SMBC日興証券 相場操縦疑いで役員ら幹部4人逮捕

SMBC日興証券の相場操縦疑惑で、東京地検特捜部は3/4、特定の銘柄について人為的に株価を操作する取引をした疑いが強まったとして、執行役員を含む同社幹部4人を金融商品取引法違反(相場操縦)容疑で逮捕しました。

おさらい

逮捕容疑は、2019年12月から20年11月にかけ、東証1部上場の企業5社の株式(いや、もっとあるはずだけど)を巡り、株価を不正に安定させる目的で、買い注文を大量に入れるなど不正な取引をした疑い。

問題となっているのは、大株主の保有株を立会時間外で投資家に転売する「ブロックオファー」の仲介業務です。買い手を募り、完売できる見通しが立った日の終値が、下手に下げてしまうと売り手(大株主)が売却をためらう可能性がある。そのため、同日引け際で当該株価を買い支えていたというものですね。

逮捕者と同社の対応

逮捕された4人のトップである容疑者は、相場操縦ではなく通常の売買であると主張しているようですが、SMBC日興の社長は既に、「市場の公平性と公正性に疑問を生じさせる行為であることは明らか」と、謝罪会見を行っています。

さらに、「公正性を維持するための売買管理体制が十分でなかった可能性がある」とも。いやいやそれは違うでしょ。売買管理部門は問題のある売買をちゃんと見ていたはずです。通常の引け値関与とは違って、それは問題ないんだ。という経営の判断のもと審査基準の適用を除外していたはず。

ようするに経営が問題なしと認めていたということだと思います。経営陣の問題です。今はどうだか知らないけど、この会社、コンプライアンス部門は本社(営業部門)とは別の場所に置き続けてました。コンプラや監査といった部署を、現場から引き離している会社は要注意です。

証券取引等監視委員会 レカム株式のインサイダー取引に課徴金

証券取引等監視委員会は2/25、「レカム株式会社社員から伝達を受けた者による内部者取引に対する課徴金納付命令の勧告について」を公表しました。レカム株式会社社員から伝達を受けた者による内部者取引について、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、課徴金納付命令を発出するよう勧告を行いました。

レカム株式会社

レカム株式会社は、国内とアジア地域で、企業向けにウイルス除菌装置「ReSPR(レスパー)」やLED照明をはじめとするエコ商材などを販売する企業。ほかにも、顧客企業の業務を請負うBPR事業を手掛けるジャスダック上場企業です。

インサイダー取引

レカム株式会社の社員から、レカムが、ReSPRTECHNOLOGIES INC.と業務上の提携を行うことについての決定をした旨の重要事実の伝達を受けながら、この重要事実の公表がされた令和2年6月12日より前の同月10日、知人名義の証券口座で、レカム株式合計9万5000株を買付価額合計997万4210円で買い付けたもの。買付け単価は105円程度ですね。

この重要事実が公表されたのち、同社株価は225円まで上昇しており、金融商品取引法に基づき納付を命じられる課徴金の額は、1,140万円ということです。

レカムの社員は

このインサイダー情報を伝えたレカム社員に対する処罰はなし。レカムが同日公表した開示においても、「当社及び当社社員による金融商品取引法等の法令違反の事実はありませんでした」とされています。

しかし、これってとっても問題ある行為です。法律が追い付いていないだけ。レカムにおいては、インサイダー情報を伝達した社員に対し、厳格な社内処分が必要と思われます。

株式会社EduLab 有価証券報告書提出完了 調査結果も

EduLabは2/28、「2021年9月期有価証券報告書提出完了に関するお知らせ」を公表しました。併せて、「特別調査委員会による最終報告書の公表に関するお知らせ」やらなんやら。同日23:30になってから滑り込みギリギリの開示です。

調査結果

正直言ってもうあんまりこの会社取り上げたくなかったんですが、ここまでの流れでつい。295ページに及ぶ調査報告書ももう今さらという感じ。とにかく投資家を裏切り続けたEduLab。いろいろな方が一言いたいと思っていることでしょう。調査結果や有報やら、2月中にシレっと提出できたことの方に違和感があるくらい。

報告書の中で、「当委員会に対する相談なく、経営陣インタビューの内容を、インタビュー対象者から聴取してメモを作成し、経営陣のうち一定のメンバー内で当該メモを共有していた事実が判明した」なんてのが出てきます。

