ソフトブレーン株式をめぐりインサイダー取引 会社役員が逮捕

日本経済新聞は5/18、「TOB情報で株買い付け容疑 地検、会社役員を逮捕」と報じました。国内投資ファンド傘下の会社が、営業支援ソフトなどを手掛けるソフトブレーン株に対して実施したTOB(株式公開買い付け)の情報を事前に入手して、同社株を買い付けたということです。

ソフトブレーン

ソフトブレーンは営業支援ソフトなどを手掛ける企業で、札幌からスタートした企業のようです。東京証券取引所マザーズに上場し、東証1部まで上がってます。そして昨年1月に上場廃止となってますね。同社も今回の報道に対し、「当社株式の取引に関する一部報道について」を公表。同社元従業員から情報を得てインサイダー取引が行われたことについては認めています。

インサイダー取引

会社役員の逮捕容疑は2020年7月中旬、知人のソフトブレーン社員から、国内投資ファンドがソフトブレーン株へのTOBの実施を決めたことについて情報伝達を受け、公表前の7月下旬に同株約2万株を計約670万円で買い付けた疑いだそうです。

投資会社「アント・キャピタル・パートナーズ」の傘下企業が、ソフトブレーンに対してTOBを実施するなどして完全子会社化するという情報でした。

逮捕されたのは、医療ベンチャー「再生医療iPSGatewayCenter」(東京都渋谷区)の社長だそうですが、今のところ容疑を否認しているみたいですね。

当時400円前後で推移していたソフトブレーンの株価は、8月14日にTOBが公表されてから急騰し、5日後の8月19日には2倍を超える868円まで買われたようです。濡れ手に粟のインサイダー取引。人の命を預かる事業に携わる企業の社長が金に目がくらんだ、、、悲しい事件ですね。

三協フロンテア株式会社 不適切な会計処理が発覚

三協フロンテア株式会社は5/17、「不適切な会計処理の判明と 2022 年 3 月期決算発表の延期に関するお知らせ」を公表しました。2022年3月期を含む複数事業年度に渡って、不適切な会計処理が行われていたということです。これも不適切ではなく不正のようです。

三協フロンテア株式会社

三協フロンテアは、ユニットハウスの製造と販売、レンタルが主力。建設・土木業界を中心に、工期が短く増減築が容易で、空調・給排水などのインフラも一体化した仮設建築物であるユニットハウスを提供する企業。他にも立体駐車装置の製造なども行う東証スタンダード市場上場企業です。

不正の概要

今年2月より開始された税務調査の過程で、同社の複数の営業拠点において不適切な会計処理の可能性を認識。直ちに関係者に対して行った調査の結果、営業担当者による着服、原価の付け替え、協力業者の下でのプール金の設定、売上の先行計上という、4つの類型を原因とする不適切な会計処理が複数事業年度に渡って行われていることが判明しました。

これら不適切な会計処理の内容を明らかにするとともに、同種の事案が発生していないかを明らかにするため、外部の弁護士・公認会計士による調査委員会を設置。既に厳格な調査を行っているということです。従業員の不正行為から会計不正まで、かなりいろいろ出てきそうですね。

複数事業年度に渡っていること、4つの累計が現時点で発見されていることから、調査期間や同社に与える負のインパクトも、相応のものになりそうです。こうしたことから3月期決算発表も当然延期となっています。そのため5/18の同社株価の方もストップ安(4,215円、700円安)となっています。

レオパレス21 連結決算発表を延期 から一転発表へ

経営再建中のレオパレス21は13日、同日予定していた2022年3月期の連結決算発表を20日に延期することを公表しました。ところが週明けの5/16、一転して決算を発表し、22年3月期の連結最終損益が119億円の黒字(前の期は236億円の赤字)に転換する見込みとしました。

監査法人への通報

5/13の開示では、「監査法人に通報があり、2022 年 3 月期の決算内容を調査確認するため、当初予定していた決算発表日を延期する」と公表していました。監査法人への通報というのは以下のようなこと。

①1989年に当社取引先であった A 社との間で2億5,000万円の実体のない貸付をし、架空貸付金の計上がされている。
②同社と入居者の直接の賃貸借契約を、仲介業者経由として仲介手数料を不正に支払っている。
③毎月の入居率を意図的に高く公表するため、不当な操作をし、会計上の影響を与えている

