すてきナイスグループ 元会長ら3人を逮捕 第三者委員会報告書も

東証一部上場のすてきナイスグループの粉飾決算事件で、横浜地検が同社元会長の平田恒一郎ら3人を金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の疑いで逮捕しました。また、逮捕前日の7/24には、同社が設置していた第三者委員会の報告書も公表されています。

不正な売り上げ計上

報道では、在庫物件などを会計上の子会社に売却する形で、約30億円の不正な売り上げ計上があったと報道されていました。第三者委員会の報告書を読んでみると、ここで会計上の子会社とされている会社は、元会長が個人的に100%株式を保有する会社で、ナイスグループとは全く関係のない別会社の子会社です。

ちょっと分かりにくいですね。平田恒一郎氏が100%保有する「エイワ設計株式会社」という会社があり、その100%子会社に「ザナック設計コンサルタント株式会社」(以下、ザナック)という会社があります。このザナックという会社が約30億円の在庫物件を買い付けた会社です。

資本上はナイスグループと一切関係ないわけですね。報告書ではこの会社をグループ外支配会社と呼んでいます。また、このザナックが買い付けに投じた30億円は、実はナイスグループから融資された資金。資本関係はないが、平田恒一郎氏が支配する会社を舞台に、在庫物件を売却して、会計上認められない売り上げを計上し、利益も上げていたということです。

おまけにこの平田恒一郎氏、「エイワ設計株式会社」の株式を100%保有しているにもかかわらず、株主名簿上では他人の名義にしていたとのこと。ナイスグループや同氏と関係があることが外形上分からなくして、いろいろと裏取引みたいなことをしてきたようです。

創業家の強い影響力

創業家の二代目であった平田恒一郎氏。筆頭株主であり、ナイスグループ内では圧倒的な影響力を持っていたようです。役員等の人事権も当然掌握してます。スルガ銀行の件と同じですね。ザナックとの取引が通常の取引とは思えない、何か問題があるのではないかと懸念したとしても、取締役をはじめ、役職員がこれをけん制することはできなかったと見ているようです。

監査役 会計監査人

監査役にもザナック案件について、事前には情報が届いていなかったようです。かろうじて期末監査の際(つまり事後的に)ザナック案件を知り、会計上の疑義を持ち、会計監査人に相談をしています。ところが、会計監査人は「会計上の問題はない」という回答をしているみたいです。監査役および会計監査人が、ザナックを実質的に支配しているのはナイスグループであることについて、どこまで知っていて判断したのかに関しては、報告書からは読み取れませんでした。。。長くなってきたので、今日はここまで。

日産自動車 人員削減 1万2500人

7/25、日産自動車は4~6月期の四半期決算を発表しました。予想通り大幅に悪化してますね。連結営業利益は前年同期比で99%減だそうです。カルロス・ゴーン会長が逮捕されたのが昨年11月のことでした。その後も次から次へと出てくるゴーン氏在任中の不正。さらにはルノーとの政争もあり、ブランドイメージは傷付きまくりです。

日産リバイバルプラン再び

決算の発表に併せて、構造改革策としての人員削減についても公表しています。1万2500人の人員削減です。この会社単独では従業員数2万2千人となっていますから、ここで言う1万人は連結ベースでの削減ですね。連結ベースでは従業員数13万9千人を抱えています。

20年前、1999年10月、カルロス・ゴーンCOO(当時)は記者会見を行い、日産リバイバルプランを発表しました。日産の再建計画ですね。5つの工場閉鎖や部品等の調達先の削減に加え、2万1千人の従業員削減が発表されたのです。かなり衝撃的な記者会見でした。

そして今から10年前、2009年リーマンショックの場面でも同様に、2万人の人員削減を実施しています。この時は技術派遣3000人を一斉に契約解除したことが、社会問題になったりもしていました。

この会社、どうも ***9年が鬼門のようで、10年ごとに人員削減に追い込まれてます。そして2019年、今回再び、、、ということになりました。が、ゴーン氏が会長職に留まっていたら1万人どころではなかったかもしれません。

