株式会社エルテス 深夜の開示 何があった?

株式会社エルテスは1/14、「連結子会社によるバンズ保証株式会社の株式取得に関するお知らせ」を公表しました。なんと開示されたのは1/14の0時45分です。1/13に2023年2月期第3四半期決算を発表するとしていましたが、それが間に合わず、、、この開示となっています。

エルテス

エルテスは、企業向けにソーシャルメディア(インターネット上のSNSやブログ、掲示板など)におけるネット炎上などのリスクを検知するモニタリングや、その対応方法のコンサルティングなどのサービスを提供提供する企業。東証グロース市場上場で、設立から10年ほどの企業です。

事案の概要

予定した決算発表が間に合わず、その理由が同社子会社のJAPANDXが昨年買収した「メタウン」という会社にあるとのこと。現連結子会社化した際(要するに買収した際)の財務諸表の数字がおかしいことが判明したということです。

実際に連結決算に取り込むべき数字と、「株式譲渡契約に記載の譲渡明細上に記載されていた売掛金、立替金、預り金、未払金、前受金などと差異があることが判明しました。」としています。買収時に実態よりもより良い決算数値を見せられて、より高い買物をさせられたということでしょうかね。

取締役の保有する企業

ややこしいのがこの「メタウン(旧社名がバンズ保証株式会社)」、もともとはエルテスの取締役がオーナーだった会社だったこと。取締役が自分の会社を、自分が取締役を務めるエルテスに高く売り付けたという格好になってるのかもしれません。ちなみに、買収金額は15億6,000万円(うち、12億円は金融機関からの借入)みたいです。

決算発表できませんでした。という開示の中で、この件の調査に対応するため「対応人員の確保」とか言ってる時点で相当ヤバいことになってそう。以前にも書いたことありますが、深夜の開示には相当注意が必要です。社内はめちゃくちゃ混乱しているものと思われます。

株式会社オークファン 特別調査委員会の調査報告書を公表

オークファンは1/13、「特別調査委員会の調査報告書受領に関するお知らせ」を公表しました。100%子会社である SynaBiz において、複数事業年度に渡って不適切な取引及び不適切な会計処理が行われていたとして、特別調査委員会を設置して調査してきました。

調査により判明した事実

調査の結果、以下のような不正又は著しく不適切な取引ないし会計処理を行っていたことが明らかにされています。
① 循環取引とも評価すべき経済実態のない商品取引を実施することにより、架空の売上を作出し計上
② 商品取引の商流の中間に形式的に介入するだけで、実質的には仲介手数料程度の収入を得られるにすぎないのに、売上を総額で計上
③ 倉庫及び物流費の先送り並びに広告売上の架空・水増し計上及び前倒し計上による利益操作

発生原因

こうした不正が発生した原因として、「売上高の成長を過度に追及していた企業風土及び実力からかい離した予算の設定」だとか、「トップダウンで設定された予算の達成に向けた厳しい予実管理」などがあげられています。この手の不正ではよく見かける原因ではあります。

何だかスッキリしない

報告書を読んでいて何だかスッキリしない。報告書ではこれら不正について、「SynaBiz 担当者が・・・」と表現されていて、執行役員を含む経営幹部や親会社の幹部の関与があったかどうかについて、ほとんど触れていないんですね。これだけたくさんの不正が出てくると、そこが一番重要だと思うんだけど。

警視庁東京空港署 署内で拳銃を誤発射

1/10付け日本経済新聞に、「警視庁署内で拳銃を誤発射 警部、けが人なし」という記事がありました。東京都大田区の警視庁東京空港署地下1階で、警備課の女性警部(56)が拳銃から弾を抜く際、誤って実弾1発を発射してしまったとのこと。近くに男性署員が1人いましたが、けが人はいなかったそうです。

事件の概要

現場は弾の出し入れ作業をする机が並んでいる場所で、一般人は入れない場所。警部は勤務を終え、拳銃から弾を抜くため、携帯していた左脇の下から取り外そうとしたところ、誤って机の角に拳銃が当たり暴発したということです。記事本文では「暴発」と書きながら、見出しでは「誤発射」と書くあたり、いかにもメディアらしいですね。

