では被害を訴えた顧客とは個別に協議し、顧客との関係なども踏まえて、公表は実施していなかったと説明しています。そしてこの事件については金融庁にも報告しているそう。

事実を公表しなかったみずほ銀行に、報告を受けても動かなかった金融庁(どの時点で報告を受けていたかは不明ですが)。金融機関では貸金庫なんて前世紀の遺物みたいな扱いなのでほったらかしに。そしたら三菱UFJでもっと大きな事件が起きてしまって、ってのが正直なところでしょう。

他には?

6年前の事件で、公表もしなかったこの事件。公表にしても被害金額も超アバウト。類似事案はなかったとのことですが、調査ってどこまで行われたんでしょうね。公表した手前再調査したらまだまだいろいろ出てきましたなんてこともあるかも。さらに両行以外の銀行でも、「実は当行でも・・・」みたいなことになっていきそうな予感が。

JEH(Japan Eyewear Holdings) 役員のインサイダー取引

JEHは2/17、「(開示事項の経過)株式の売出しの中止及び市場区分の変更申請の取下げに関連した内部管理体制に関する確認事項のお知らせ」を公表しました。2/10に株式の売出しと東京証券取引所プライム市場へ上場市場区分を変更することを公表していたんですが。

JEH(Japan Eyewear Holdings)

JEHは「金子眼鏡」、「999.9(フォーナインズ)」のブランドを軸に高価格帯眼鏡を展開する東証スタンダード上場企業です。傘下に、眼鏡の世界三大産地とされる福井・鯖江に自社工場を持ち、眼鏡の企画・製造・販売を行うSPA(製造小売)業態の金子眼鏡グループと、眼鏡のデザイン・販売を行うフォーナインズグループを擁しています。

インサイダー取引

株式の売出しについて外部公表を行う前に、株式の売出しを知りうる立場にある役員が同社株式を購入しており、インサイダー取引規制違反が疑われる事態が判明したといいます。このまま売り出し等を続行していくと明らかなインサイダー取引となってしまうため、売り出し等を止めますというお話。

この事案を把握後、速やかに主幹事証券会社等の関係者とも協議の上、株式の売出しの中止及び市場区分の変更申請の取下げを決議したということですが、主幹事証券はいったい何をしてたんでしょう。

「重要事実の公表を控えて、役員に限らず情報を知りうる立場の役職員は自社株の買い付けはご法度ですよ。」ってことぐらいは周知するのは当然のこと。JEHの経営陣も情けないけど、主幹事証券もイケてませんね。

日産の完全子会社「愛知機械工業」 下請法違反

報道によると、自動車部品の製造に必要な金型を下請け企業に無償で保管させたとして、公正取引委員会は日産自動車子会社の愛知機械工業(名古屋市)に対し、近く下請法違反で再発防止を勧告する方針を固めたということです。

愛知機械工業

愛知機械工業はエンジン・トランスミッションを生産する企業。もともとは上場企業でしたが、2012年に日産自動車が完全子会社化し、上場廃止となっています。会長は日産の副社長が務めているそうな。ホンダとの統合に失敗した日産。悪いことが続きますね。まぁよくあるパターンだけど。

下請法違反

遅くとも2023年8月から24年12月までの間、新たな発注の見込みがないにもかかわらず、金型など約400個を下請け企業5社に無償で保管させていたということです。最近よくある下請法違反ですね。自主申告すれば企業名の公表は免れることができるのに、なんで放置してたんでしょう。まさにこういうのがガバナンスに関する経営陣のセンスです。

日産は昨年3月に下請け企業への支払代金を不当に減額したとして同法違反で勧告されました。認定された不当な減額は約30億円に上り、全額を下請け企業に支払っています。この会社こうした経験で何を学んだんでしょう。他社に何かを求めるのではなく、自社に何が足らないのかをまず考えるべきですね。