事業環境の変化

20年間で3回目となる今回の人員削減ですが、これまで2回の局面との大きな違いが、事業環境の劇的な変化です。過去2回はいずれも景気全体の落ち込みに如何に対応するかという局面であり、その答えとして選択したのが人員削減であり、コストカットでした。

しかし、今回は自動車そのものが売れない時代であり、内燃機関がなくなる時代。それほどの大きな事業環境の変化が見込まれています。従業員を減らすことは正解なんでしょうか。削減する従業員次第では、次の事業環境の変化に対する適応力の低下を招きかねません。

過去2回の人員削減で、新車の開発力が落ちてしまったように、今回この事業環境の変化に適応できなかったり、適応スピードが不足してしまった場合、業界からの退場を余儀なくされるのではないか。そんな気がします。米中貿易戦争の一時的な影響とみることもできるでしょうが、今の日産が置かれている状況、それほど過少に評価するべきではないように思います。

「ノーと言う、社員が会社の、救世主」 吉本興業 かんぽ生命

壁にかかっているコンプライアンスカレンダー。今月7月の一言は「ノーと言う社員が会社の救世主」です。あともう一週間ほどでめくられ、捨てられてしまいますけどね。この標語の通り、吉本興業では社員が救世主になったようです。正確に言うと、社員ではなく、所属タレントということかもしれませんが、会社の内部から声が上がるというのは非常に重要なことです。

吉本興業

いわゆる闇営業で反社会的勢力との付き合いが問題となり、芸人との契約解消を巡って社長が記者会見することになりました。この吉本興業、昔は上場企業だったんですよね。2010年に実質的なMBO(マネジメント・バイアウト)により、上場廃止しています。非公開会社ですのでkuniもあまりこの事件については詳しく見てきませんでした。

ただ、所属タレントが反社との関係を持っていたことについて、所属タレントを切っておしまい、みたいな会社としての対応については、いかがなものかと。加えて、会社として正式な謝罪会見も行ってなかったようですし。そんな会社に対して「ノー」と言ったのは、明石家さんま氏や松本人志氏、加藤浩次氏だったようですね。

この会社、昔から事件の多い会社でした。反社に関しても島田紳助氏が暴力団との交際が原因となり芸能界を引退してます。何度も会社として改めるチャンスはあったはず。それでもこのようなことが起きてしまうというのは、まさに会社の、経営者の、ガバナンスが改善されずに来たということだと思います。「社員のノー」が救世主になり、ガバナンス改革が進んでほしいものです。

かんぽ生命

一方で、かんぽ生命にはこのような「社員のノー」は出てきていないようです。経営はこの期に及んで、社内にかん口令を敷いているらしいですね。「不適切な販売にはあたらない」などという不用意な会見で始まり、顧客をないがしろにした営業実態が次から次へと。収拾がつかない状況です。所属タレントの声で会社が大きく動くことになりそうな吉本とは好対照ですね。

経営者のコンプライアンス感覚、リスク感覚でここまで会社がおかしくなってしまう、、、スルガ銀行やレオパレス21と肩を並べる、もしくはそれを超える事件になってしまいそうです。この会社にも、ここらでイノッチさん辺りからガツンと言ってもらった方が良いですかね。

リープフロッグ ゆでガエルを横目に

以前、リープフロッグ現象(リープフロッグ型発展)について書きました。既存の社会インフラが整備されていない新興国において、新しいサービス等が先進国が歩んできた技術進展を飛び越えて一気に広まる現象ですね。金融の世界においても、重厚なインフラを作ってしまった日本とは比較にならないスピードで、スマホだけで何でもできるフィンテックを中国などが実現してしまいました。

リープフロッグ

英語では leap :飛び跳ねる 飛び越える という意味です。frog :カエル の意味です。勢いよく飛び越えていくカエルってな意味で使われるんですね。先ほど書いたように、中国はまさにこの表現がぴったりな国です。今後はインドやアフリカ諸国がこうしたリープフロッグを見せ付けるんでしょう。

