ユニチカ検査データ改ざん 日経の取り上げ方

8/29 日本経済新聞にユニチカの検査データ改ざんに関する記事がありました。とても小さな記事であり、公表された事実を伝えたのみ。昨年度、検査データ改ざんに関するニュースが相次ぎましたが、その後終息したかと思いきや、、、というタイミングのニュースです。

2018年10月に把握もその後1年間公表せず

ユニチカのこの事案、取引先の求める基準に満たない製品が見付かっても、検査結果を書き換えるなどして出荷していたというもの。2013年8月から5年間、76製品で改ざんが行われていたとのこと。ここまでは昨年異常にに多発した検査データ改ざん事案とよく似たお話です。

しかし、同社の公表は非常に問題です。この不正について同社は社内調査で2018年10月には把握しており、ここまで隠してきたことです。隠蔽と言われてもしょうがないですね。その間、不正の公表と同様に、取引先への報告もしていません。

昨年8月にはマツダ、スズキ、ヤマハ発動機が検査データ改ざん、9月にはフジクラ、そして10月にはKYBがオイルダンパーの検査データ改ざんを公表し、世の中で叩かれました。ユニチカがこの事案を把握したのが、ちょうどこの頃になります。改ざんを公表したKYBの株価はわずか3週間弱で2500円割れ。半分になってしまいました。こうした惨状を見ながら、ユニチカの経営は何を考えたんでしょうか。

毎日新聞の報道には、「一部報道を受けて、公表に踏み切った」というくだりがあります。どこかがすっぱ抜いたんでしょうか。いずれにせよ、この情報開示の姿勢はいただけません。

日経の記事

読売、朝日、毎日が、1年間情報開示しなかったことへの批判的な記事を書いているのに対し、日経はそういった主観はなし。ノーコメントといった感じの記事です。去年の10月に公表していれば大騒ぎになっていたけど、ここまで隠し通したら、世の中は米中関係、日韓関係、リクナビの騒ぎでかき消されてラッキー。みたいなことじゃいけませんわな。経営が現実から目をそらし、隠蔽を図るような企業は令和に生き延びる必要ありません。

改元 リクナビ 消費税

8/26 個人情報保護委員会は、リクルートキャリアに対し是正を求める勧告を出しました。同社が運営する就職情報サイト「リクナビ」の、内定辞退率の予測を顧客に販売していた件ですね。個人情報保護委員会が勧告を出すのは初めてだそうです。約8000人の利用者のデータを、同意を得ずに第三者に提供したことなどが、個人情報保護法違反にあたると判断したようです。

リクルート事件

若い人は知らないでしょうね。昭和63年6月18日に発覚した贈収賄事件です。リクルート会長の江副氏が、政治的にも財界的にも地位を高める目的で、有力政治家や官僚などに対して、同社子会社のリクルート・コスモス社の未公開株を譲渡しました。もらった人たちは昭和61年、同社株の上場で大儲けしたものの、事件が明るみに出たことで、当時の竹下首相が退陣するなど大騒ぎになりました。

改元 平成元年

その事件発覚から半年後の昭和64年1月7日、まだまだリクルート事件の捜査が続いている最中ですが、昭和天皇が崩御(ほうぎょ)し、翌8日からが新元号平成がスタートしました。

消費税導入

そして同じ平成元年の4/1、3%で初めて消費税が導入されました。これ以降は記憶にある方が増えてくると思いますが、平成9年に税率を5%に。平成26年に8%へと増税してきたわけです。そして今年10月に税率10%に引き上げられる予定ですね。

kuniの頭の中に、リクルートと改元の記憶というか、イメージが残っていて、今回調べなおしてみたんですね。まとめてみると、リクルート事件が発覚 → 平成へ改元 → 消費税導入、、、この間1年足らずなんです。

そして今回のリクナビ問題についても、少し順番が違いましたが、やはり3つがセットになってます。令和へ改元 → リクナビ問題発覚 → 消費税10%へ増税 って感じですね。改元が5/1、リクナビ問題が8/1、消費税増税が10/1ですから、この間4カ月ほどです。

リクルートという会社、改元と消費税には深~いご縁があるようです。

ジャムコ 国土交通省から業務改善命令

8/20 国土交通省は航空機内装品製造のジャムコに対し、業務改善命令を発出しました。今年3/25、航空機シートなどの内装品の検査に不正があったとジャムコが公表していた件に対する行政処分です。この時同時に第三者による特別調査委員会の立ち上げも公表しています。

相次いだ航空業界の不正・不祥事

JALやANAの乗務員の飲酒・呼気検査に絡む度重なる不祥事、IHIによる航空機エンジンの整備不正、エンジン部品の製造工程での不正。そしてこのジャムコの内装品に関する検査不正。まぁ、出るわ出るわ。この業界の不正・不祥事はこれで膿を出し尽くしたんでしょうか。

