株式会社アウトソーシング 不適切会計さらに拡大

連結子会社における不適切な会計処理の疑いがあることを公表し、調査委員会を設置し、調査に取り組んでいたアウトソーシング。12/28、「調査委員会調査報告書の受領に関するお知らせ」を公表しました。

おさらい

同社連結子会社のアウトソーシングテクノロジーの上場準備の過程において、不適切な会計処理が行われていた疑いがあることが判明したのが始まりでした。子会社である、株式会社アネブルにおける仕掛品等の過大計上等の疑いがあり、アウトソーシング社の第3四半期決算の連結財務諸表に、数億円の影響を及ぼす可能性があるとしていましたね。

さらに拡大

当初グループ4社を調査していたようでしたが、調査委員会から28日受領した報告書では、不適切会計をしていたのが17社に広がったようです。売り上げの架空計上や早期計上、仕掛品の過大計上、費用の繰り延べなどが発覚したようです。

2016年~21年の間に売上高が累計で9億5100万円減少、営業利益が2億7700万円減少。逆に21年に関しては売上高が1億円強、営業利益が4億円弱増える見通しだそうです。

要するに売上やら利益やら、とにかく足元の決算を良く見せるための操作をしているわけですね。これってまさに経営が業績向上に向けた圧力をかけ続けた結果起きてしまう事象。現場が追い詰められ、不正に走らざるをえなくなるという、他社でもよく見る光景です。

28日の株式市場では午前中の提出期限再延長の発表を受け、一時、ストップ安水準まで下落、終値は269円(16%)安の1366円となっていました。四半期報告書の提出期限は1/14です。

バルミューダ 社外取締役が辞任

バルミューダ株式会社は12/24、「社外取締役辞任に関するお知らせ」を公表しました。辞任する社外取締役は田中仁氏(ジンズホールディングス最高経営責任者=CEO)。バルミューダは、「本人より辞任の申し出があり、受理した」としています。

バルミューダ株式でインサイダー取引

以前当ブログでも取り上げましたが、今年5月に社外取締役が、同社が定める売買承認期間以外のタイミングで同社株を買い付けたという事件でした。2021年12月期の連結業績予想の上方修正が発表される直前に同社株を買い付けたというやつでしたね。

過去に受け取っていた役員報酬の返上や、その後受け取る報酬の減額などが発表されていましたが、正直「まだやるんだ」って感じでした。当案件の公表が11/18でしたから、辞任まで約1ヶ月です。

臨時株主総会で新社外取締役

で、調べてみたら、同社は12/17に臨時株主総会を開催していました。議案は取締役1名の選任の件。はぁ、そういうこと。代わりの社外取締役決めてから辞任、という流れだったんですね。無事に選任されています。新しい社外取締役は株式会社ミクリードの代表取締役社長だそうです。

この会社、昨年3月に東証マザーズ市場に上場したばかりの会社ですね。で、面白いのはこの新社外取締役の略歴。1988年に日興証券に入社してらっしゃいます。おそらく新卒での入社でしょう。

辞任する社外取締役がインサイダー取引やらかしたんで、次は証券経験者を選んだってことでしょうか?いやぁ、わずか4年で転職されてるし、当時のインサイダー規制なんてザルみたいなもんでしたから、そこんとこはあまり期待しない方がいいかもですね。

株式会社EduLab さらに厳しい展開へ

株式会社EduLabは12/24、「特別調査委員会の追加調査継続に関するお知らせ」を公表しました。タイトル以下は読もうとした人の多くがその気力を失うほどの文字だらけの文書。これって、意図してやってるんじゃないの、、、って感じのする開示でした。

開示の概要

12月下旬までに特別調査委員会から調査結果報告書を受け取る予定だったわけですが、追加調査が必要ということで困難になりました。さらに、2022年1月4日に予定していた21年9月期の有価証券報告書の提出期限の延長について、関東財務局に承認申請することも検討するという内容。

ここまで振り返ると

今回追加調査の対象となった件については、従来自主点検と称してとりあえずの結論を出し、四半期報告書等の期限に間に合わせてきたものの、監査法人からはダメ出しを食らうという展開でした。要するに期日をクリアするための調査結果の捏造にも見えるわけです。

