レアメタル レアアース 違い分かる?

7/17付け日本経済新聞に「レアメタル下げ一色に」という記事と、「レアアースは騰勢一服」という記事が並んで掲載されていました。タイトルだけ読んでドキッと。レアメタルとレアアースってkuniの頭の中でチャンポンになってる。違いが説明できない。ちょっと、、、ヤバい。

レアメタル(希少金属)

良い機会なので調べてみました。レアメタルっては日本だけでしか通じない用語なんだそうです。「稀少な金属」という意味で、産業に利用されるケースが多いものの、産出量が少ない金属類を指します。 実は明確な定義はないらしく、一般的には経済産業省が「安定供給の確保が政策的に重要である」として指定した31種類の金属をいうことが多いそうです。ニッケルや白金、コバルトなどがあります。

レアアース(希少希土類)

レアアースは科学用語なんだそうです。化学の授業などに出てきた元素の「周期表」で、希土類に属する物資を指していて、全部で17種類あります。レアメタルの31種類の中に含まれているんですね。レアアース⊂レアメタルってことです。

希土類元素は、地球上にわずかしか存在しませんが、他の金属などと混ぜ合わせるなどして使用し、その性能を大幅に向上できます。例えば「ネオジム」や「ジスプロシウム」は、永久磁石の製造に欠かせません。古い話ですが、日立製作所のカラーテレビ「キドカラー」は、この希土類を使って高い「輝度」を実現させたことから命名されたらしいです。

このレアアース、世界全体の供給量の90%を中国産が占めていることから、供給ストップや価格の高騰など、中国の政治や経済、国交などの影響を受ける可能性があり、時々ニュースになりますよね。今回もトランプ氏の関税に対して、中国はレアアースの供給を絞りそうな気配です。

都市鉱山

レアメタルとレアアースを語るとき、一緒に都市鉱山という言葉も出てくることが多いようです。どちらも希少であり、貴重な資源であることから、その供給源を「都市で大量に捨てられる携帯電話やパソコンといった家電品からのリサイクル」(都市鉱山)に求めるという考え方があるということです。

そういえば、東京オリンピックの金メダルも携帯電話からリサイクルで作るんでしたよね。白金はレアメタルに入ってますが、金(ゴールド)はレアメタルに入っていません。念のため。

インドの人口ボーナス

少し前ですが、日本経済新聞の大機小機というコラムで「アジアは一強から三つ巴へ」という記事が掲載されていました。アジアではこれまで日本や中国のように、「一強」の時代でした。ここへ割って入ってくるのがインドというお話。そこで根拠としていたのが「人口ボーナス」でした。

人口ボーナス

経済の高成長を支える要件の一つとなるのが人口ボーナスです。人口ボーナスとは、「総人口に占める生産年齢(15歳以上65歳未満)人口比率の上昇が続く、もしくは絶対的に多い時期」であるとか、「若年人口(15歳未満)と老齢人口(65歳以上)の総数、いわゆる従属人口比率の低下が続く、もしくは絶対的に少ない時期」を指す言葉です。

生産に携わる人口が増加し、経済の労働供給力が高まることで経済成長につながります。また、高齢者の比率が低いこの期間は、社会保障費なども抑制されます。消費面では働く世代の拡大により住宅費や消費支出全般の増加が見込まれます。ちなみに、人口ボーナス期とは全く反対の時期を、人口オーナス期というんだそうです。

日本における人口ボーナス期は2005年に終了しています。その後先進国の中で最も少子高齢化が進んでいます。代わって中国がアジア一になったというわけですね。あまりに強くなりすぎたため、米国との間で貿易戦争になってしまいました。1980年代に日本がたどった道のりと一緒です。

これからのインド

これまでのところ、中国、インドともに高い成長率を維持していますが、両国の人口動態には明らかな違いがあります。国連の推計によると、インドの人口ボーナス期は2040年まで続く見通しとなっており、豊富な若年層が今後とも経済成長を後押しすることが期待されます。一方の中国は少子高齢化に突入しており、既に2010年から人口オーナス期に入っているんですね。

これから人口ボーナスを享受する人口1億人以上のアジアの国は、インド、バングラデシュ、パキスタンだそうで、特にインドは13億人の人口を抱えており、人口の半数は25歳以下。総人口も2、3年後には中国を抜くと言われています。次の時代、アジアで一番になる資格は十分だと思われます。