警視庁も変わったのね

実は同じ社会面に、「無免運転疑いで男性を誤認逮捕 静岡県警、照会ミス」という記事もありました。こちらは明らかに人為的なミスであり、被害者(場合によっては訴えることも)がいるので、正直に公表するしかない事件です。

一方で、警視庁の拳銃の暴発は偶発的でかつ被害者もなく、警察署の外へは情報が漏れることのない事件です。昔だったらこのような事故はまず公表されてなかったんじゃないかな。未だに不正の隠ぺいが続く上場企業と違って、警視庁も変わったね。と、感じさせる事件でした。

情報を隠そうとして隠し切れなかった場合のダメージを考えると、公表したのは大正解だと思います。風通しの良い組織に生まれ変わり、ますます優秀な組織になることを願ってやみません。

旅工房 解決したはずの Go To トラベル事業給付金の不正受給が

旅工房は1/11、「2022年3月2日に受領した Go To トラベル事業給付金の受給申請に関する調査報告書の調査結果に関する一部再検証に係る検証委員会設置のお知らせ」を公表しました。なんと、解決したはずの不正受給。またケチが付いたようで。

おさらい

Go To トラベル事業給付金の受給を申請していた取引の一部に、宿泊等の実態がないなどの理由で、給付金の受給対象とならない取引が多数見つかったという事件でしたね。返還を求められる可能性のある地域共通クーポンの総額は、9,362 万円と公表されていました。

ちなみに同社の不正事案はこれが初めてではなく、2020年には法人営業部門の従業員による3億円を超える売り上げの架空計上等(本人が利得していたのは約3,900万円とされていました)が発覚しています。

その後、コロナの影響やこれらの不正を受け同社はボロボロの状態。債務超過に陥り、昨年は希望退職者を募集するような状況に追い込まれています。

そして今回は

外部機関より、「前回調査結果のうち一部の事項について、前回調査の対象となった取引のうち売上計上に関する事実関係(資金循環の有無やその内容、当社の役員の関与又は認識等)より深度のある調査をすべき」との指摘がなされたといいます。ちょっと日本語おかしいんですが、原文のままです。

「売上計上に関する事実関係」、「資金循環」、「役員の関与」など、かなり物騒な言葉が並び、開示文章もいかにもバタバタでこしらえた感じ。またまた新たなる不正が出てきたりすると、マジで止めを刺されるかもしれません。

日立金属 検査不正の後始末

トップ自ら特殊鋼・磁性材を巡る検査不正に関与し、長年にわたりそれを隠蔽し続けてきた日立金属。調査委員会の調査結果では、不正に及んだのは35生産拠点で顧客は1,747社に上りました。しかし、例によって、「調査で安全・性能上の問題は確認されなかった」、という結論に。

安全・性能上の問題

安全・性能上の問題があるかどうか、これって非常に難しい問題です。例えば農家が出荷する野菜。「こんなんじゃ売り物にならん」という小売りもいるでしょうし、「安く仕入れられるなら売ってやってもいいよ」、なんて判断もあるかもしれません。この例えが良いかどうかはよく分かりませんが。

ある企業の場合

実は、仕入れてきた粉末特殊鋼(HAP材)の品質が問題だとして、日立金属を訴えている会社さんからご連絡をいただきました。2年前から地方裁判所で、仕入れ代金の返却や材料製造瑕疵・を認めよ、という内容の訴訟を戦っているとのこと。

表向きには、「安全・性能上の問題は確認されなかった」とされてきましたが、やはり水面下ではこだわりのある業者さんから訴えられている、みたいな状況があるんですね。勉強になりました。

2022年12月末

日立金属は昨年12月末をもって上場廃止になりました。ここからは大勢の株主に対する開示義務がなくなります。これまで、「安全・性能上の問題はない」と、強気の対応をしてきたのは、個別の訴訟等の開示が怖かったからかも。ここからは世間に開示する必要もないので、個別案件の対応(損害賠償等)が本格化するのかもしれません。