ところがこれらの通報については、いずれも否定もしくは決算に影響を及ぼすものではないとの判断で、決算発表を延期することなく発表。施工不良問題をめぐる補修工事で損失引当金の戻し入れ益を計上し、22年3月期の連結最終損益が119億円の黒字(前の期は236億円の赤字)に転換する見込みということになりました。

なんとも残念なこのドタバタ感ですが、実際のところ何が起きてるんでしょうかね。監査法人への通報ってのはおそらく内部通報でしょうから、社内にはこれまでの経営に対する疑問や批判的な意見を持つ人が少なからず居るということか。

株価の方は黒字化の報を受けて急騰していますが、、、それでも、これで落ち着くという感じがしない会社です。

日本製鋼所 検査データ不正(その2)

日本製鋼所は5/9、「当社子会社の一部製品における品質検査の不適切行為の判明と特別調査委員会の設置について」を公表しました。子会社の日本製鋼所M&Eが生産した鉄鋼部材で検査不正があったという事件ですね。昨日に続いて(その2)です。

子会社?

子会社での検査不正として公表され、メディア等でも子会社で、という報道がなされています。が、しかし、この日本製鋼所M&Eなる会社、設立は2020年4月なんですね。この時、日本製鋼所の素形材・エネルギー事業と風力発電機器保守サービス部門、並びにグループ会社4社を統合して発足しています。

これに対して、今回明るみに出た検査不正は、「遅くとも1998年から、繰り返し継続的に実施されていたことを確認している」、と公表されています。そう、この不正はもともと日本製鋼所本体の中で繰り返してきた不正だという可能性もあるわけです。

考えようによっては本体で行われてきた不正を察知し、当該部門を切り離して別会社化したように見えなくもありません。これは穿った見方過ぎかもしれませんが、少なくとも子会社での出来事で済ますべき事象ではなさそうです。

株価の方は

同社株価については、公表のあった5/9、3,025円まで700円下げ、ストップ安まで売られました。翌日5/10も2,500円台まで500円近く売られる展開に。相場全体が弱いことも影響してるでしょうが、最近の不祥事が株価に与えるインパクトはかなり大きくなっているような気がします。

上記の通り、実質的には日本製鋼所で行われてきた検査不正ではないかということを、投資家は嫌ったようにも見えますね。ちなみに、今回不正のあった対象製品は発電所に納入されてきた製品なんですが、原子力発電所には納入されていないということです。

日野自動車 22年3月期の連結最終損益は847億円の赤字

日野自動車は4/27、「繰延税金資産の取崩し、通期連結業績予想と実績値の差異、剰余金の配当に関するお知らせ」を公表しました。同時に同期の決算短信も公表しています。やはりかなりのインパクトが出てきましたね。

おさらい

エンジン性能の認証不正が発覚。型式指定の取り消し処分に伴い、日野自動車は不正のあったトラック・バスの4車種の一部で生産と出荷が停止に追い込まれました。台数ベースで同社の国内販売の約3割にあたる大型トラックが、全てが販売できない状況だそうです。

決算数値など

発表した22年3月期の連結最終損益は847億円の赤字で、同社にとって過去最大の赤字となっています。不正に伴う特別損失の影響が大きく、リコール(回収・無償修理)や税制優遇を受けた分の追加納付の費用で400億円、北米工場の稼働停止に伴う販売店や部品会社への補償費用として273億円を計上しています。

同日開いた記者会見で社長は、「不正行為のあった車種の出荷再開が見通せない」と発言。燃費の改ざんに伴う購入者への補填費用の負担も大きいようで、あるアナリストの試算によると、今期負担が470億円に上るとも。税金の追加納付やリコール費用をあわせると、国内の不正関連で1820億円の負担が生じるなどとも指摘しています。

株価の方は

決算発表を受けて同社の株価は大きな動きなし。決算を見越して直近安値近辺の636円まで売られていたためだと思われます。さてさて今後どうなりますやら。3/11に設置された特別調査委員会の調査結果もこれからですね。