日本の9倍の国土を有するインド。コメの輸出は約1000万トンで世界一、自動車生産は5位、鉄鋼生産は約1億トンで日本と同じ。昨年の国内総生産(GDP)はフランスに次ぐ7位でしたが、5年後には現在の日本の水準に追いつくと言われています。年率7%の成長路線にあり、かつ潜在成長力を秘めた魅力的な経済です。

米中貿易戦争とそれに伴う中国経済の減速、米国の利下げに伴う円高におびえる日本の株式市場ですが、それはあくまで目先の話。長期の資産形成を考えるならば、視点を大きく変えることが必要です。人口ボーナスという成長力を図る指標は、長期投資には非常に有効だと思います。

止まらない 新聞発行部数 (リストラ編)

今年2月だったか、一度取り上げた話題です。新聞の発行部数が減少し続けていく中、苦しいながらも全国紙は残ってます。みたいな話を書きましたが、なお一層苦しくなってきているようですね。毎日新聞と産経新聞が大幅な人員削減に動くなど、かなり荒れ模様のようです。

毎日新聞 人員削減

毎日新聞は社員の1割にあたる200人規模の早期退職を募集するらしい。そんな話が、ダイヤモンドオンラインで伝えられています。毎日は朝日、読売に比べて記者の待遇が良くないと言われているそうで、以前から記者の流出は多かったようです。採用も計画性に欠け、逆ピラミッド型の社員構成になっていたとのこと。で、50歳以上60歳未満の社員を対象に、早期退職の募集に踏み切るんだとか。

産経新聞 人員削減 新卒採用停止

毎日よりも先、2月頃でしたか、産経新聞のリストラが話題になっていました。やはり全社員の1割に相当する50歳代、180人の希望退職を募ったという話。おまけに今年4月の新卒採用がたったの2人(前年は38人)だけ、という話もありました。産経の経営不振、相当深刻なようです。

次の展開が描けないとなると、ひたすらコストカットしかなくなってしまうんですね。既に全国紙としてやっていくことを断念したんじゃないかという見方や、デジタル部門に注力するかわりに、最終的に紙(新聞)からの撤退もあり得るんじゃないか、といった見方もあるようです。

記者のリストラはまずいでしょ

これらの人員削減って、ニュースというコンテンツを制作する役割の人たちもそれなりに含まれるんでしょうね。証券会社なんかでも、収益を稼いでくれる営業員は残して、ミドル、バックや本社のコーポレート部門で主に希望退職を集めたいんですが、実際に募集するとむしろ営業員の方がたくさん手を上げてしまうという皮肉な結果になりがちでした。

新聞社でも同じようなことが起きるんでしょうか。記者は新聞社にとって最も重要な資産です。記事は他社から買って来れば良い、くらいの感覚なんですかね。それでなくても、最近の新聞は他社から買ってきた記事が多すぎて面白くないのに。どんどん各社の記事が同じになって行きそうです。

そういえば、同じく苦境に陥っている野村證券も、野村総研(NRI)の株式を売却して、その資金で自社株買いでしたっけ。そういう方向性が示されてましたね。これも同じで、野村証券にとって、今後最も期待できるグループ会社、手放してはならない会社を手放してしまうわけです。そんなこと分かってるけど、そうするしか打ち手がない。そういう状況なんでしょうね。

欧州委員会 キャノンに制裁金34億円 ガンジャンピング

6/28付け日本経済新聞に小さく載っていた記事です。欧州連合(EU)の欧州委員会はキャノンがEUの競争法(独占禁止法)の買収ルールに違反したとして、2,800万ユーロ(約34億円)の制裁金を科すと発表したことを伝えています。

ガンジャンピング

この制裁金の決定は、2016年にキャノンが旧東芝メディカルシステムズの株式を取得した件に関するものだそうです。キャノンのホームページでも既に開示されていました。「ガンジャンピング」にあたるとして制裁金を科しているとの記述がありまして、、、「ガンジャンピング」ってなに?、ということで調べてみました。

M&Aにおける競争法(独占禁止法)に関係する論点の一つ。ガンジャンピングは Gun jumping のことだそうで、つまり陸上競技におけるフライングの意味なんだそうです。企業が合併や買収を行う際に、当局の承認を得る前に行ってはならない行為をフライングしてしまうことです。