羽田空港の国際便増発のための新たな着陸ルート。東京都心を旅客機が低空で飛ぶこの新ルートの運用は来年3/29からです。地元住民等への説明はこれから本格化しそうです。そんな中で、航空業界の安全に対する意識を疑われるような不正・不祥事の報道が続いたんじゃシャレになりません。

ずいぶんと具体性のない業務改善命令で

ジャムコは3月公表時点で不正の件数など、けっこう具体的な数字もあげていましたが、今回の業務改善命令は全く具体的な数字を明らかにしていません。第三者による特別調査委員会の報告もまだ公表されていませんから、しょうがないんでしょうけど。

1月から着手し、7/18まで、実質計14日間にわたる立ち入り検査の結果と、同社から徴収した報告に基づき、業務改善命令を発出したということのようです。行政処分を行って、この件については公にはもう終わらせたい。みたいなバイアス掛かってないよね。

業務改善命令の内容は、以下の2点です。
①外注部門が委託先担当者の印鑑を複製し、押印漏れや誤記修正時に委託先に代わって代理で押印していた事案(これある意味なんでも出来ちゃいます)
②製造委託した部品の検査を無資格検査員が実施していた事案

リクナビ問題38社 (その2)

就職情報サイト「リクナビ」を運営するリクルートキャリアが、「内定辞退率の予測」(リクナビDMPフォロー)を企業に提供していた問題。予測データ購入企業第1号はホンダでした。その後もどうやって調べたんでしょう、7社が購入していたことが報道されました。

①ホンダ、②トヨタ、③大和総研、④アフラック生命、⑤りそなHD、⑥NTTコムウェア、⑦NTTファシリティーズ、⑧東京エレクトロン

これらに続いて、今度は予測データ購入企業からの公表も始まりました。第1号は8/16 YKKです。グループ企業のYKKAPにもデータは提供されていたようですが、こちらはプレスリリースでは確認できませんでした。同日、続いて、レオパレス21も公表しています。

⑨YKK、⑩レオパレス21

「就職説明会への参加促進が目的であり、採用選考の合否判定には一切使用していないことを確認している」という説明と、「採用活動における個人情報の取扱いに一層配慮していく」という宣言がパターン化してきましたね。自ら公表したこの2社については、学生および関係者に対し正式に謝罪しています。

ここまで様子見を決め込んでいたその他の企業はどうするんでしょう。お盆休みも明けたことですし、残り28社の公表がここから相次ぐんでしょうか。次回は38社出そろった頃にでも書きましょうかね。

リクナビ問題38社 第1号はホンダ

日本経済新聞によると、就職情報サイト「リクナビ」を運営するリクルートキャリアが、「内定辞退率」の予測を企業に販売していた問題を巡り、ホンダが予測データを購入していたことが9日、分かったとのこと。購入した企業名が明らかになるのは初めて。ホンダとしては選考の合否判定には使っておらず、問題はないと言ってるようです。就活生への説明などは今後、対応を検討するようです。

日経の特ダネ

日経 xTECHの取材で判明したようで、まさに日経の特ダネですね。が、しかし、8/10の日経朝刊では7面で報道。おまけにリクルートホールディングスの4~6月期決算が過去最高を更新したというデカい記事に隠れるように添えられています。ビッグな広告主ですもんねぇ。1面トップで報道というわけにはいかなかったんでしょう。ちなみに、kuniが読んだのは電子版です。紙の新聞の場合は版によって紙面の取り扱いが違うかもしれません。

ここまでこの疑惑の38社について、一切の報道がありませんでしたが、日経はどうやってこの情報を仕入れたんでしょう。もちろん情報源を明かしたりはしないでしょうが、ホンダの内部からの情報提供を受けての取材という線が一番ありそうですかね。

38社のネームはいずれ公表されるでしょう。であれば独禁法のリーニエンシー(課徴金減免制度)みたいなもんで、一番最初に手を挙げた方が、最終的な企業のダメージは小さいと思われます。ホンダ自身が日経と、紙面での取り上げ方や報道のトーンまで事前調整したうえで記事を書かせた、なんてのもありかもしれません。ちょっと考えすぎでしょうか。

この後自主申告は出るのか

第1号はホンダで確定しましたが、これを受けて自主申告する企業とか現れますかね。第2号が出ると、その他の会社はあせるでしょうねぇ。もともとリクナビはともかく、情報買った企業ってどうなのよ、と皆さん感じていたと思います。kuniもまさにそんな感じでいたところに、日経が第1号のホンダを妙な取り上げ方するもんですから。。。いろいろと考えてしまって、、妄想しまくりですわ。