ゆでガエル

中国が勢いよく飛び越えていったのは日本。日本はまさにゆでガエル状態なわけです。きっとゆでガエルを横目に飛び越えていったのでしょう。ゆでガエルとは、ビジネス環境の変化に対応することの重要性を例える言葉です。

熱湯に入れたカエルは、直ちに飛び跳ね脱出し生き延びるのに対し、穏やかに水温が上昇していく冷水に入れたカエルは、水温が上がることに気付かず(ビジネス環境の変化に気付かず、対処できず)、逃げ遅れて死んでしまう。そんな意味なんですね。

調べてみると、かなり多くの人がこのカエルの実験を実際にやっているみたいです。実験の結果、熱湯に入れれば飛び出せずに死んでしまうし、冷たい水に入れれば熱くなるにつれ運動が活発になり、熱湯になる前に飛び出してしまう。というのが真相のようです。つまり、事実に基づくお話ではないということですね。

それでもゆでガエルが次から次へと

まぁ、あくまで物事の例えなわけで、、、本当にカエルで実験することもないだろうと思いますが。そこは科学者のプライドが許さないんでしょうね。

ビジネス環境や戦況の変化、自社における企業風土の劣化を正しく認識できず、おかしなことになって行く会社が後を絶ちません。証券業界の雄だった野村證券、メガバンク、つい最近ではセキュリティ対策を怠ってセブンペイでしくじったセブン&アイ・ホールディングス。ゆうちょ銀行にかんぽ生命、大和ハウス工業、IHIなどなど。業界のトップ企業がおかしくなって行ってるのが気になりますね。

かんぽ生命 全顧客に意向確認 2900万件

7/15付け日本経済新聞の記事です。「かんぽ生命保険で多数の不適切販売があった問題で、同社と販売を受託している日本郵便が、すべての契約者に保険の契約内容が希望に合っているかなどの意向を確認することが分かった」と伝えています。

手紙の送付や直接訪問を通じて、顧客と一緒に内容を確認する。意向に沿わない契約だったと申し出があれば、契約時の状況を確認し、場合によっては取り消しや保険料の返還などに応じるとしています。

契約件数 2900万件

全契約件数は2900万件に上るとも書かれています。ものすごい数ですね。契約者数とイコールではないでしょうが、意向確認の作業、大変な業務不可になりそうです。かんぽ生命のホームページでは、「かんぽ商品に係る当面の業務運営について」というプレスリリースが出ています。7/14付け、日曜日ですね。

「当面の間(7~8月)は、お客さまからのお問い合わせ、ご訪問依頼に最優先で対応させていただきます。 また、お問い合わせ等のないお客さまに対しても、ご心配をおかけしたことをお詫び申し上げるとともに、今後ご通知等を通じてご契約内容の確認等を行わせていただきます。」とあります。

顧客側から問い合わせや訪問依頼があった場合は、電話や訪問により意向確認等を実施し、なかった顧客に対しては通知等(郵送)で意向確認するということですね。

契約の取り消しや保険料の返還

ホームページのプレスリリースを受けて、日経の取材に応じたんだと思われますが、日経が書いている「意向に沿わない契約だったと申し出があれば、契約時の状況を確認し、場合によっては取り消しや保険料の返還などに応じる」というくだりは、ホームページでは確認できません。メディアには良いこと言って誠意を見せるが、ホームページの顧客向けメッセージには載せないってのはいかがなものでしょう。

また、日経の記事には、「新契約を減少させる影響があるが、販売費用の減少も見込まれるため、現時点で業績予想は修正しないとしている。」と書かれていますが、この業績予想に関するお話もホームページにはないんですね。

「新契約の減少と販売費用の減少が相殺する」という前提もかなりいい加減な話で、9月辺りに業績予想の下方修正を迫られるのは間違いなさそうです。何もかもが後手後手になっています。そして、今後の業績に関する見通し等を、一部のメディアに対してのみ提供するという脇の甘さも、、、。なんだかねぇ、これからもまだまだメディアを賑わせそうです。