新型コロナウィルスで新興国リスク

新興国の債務リスクが高まっています。5月22日にはアルゼンチンが形式的なデフォルト(債務不履行)状態となりました。レバノン、エクアドルと今年に入って3カ国目だそうです。新型コロナウイルスの感染拡大が新興国へ移ってきており、新興国の財政悪化への不安が高まっています。

もう記憶すら

アルゼンチンのデフォルト。何年前だったでしょう、アルゼンチン国債が紙切れになって、、、お客さんにその連絡を、、、。株屋になって初めてのデフォルト経験でした。しかし、あまりに昔過ぎてその当時の記憶が定かではありません。今回のアルゼンチンのデフォルトは9回目だそうです。もう常連ですね。借りた金は返さないのが当たり前のお国柄です。

新興国リスク

過去を振り返ると、金融・経済危機が起こる際には新興国が震源地になる、あるいは先進国が震源地になる時でも新興国へ飛び火し、新興国でより深刻な問題へ発展するというパターンが多いです。今回の新型コロナウィルスでも、新興国からの資金流失が悪化しないかという点は気になるところです。

邦銀の海外向け融資は

CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)市場での評価では、オマーン、エジプト、トルコ、バーレーン、南アフリカ、ブラジル辺りがヤバそうな順に並んでます。こうした国々への邦銀の融資ってどれくらいあるんでしょうね。

直接投資の世界(有価証券投資)では、トルコ、南アフリカ、ブラジルの通貨が良く取り上げられてきました。これらの国の通貨建てで発行された債券は、日本の投資家の皆さんも結構保有されてます。通貨安で既に大変なことになってると思います。

邦銀の新興国向け融資残高がどれくらいあるのか分かりませんが、国内に貸出先がなく、海外へ大きく踏み出してきたのは間違いありません。メガバンクの航空機リースは巨大な損失を出しそうですし、さらに新興国向け債権でも大きな不良債権が発生しなければ良いのですが。

日向に氷 三菱UFJ銀行 店舗4割削減

三菱UFJフィナンシャル・グループは20日、2023年度までに三菱UFJ銀行の店舗数を17年度末比で約200店舗減らす(40%減)方針を示しました。営業経費が高止まりしているなかで、店舗業務の削減により運営コストを引き下げるそうです。

店舗4割削減

4割削減だけがSNSなんかでも語られていますが、2019年に彼らが公表した計画では、17年度末の515店のうち35%にあたる180店を減らすとしていました。つまり、追加で5%(20店舗)上乗せしたというだけですね。

スマートフォンなどを通じたオンライン取引の利用が想定以上に進んでいて、当初計画より一段の削減が可能と判断したとのこと。人員についても採用抑制や退職などで約6000人が自然減となる見通しだそうです。

聞いたことありますかね、「日向に氷」。辞書では「日向に出した氷はすぐに溶けることから、次第に消えていくことのたとえ。特に、蓄えが乏しくなっていくことをたとえていう。」とありました。株屋の世界では、特に何か悪材料が出るわけでもないが、次第に株価を切り下げていくしかない銘柄を指してこう言ってました。

収益に見合うコストカット

従来、銀行は黙ってても、寝ていても自然に儲かるような仕組みでしたが、最近はその儲けの仕組みがどんどん奪われて行ってます。足元の半年ほどでも、濡れ手に粟だった外貨建て保険が販売(商品の維持すら)すらできなくなりました。

さらに、公正取引委員会が、銀行間で振り込み処理などに使っている「全国銀行データ通信システム(全銀システム)」の送金手数料の高さに切り込んできました。銀行間の手数料は3万円未満の場合は1件あたり117円、3万円以上の場合は同162円ですが、送金コストは現在1件あたり数円で済んでいるといわれています。

まさに黙っていても儲かる仕組みが、また一つなくなろうとしています。こんなふうに収益減少が目に見えているため、経費削減に走るしかないんですね。儲けの目減りに合わせて店舗や人を削って小さくなっていく。まさに、日向に氷です。

人材紹介業 地銀に報酬 1件100万円

今月から地域金融機関による人材紹介業務を後押しする新制度がスタートしました。人材紹介支援事業に参加する金融機関を公募していて、今月初に地銀や信用金庫など38事業者を対象に決めたとの報道がありました。地方企業に経営人材などを紹介すると、1件につき最大100万円が国から補助されます。

地域金融機関と人材紹介業務

以前当ブログで地銀の人材紹介について書いたんですが、その時はリストラする銀行員の再就職先を紹介するの?みたいなこと書いてしまいました。そういう実態もなくはないそうですが、実際のところ地域に根差す金融機関と人材紹介は非常に相性が良いんだそうです。

もともと地銀で働く人の多くは、地元社会を良くしたいとか、貢献したいという思いの強い方が多いと。そういう金融マンは融資先の経営者が最も悩んでいるのが人材に関する問題だということをよく理解しているとのこと。その最大の課題を解決するための人材紹介業は、地元の中小企業に貢献する最高のツールなんだそうです。

という話を元銀行員の知人から聞かされました。なるほど、確かに地元の中小企業の人材需要に詳しい地銀と、都会の求職者データを押さえている人材紹介会社が組めば、効率良い訳ですね。

なんで100万円?

