日機装株式会社 検査不正で特別調査委員会を設置

日機装は2/28、「特別調査委員会の設置について」を公表しました。同社が製造していたキャンドモータポンプ及び往復動ポンプの一部製品について、出荷前に社内規定により定めた品質計画書に基づく社内検査の一部(耐圧検査)を実施していないことが判明したということです。

日機装

日機装は産業、エネルギー業界など幅広い分野で使用される特殊ポンプのリーディングカンパニーです。「インダストリアル」、「航空宇宙」などに分かれる工業部門と、透析装置などの医療部門に展開する東証プライム上場企業です。

事案の概要

キャンドモータポンプ(製品名「ノンシールポンプ」) 及び、往復動ポンプ(製品名「ミルフローポンプ」)の一部製品について、出荷前に同社社内規定により定めた品質計画書に基づく社内検査の一部(耐圧検査)を実施していないことが判明しました。

昨年10月、同社従業員が製造工程の確認をしていた際に、一部のポンプ製品について、出荷前に社内規定に定めた品質計画書に基づく社内検査の一部(耐圧検査)を実施していなかったことを発見したとのこと。その後同社ではこれまで社内調査を実施してきたということです。 そして更なる事実関係の解明、原因究明及び再発防止策の策定等を目的として、外部有識者を主とした特別調査委員会を設置することを決議したとしています。先月好決算と増配を公表したばかりの同社。大事に至らなければ良いんですが。

ふくおかフィナンシャルグループ傘下の十八親和銀行 行員が顧客から数千万円の現金を着服

ふくおかフィナンシャルグループ傘下の十八親和銀行は2/28、「元行員による不祥事件の発生について」を公表しました。行員(男性、58歳、ふくおかフィナンシャルグループ関連会社勤務)が、顧客1名から数千万円程度の現金を着服していたとのこと。

着服の手口

当該行員は、銀行休業日に積立定期預金の名目で現金を集金するという手口で、20年程度、着服を繰り返していたといいます。その着服した金額のうち、1,200万円程度については、既にお客さまに返却しているそう。行員は同日付で懲戒解雇処分となっています。また本件については、監督官庁への届出を行うとともに、警察に通報を行っているとのこと。

被害金額

行為の期間が長期にわたることなどから、現段階では被害額の総額は判明していないとしており、今後も調査を継続して被害額が確定した後、元行員から顧客への弁済状況を確認して同行としての損害賠償を検討するとしています。

同行による開示は、被害総額がまだ分かっていない状況での開示。つまり事態が判明後速やかに事実を公表しているという対応となっています。この対応は評価できると思います。どこかの銀行のように、他行で同様の事件(貸金庫の件ね)が発覚したのちに、実は当行でも・・・みたいな無様な対応じゃなくてね。

東京地下鉄(東京メトロ) 千代田線で一部未検査の車両を運行

少し前の話になりますが東京地下鉄は2/19、千代田線の1編成について必要な検査を受けずに運行していたことを公表しました。検査担当者が必要な検査の種別を誤認していたためとしています。運航していた期間に事故や故障は起きなかったとのこと。

東京地下鉄

東京都区部を中心に地下鉄を運行。鉄道各社との直通運転により、郊外から都心への移動の結節点として、首都東京の都市機能を支えています。輸送人員数は1日平均652万人(24/3期)で、都心部での短距離・大量輸送を提供する輸送効率性の高さが特徴です。昨年東証プライムに上場した企業です。

事案の概要

社内基準では3カ月以内の周期で行う検査と、12カ月以内の周期で行う検査の2種類があり、本来は12カ月以内に行う検査を実施すべきところ、3カ月以内の検査を実施していたとのこと。結果として電気系統の確認など一部の項目が実施されなかったといいます。62日間にわたり、必要な検査を受けないまま2万8780キロメートルを走行していたそう。

メトロと地下鉄

結果的に事故はなかったので大した話題ではないんですが、個人的に気になっているのが社名なんです。タイトルにも記したように、同社はメディア等で「東京地下鉄(東京メトロ)」と紹介されることが多いようです。正式社名は東京地下鉄。英文社名が東京メトロということみたい。

東京に住んでいる人には東京メトロの方がしっくりくると思うんですが、なぜ東京地下鉄と名乗ってるんでしょう。東京地下鉄株式会社法なんてのがあるらしいけど、ややこしいよ。併記するの面倒くさいよ。

東京海上ホールディングス 出向先の三菱UFJ銀行から顧客情報3.7万人分不正取得

東京海上日動火災保険と東京海上日動あんしん生命保険は2/21、三菱UFJ銀行に出向していた複数の社員が2020年から24年にかけて同行の顧客情報を出向元に漏洩していたと発表しました。

東京海上ホールディングス

東証プライム上場企業は東京海上ホールディングス。その子会社で国内損害保険事業の中核を担うのが東京海上日動火災保険。国内生命保険事業を担当するのが東京海上日動あんしん生命保険という組織の体制です。この両社から三菱UFJ銀行に出向していた社員達が、三菱UFJの顧客情報等を持ち出していたという事案です。

事案の概要

東京海上日動火災保険からの出向者が、法人顧客28社分の情報を、東京海上日動あんしん生命保険からの出向者が、個人顧客 37,843名分、法人顧客8社分の顧客情報等を出向元へ漏えいしていたということです。メガバンクで損害保険大手の出向社員による情報漏洩が確認されたのは初めてだそう。

顧客情報以外にも、銀行におけるデジタルトランスフォーメーション施策に関する業務資料や、行員向け研修資料なども持ち出されていたということです。これらが営業秘密に該当するとなれば、不正競争防止法などに触れる可能性もあります。この事案、出向社員の過失だけでは済まされそうにないですね。

カナデビア(旧日立造船) 無資格者が溶接工事 172件

カナデビアは2/21、「当社向島工場での橋梁等の製作における溶接作業者の資格不備について」を公表しました。一部の橋梁等の製造において、契約等で求められている溶接技能資格を有しない溶接作業者複数名が溶接作業を行っていたことが判明したとのこと。

カナデビア

カナデビアは昔の日立造船。日立グループでもなく、船も作ってないのに日立造船、とよく言われてきた同社ですが、昨年10月にとうとう社名変更しました。現在では、ごみ焼却炉や産業廃棄物処理プラントといった環境装置・プラントの設計・製造・販売を中核事業としている東証プライム上場企業です。

不正の概要

社内調査で、発注先である国土交通省などとの契約で求められている溶接技能資格を有しない作業者に従事させていたことが発覚。問題となる工事は橋梁151件、海洋構造物19件、その他構造物2件の合計172件。この無資格者が施工した溶接量は全体のおよそ10%といいます。

昨年発覚した子会社での船舶用エンジンのデータ改ざん。この調査における横展開で、今回の問題が発覚したようです。新社名でのスタート直後の不正発覚となってしまいましたが、不正の膿を出し切るという意味では同社にとって好機になりそうです。ろくに調査もせず、行為者を切ってお終いにする企業ではこうした効果はないわけです。