で、有価証券報告書の提出期限に関しては、やむを得ず自主点検で終わらせようとしていた案件に関しても特別調査委員会の調査対象にせざるをえなくなってしまったと。なんだかそんなふうに見えますね。開示ルールをクリアするためにあれやこれやと時間稼ぎしてるふうです。

株価の方は

上場前からの不正会計が発覚し、会計監査人が「監査の前提となる同社との信頼関係が低下した」などといい、退任するという事態に。そして今回の開示、やっぱりここ、ダメかもね。12/20に1,085円の最安値まで付けた同社の株価は、先週末で1,178円。本当にまだこの株価だけの価値があるんでしょうかね。

神戸物産 不正アクセスによる個人情報等流出の可能性

神戸物産は12/20、「不正アクセスによる個人情報等流出の可能性に関するお知らせとお詫び」を公表しました。12/4未明に同社サーバーに対し第三者による不正アクセスを受けていることを確認したといいます。その後12/6には社内システムを復旧できたようです。

神戸物産

神戸物産は、容量の大きな定番品食材を中心に品揃え、EDLP(毎日低価格)の価格政策で販売する「業務スーパー」を展開する企業です。ナショナルブランドのほかに、自社グループ工場で製造する商品や輸入商品のプライベートブランドも取扱っています。

21年10月末の「業務スーパー」店舗数は950店舗だそうです。兵庫県加古川市に本社を置く、東証1部上場企業です。

不正アクセス

第三者による不正アクセスを受けていることを確認後、直ちに外部通信の遮断を行い、わずか二日間で社内システムを復旧させていますから、それほど大きな被害は出ていないようです。現在は、業務遂行に支障はないとのこと。

情報の流出範囲については現在調査中で、Gyomuca 会員様情報、会計システムに関する情報については情報流出の可能性がないとだけ発表しています。

株価の方は

公表直前の同社株価は4,060円。公表後二日間で3,875円まで売られましたが、12/22に月次IRニュースを開示。業績が引き続き好調であることから急反発。一時4,300円まで買われ、不正アクセス公表前の株価を上抜けています。

とはいえ、不正アクセスの影響でどれだけ費用が掛かるか分かりませんしね。ここはちょっと気になるところです。ちなみに12月の月次IRニュースの公表、例月より早めに出てますが株価対策ってのは、、、考えすぎですか。

リミックスポイント株でインサイダー取引

証券取引等監視委員会は12/17、「海外に居住する株式会社リミックスポイントの子会社との契約締結者の役職員による内部者取引に対する課徴金納付命令の勧告について」を公表しました。インサイダー情報を知りながらその公表前に売り抜けたという事件です。

リミックスポイント

リミックスポイントは業務用アプリケーション・ソフトウェアの開発でスタートし、法律改正や規制緩和で、社会に生ずる課題を事業を通して解決する事業を営みます。現在ではエネルギー関連、金融関連(暗号資産交換業)、自動車関連、感染症対策関連などを事業領域としています。

取引の概要

舞台となったのは子会社の株式会社ビットポイントジャパンです。同社の仮想通貨取引管理システムがハッキングを受けて、同社の管理する仮想通貨が不正に流出し損害が発生しました。その旨の重要事実を聞きつけた、取引先法人の役職員であり海外に居住する者によるインサイダー取引です。

令和元年7月12日の取引だそうです。行為者等に非居住者が絡むと調査も大変なんでしょうが、またずいぶんと時間がかかりましたね。

同日、重要事実が公表される3時間ほど前に、自己の計算において、リミックスポイント株式合計1万800株を、売付価額合計443万500円で売り付けたということです。この違法行為について、金融商品取引法に基づき算定される課徴金の額は、216万円とのこと。

監視委員会が公表した文書には、「本件については、台湾金融監督管理委員会から支援を受けている。」という記載がありますので、売り抜けた輩は台湾在住の人のようですね。なお、リミックスポイント社については、課徴金納付命令の対象者とはなっておらず、また嫌疑をかけられている事実もないということです。