政府が目指す地方企業の活性化や、金融庁が期待する地銀の事業モデルの変革。そこで金融庁は2年前に監督指針を改正し、銀行の人材紹介事業を可能にしました。先ほどまでの話が本当なら、多くの銀行が我先にと人材紹介業に打って出そうなもんです。

ところが地銀等の腰は重く、一部の地銀を除いてなかなか新しい事業に挑戦しようとしません。で、、、結局今度は紹介成功したら1件につき100万円という情けない施策を打つことになったということです。

この100万円施策、、、必要ですか?こんなきっかけまで作ってもらわないと決断できないような経営者というか、金融機関を支援する必要があるんでしょうか。正直言って非常に疑問です。

北國銀行 3億6600万円の着服事件

一昨年、当ブログでも変わり始めた銀行として北國銀行を取り上げました。金融財政事情の特集記事を参考にしました。ところがその北國銀行の行員による3億円を超える着服事件が発覚。同じ一昨年から起きていたとは。。。地銀で進む表の世界と裏の世界。難しいですね。

防止できなかった原因は他行においても

事件が公表されたのは2/21です。北國銀行福井支店に勤務していた26歳の男性行員が、福井県の取引先4社に融資した資金など、総額3億6600万円を着服していたと。「融資を受ける実績を積めば、信用度が上がり優遇される」などと持ち掛け、実体のない融資を実行します。そして、4社の口座から融資金を現金で引き出し、着服する手口を繰り返していたといいます。

不正流用額としては同行でこれまでに起きた不祥事の中で最大のようです。実際の被害額は1億5500万円だそうです。

北國銀行はビジネスモデルを変革し、コンサルティング業務を熱く推進している地方銀行の筆頭格のように言われてきました。融資担当部門の行員数を削減し、余剰人員を事業承継、M&Aなどのコンサル業務に振り向けているのは、おそらく地銀全体で言えることでしょう。

こうした表の世界の裏側では、融資担当者一人当たりの担当企業や顧客は増加し、業務量も増加します。当然、コンプライアンス面でのリスクも増加していきます。経営の目線も新規事業に向けられることが増え、監視の目が行き届かなくなるわけです。このリスクは地銀全体で拡大していると考えた方が良さそうです。

北國銀行が事件を公表する1か月前の1/22、宮崎銀行でも2行員で1億2千万円の着服という事件が公表されてるんですね。

なぜか日経はこの事件報道せず

なぜだか分かりませんが、日経はこの北國銀行の事件を全く報道していません。サブスクリプションのコンサルティング事業やAIチャットボットの話題など、公表日の直前に3日連続で取り上げてたんで、悪い記事書きにくかったんですかね。

野村證券 山陰合同銀行に続き、阿波銀行とも提携

野村證券は山陰合同銀行との提携に続き、徳島県の阿波銀行との提携を公表しました。阿波銀行は徳島県内で預金シェア約4割(ゆうちょ銀行を除く)、貸出金シェアは約5割と優位にビジネスを展開する銀行です。提携スキームは合銀との提携と同様のようですね。

山陰合同銀行との契約締結

今回の提携に先立ち、提携が発表された山陰合同銀行ですが、昨年12月16日に正式な契約が締結されています。当初公表時にはなかった、野村の米子支店(鳥取営業所含む)が加わり、合銀、ごうぎん証券と野村証券松江支店、米子支店の機能を統合することになっています。

そして提携 第2弾

山陰合同銀行との提携時には、同様の提携を他行との間で拡大していくことについてはやや消極的な姿勢にも見えましたが、やはり提携第2弾、出てきましたね。どう見てもお互いメリットのある提携スキームですし、SBIなどの動向も気になるところ、、、今後も拡大していくでしょう。

徳島は金融資産の1人当たり貯蓄額が全国でもトップクラスだそうです。日銀の19年調査で株式を購入したことがある人の割合は4割を超え、全国平均(32%)を大きく上回っています。証券営業は比較的やりやすい地域のようです。この地域差って意外に大きいんですよね。地域によって県民性(お金に関する)めちゃくちゃ違うんです。

野村證券顧客の離反は

非常に合理的な提携だなぁ、とkuniも納得しているんですが。。。少し気になるのは野村證券のリテール顧客がどのように感じているのか、というところです。野村の顧客は業界No1の野村と取引していることにステイタスを感じている人が非常に多いんですね。

すぐにではないにしろ、いずれ野村の営業員は別の支店や本社に引き上げるでしょう。その後は阿波銀行の行員が顧客の担当者になると思われます。当面野村の営業員が出向して訓練するんでしょうが、やはりそこは素人、というかバンカーです。顧客からすると物足りないんじゃないかと。唯一の課題だと思います。