株式会社日本抵抗器製作所 連結子会社で従業員の不正行為

日本抵抗器製作所は2/10、「不正行為の発覚および令和6年12月期決算発表の延期に関するお知らせ」を公表しました。タイトルで不正があったことをここまで明示する開示は久しぶりに見る感じがしますね。なんだかんだと隠したがる開示が多い中、潔さすら感じます。

日本抵抗器製作所

日本抵抗器製作所は、自動車をはじめ各種産業用途で利用される電子部品を製造販売する企業。主な製品は、抵抗器、ポテンショメーター、ハイブリッドIC、電子機器などで、販売先は国内を中心に、アジアや欧州など海外にも展開。東証スタンダード上場企業です。

不正の概要

連結子会社である株式会社日本抵抗器大分製作所の経理担当による不正行為が発覚。不正行為は約6年にわたって行われており、総額1億5千万円を超える現金を株式会社日本抵抗器大分製作所の銀行口座から引き出していました。会計帳簿には虚偽のデータを入力して発覚を免れようとしていたとのこと。

当該従業員は引き出した現金の私的流用を認めていることから、今後懲戒解雇処分並びに刑事告訴を進めていくとしています。

社外の弁護士、税理士を含めた社内調査委員会を設置して、事実関係の調査をはじめ不正行為の原因並びに今後取るべき対策について鋭意検討を進めているとし、2/14に予定していた決算発表を延期するということです。

株式会社MTG 特別調査委員会の調査結果

連結子会社である株式会社M’sエージェンシーにおいて、主に2024年9月期中の広告に関連する仕入計上に関する文書の改ざん等により、費用の計上年度のズレもしくは未計上が発生している疑いを調査していたMTG。2/7に、「特別調査委員会による調査報告書受領に関するお知らせ」を公表しました。

歯切れの悪い

調査報告書については、プライバシー、個人情報及び秘密情報保護の観点から、部分的に非開示措置を施した上で公表するとしていますが、今回の開示では一部新しい情報が出てきています。ただ、なんとも意味がよく分からない内容になっています。

当初、「累計約660百万円の費用の過少計上」としていたものが、調査の結果、688百万円に増加しましたね。本件以外の類似事案は検出されなかったとのこと。そして気になる一文が

「M’sエージェンシー元代表者が、会計上の損益等に影響を及ぼすことを意図していた事情は認められず、また元代表者以外の者が本件の不適切行為に積極的な関与をしていたことを示す事情は認められなかった」というくだり。

文書の改ざん等により、と言いつつ、代表者も意図せず、従業員も関与していないとはどういうことでしょう。「何言ってるのかわかんねぇなぁ」ってやつですわ。「意図していた事情」や「積極的に関与」ってとこが焦点だと思いますが。何とか影響小さく逃げ切ろうとする悪知恵が透けて見えるようで・・・。

株式会社サンウェルズ 老人ホームで28億円超の不正な報酬請求

株式会社サンウェルズは2/7、「特別調査委員会の調査報告書の受領に関するお知らせ」を公表しました。昨年9月に共同通信の報道で、パーキンソン病専門の有料老人ホームで、入居者への訪問について実際とは異なる記録を作り、不正に診療報酬を請求していたと報道された件に関する続報になります。

おさらい

報道を受け当初は、共同通信が報道した不正請求に関する記事を否定するとともに、記事の内容が同社の信用を毀損しているとして、訴訟を含めて法的措置を検討している」という強気の対応でしたが、その後特別調査委員会を設置して調査を開始していました。

そして今回の調査結果の公表。なんと、「ほぼ全てのホームで入居者への訪問看護を巡る診療報酬の不正請求(訪問時間を実際よりも長くするなど虚偽の記録で)や、必要がないのに訪問する過剰な請求があり、試算では総額約28億4700万円に上る」という酷い結果が出てきました。

経営陣の責任

気になる経営陣の関与について調査報告書は、「現経営陣による従業員に対する指示等の積極的な関与の事実は確認されなかった」としていますが、「不正の個別事案が少数存在していることを認識していた者は居た」としています。認識していたならなぜそれを経営陣で問題視してこなかったの?って話。

積極的な関与がなくても、実態を見過ごしてきたこと自体が取締役の善管注意義務違反。取締役の責任は重いよ。再発防止策ではその責任に対する処分等が注目されます。まさに今業界全体に類似事案が拡大していってるさなかだけに、世間は許さないでしょう。2/10の同社株はストップ安となっています。

ラックランド コンプラ強化で振替休日の買取制度と永年勤続退職金を廃止?

ラックランドは2/7、「2024年12月期における費用の一括計上と通期連結業績予想及び期末配当予想の修正(無配)に関するお知らせ」を公表しました。創業家出身で大株主でもある二代目前社長の不正な経費精算や売掛金の不正な回収などで激震が走ったラックランドのその後です。

開示内容

この開示で公表したのは、当期における一過性の費用の一括計上と、それに伴う連結業績予想の修正及び期末配当予想の修正(無配)についてです。まぁ、タイトル通りだけど。新経営陣により、ガバナンスやコンプライアンス及びリスク管理の体制を強化するべく取り組んでいるそうな。

廃止する制度

ここまでは良しとして、気になるのは一括計上する一過性の費用なるもの。開示では、「新経営陣によりコンプライアンス強化をしているところ、当社においては以前から振替休日の買取制度が存在し、また、65歳まで勤務することを確約した一部従業員に対し、同年齢まで勤務したときに永年勤続退職金を支給する制度が存在しており、これらについて制度を改めることと致しました。」という部分。

ん?。「振替休日の買取制度」と「永年勤続退職金」の制度廃止とコンプライアンス強化ってどういう関係があるんでしょう。従業員に対する優しい制度を廃止することがコンプライアンス強化なの?二代目社長の公私混同が招いた不正行為からの・・・コンプラ強化を理由としたこの制度改悪、、、意味が分からんのですが。

ココナラ なぜ取締役は解任されたのでしょう?

先日取り上げたココナラ。1/29、「取締役の異動(辞任)に関するお知らせ」を公表して以降、新たな情報は提供されていません。創業者である取締役が解任されるってのは、そうそうあることではありません。状況を整理してみましょう。

株式会社ココナラ

ココナラは、個人の知識やスキル、経験に基づくサービスを売買するスキルシェアサービス「ココナラ」を運営する企業。利用者間の取引金額に一定率を乗じた手数料が主な収益源だそう。一時期良くCM見たけど最近は見ませんね。東証グロース上場企業です。

取締役を解任

開示された解任の理由は、「役員規程及びコンプライアンス規程違反の事実が認められた」というもの。「取締役に対しては高い規範意識が求められること等を鑑みて、会社として厳格な対応を取るべきと判断した」としていました。詳細は全く不明です。

解任された取締役はココナラの創業者。2020年までは代表取締役社長でした。その後新社長に代わり平取締役へ。それでも本の執筆や講演会の講師を務めたりと活躍されていました。

セクハラ パワハラ

開示では同時に、「重大な法令違反及び当社の業績に影響する事実はない」としていることから、内部情報等の悪用や、私的流用、会計操作といった行為はなかったものと考えられます。と、考えていくと残るのはセクハラ、パワハラですかね。

SNSで講演会の講師の依頼者について、やや辛辣な表現で批判されてたのを見ましたが、こういった対応が問題視された(これは氷山の一角?)のか。さらに、創業者だけに現経営陣によるクーデターの線も捨てきれませんね。