この禁止されている行為というのが、「企業結合規制によって必要とされる事前手続きを取らないままにM&A取引を実行」する行為(届出義務違反)であったり、「事前手続きの完了後でなければ許されない行為を完了前に実施」する行為(待機義務違反)なんだそうです。他にも、競争機微情報の交換というカルテル規制違反とかもあるようです。キャノンのケースは届け出義務違反の嫌疑です。

企業結合規制

今回のキャノンによる東芝メディカルシステムズの買収、もちろん日本における日本企業同士の企業結合です。日本企業同士であっても、海外で事業を行っている場合は、こんなふうに外国の独占禁止法による制裁金を科されることがあるということです。

この規制の内容が各国で違っているみたいで、そういった規制を知らずに後から刺されて制裁金を食らってしまうケースが多いとのこと。今回のキャノンのケースも調べてみると、日本の公正取引委員会が注意喚起したのに加え、中国から30万人民元の罰金なんてのも出てきました。問題視しているのは欧州委員会だけではなかったようです。

スマホに押されて本業のカメラが不調のキャノン。前年度メディカルシステム部門で売上の11%、4,375億円を稼ぐほどこのM&Aの成果が出ています。ここで34億円といえどもケチを付けられたくないでしょう。ホームページでは以下のようにコメントしています。

「キャノンとしては、欧州委員会の判断は、根拠となる先例を欠き、EU企業結合規則および欧州司法裁判所の判例法にも矛盾するものであることから、同意できるものではないと考えています。そのため、キャノンは、本決定については欧州司法裁判所に提訴する予定です。」

日本の労働生産性が低いとか・・・

最近やたらと、日本の労働生産性が低いことにみな言及するんだけど。労働生産性とは、1人の労働者がどのくらいのモノやサービスを生み出したかを示す指標なんですが、これがG7の中で最も低いと。で、働き方改革が声高に叫ばれるわけです。確かにそうなのかもしれないけど、そんなに悪いところというか、ちょっと見劣りするところばかり気にしなくても良いんじゃないの、、、ってkuniは思うわけですよ。働き方改革を否定しているわけではありませんが。

GDPランキング

世界各国の名目GDPランキング(2018年)を見ると、1位:アメリカ、2位:中国、3位:日本、4位:ドイツ、5位:イギリスと続きます。残念な話ばかり聞こえてきますが、それでも立派に世界3位ですよ。これを就業者数で割って生産性を計算すると、見劣りする順位になってしまうというお話です(国際比較で用いられる労働生産性はGDPをその国の1年間の「平均就業者数」で割って求めています)。

世界平和度指数ランキング

世界平和度指数ランキングという統計があります。各国がどれくらい平和であるかを表す指標とされ、国内紛争や治安悪化、軍事力強化など平和維持への不安要素が大きいほど高くなる指数なんだそうです。この指数ランキングでは日本は第9位です。最近治安はすごく悪くなってきているような気がしますが、それでも世界9位です。

GDPで上位にいる国のこの指数を見てみると、アメリカが128位、中国が110位、ドイツが22位、イギリスが45位、フランスが60位となっています。先進国において、自国の治安や他国への干渉など、不安要素が最も少ない国の一つが日本なわけです。G7で日本より上位にいるのはカナダの6位くらいです。日本の学生の留学先No1になっているのもなんとなく分かるような気が。

話を戻して 労働生産性 分母に問題あり

さきほど労働生産性の計算方法を書きましたが、「GDP÷1年間の平均就業者数」です。で、この平均就業者数というのが曲者らしく、失業者の定義が各国で違っているのと同じで、就業者数というのも違った定義のまま使われているようです。日本の場合は他国と比べると失業率が低めに出ると言われます。当然就業者数は高めになるでしょう。

また、国外から就労している人は就業者数に含まないし、不法就労者もやはり含まなかったりします。国外から就労している人がやたらと多いルクセンブルクが労働生産性第1位だったり、1200万人も不法就労者がいると言われるアメリカの生産性(第3位)も相応に高まります。国外就労者も不法就労者もいない日本、で、就労者数は他国より高めに出るため、労働生産性は低めになってしまう。どうもそういうからくりがあるようです。