EduLab側もあれこれと言い訳しているようですが、口裏合わせとみられてもしょうがありませんね。どこまでも酷い会社に見えてきます。

決算の内容

決算短信を見ると、21年9月期の最終損失は52.5億円になってます。これでほぼ純資産が吹っ飛ぶのかと思いきや、同期の期初(20年10月)に第三者割当と公募売り出しにより資金調達していて、大丈夫という展開。

当時調達した資金は株価8,836円で計56.5億円。資金を提供(投資)した方はエライ目に遭ってます。しかしまぁ、うまい具合に内輪で収めたもんですね。この収まり具合がとても嘘っぽいじゃありませんか。

この20年10月の売り出しで、社長(46億円)と副社長(26億円)は莫大な金を手にしてるんですね。このままでは収まらないでしょうね。第三者割り当てに応募した旺文社さんやマイナビさんは放っておくんかいな。

MRT株式会社 自己株式の取得? 中止?

MRTは2/24(16:30)、「自己株式取得に係る事項の決定に関するお知らせ」を公表しました。が、しかし同日の22:30、「自己株式取得の中止に関するお知らせ」も公表。なに?って感じです。わずか6時間で前言撤回という事態に。

MRT株式会社

MRTはインターネットを活用した医療人材紹介を展開する企業。東京大学医学部附属病院の医師の互助組織を母体としてスタート。医師を中心とする医療分野の人材ネットワークを強みとして事業基盤を確立してきました。2014年に東証マザーズ上場を果たしています。

適時開示の内容

16:30 「自己株式取得に係る事項の決定に関するお知らせ」を公表。経営環境の変化に対応した機動的な資本政策の遂行、資本効率の向上及び株主還元を図るため、自己株式を取得するもの。と説明されていました。

22:30 世界経済の混乱が長期化されるおそれがある中で、医療を支えるための事業資金の確保など諸般の事情を総合的に勘案し、再度開催した本日の取締役会で自己株式の取得を中止することとした。と説明されています。

ロシアのウクライナ侵攻

前言撤回の背景は、ロシアがウクライナへ侵攻したことが伝わってきての政策変更なんでしょうね。経営の動揺が伝わってきますが、この事態は十分に予想できた展開。そもそもなぜあのタイミングで自己株式取得を公表したのかって感じです。

コロナの影響で需要が急拡大し、これを材料に今年9月には同社株価は2,400円台まで買われていたものの、この2/24にはとうとう1,000円割れに。この株価低迷を何とかするために自己株式の取得を決めたけど、、、。直後にウクライナ侵攻。経営陣はみなお医者さんなんで、マーケットでの駆け引きなどとは無縁だったんでしょうね。ちょっと不細工でした。

グレイステクノロジー 証券取引等監視委員会が課徴金納付命令

証券取引等監視委員会は2/22、「グレイステクノロジー株式会社における有価証券報告書等の虚偽記載に係る課徴金納付及び訂正報告書の提出命令勧告について」を公表しました。グレイステクノロジーに2,400万円の課徴金納付命令と訂正報告書の提出命令を出すよう金融庁に勧告しました。

おさらい

東証1部上場で、産業機械のマニュアル作成を手がける同社。2016年3月期~21年3月期に、発注書や受領書を偽造するなどして、架空の売り上げを計上。計約12億6千万円の利益を水増ししていました。この影響で四半期報告書を提出期限内に提出できなかったとして、2月末での上場廃止が決まっています。

課徴金納付命令

こうしたことを受け、架空売り上げの計上など粉飾決算があったとして、金融商品取引法違反容疑で、課徴金2,400万円の納付と、有価証券報告書などの訂正報告書の提出をさせるよう金融庁に勧告しました。金融庁も近く処分を確定すると思われます。

2,400万円って、そんな小さな金額で済ませちゃうの?という疑問を持った方も多いと思います。ただ現在の金商法ではこれが限界。法に定める金額どおりです。

株主は

国庫に納めさせる金額は上記のとおりですが、問題は粉飾決算が原因で損失を被ることとなった投資家(株主)です。2020年末辺りでは4,000円以上に買われていた同社株。昨日の終値はわずか20円。1,000株を400万円以上で買った投資家の現在の評価額は2万円です。

これに関しては経営陣の不法行為を問う株主代表訴訟などで戦っていくことになります。株式投資にはリスクがつきものですが、粉飾決算は論外。経営陣や取引所、主幹事証券や監査法人の責任追及がこれから始まります。