キャッシュレス決済 第2回

fintech

キャッシュレス決済により何を実現するのか

報告書では、我が国の置かれる状況として、少子高齢化や人口減少に伴う労働者人口減少による生産性の低下をあげ、キャッシュレス推進により次のようなメリットが期待できるとしています。

  1. 実店舗等の無人化や省力化
  2. 不透明な現金資産の見える化、流動性向上
  3. 不透明な現金流通の抑止による税収向上
  4. 支払いデータの利活用による消費の利便性向上や消費の活性化

また、キャッシュレス化の実現プロセスで、既存の業界スキームとは異なる形態のビジネスモデルが現れることについても言及しています。これこそが既存の金融機関に大きな影響を与える、場合によっては全てぶっ壊してしまう怪物なわけです。

1番~4番のメリットについては、多くの場合4番の支払いデータの利活用がクローズアップされてますよね。ただ一方で、2番や3番って、実は国にとってかなり重要なメリットです。ちょっと他人には知られたくない買い物ってありますよね。お金持ちの場合だと、他人には知られたくないお金とかもあるでしょう。特に税務署とか。そういうのが全部デジタルに記録されていくのは非常に怖いことでもあります。(脱線しました)

第1回で書けなかったことの追記

韓国がキャッシュレス比率第1位と書きましたが、これは政府によるクレジットカード利用促進策によるものだそうです。具体的には次の3つが紹介されています。

  • 年間クレジットカード利用額の20%所得控除(上限30万円)
  • 宝くじの権利付与
  • 店舗に対してクレジットカード取り扱い義務付け

いろいろ考えるもんですね。宝くじは、1000円以上利用で毎月行われる当選金1億8000万円の宝くじ参加権ですって。

ついでに、中国。みなさんもうご存じだと思いますが、アリペイが既に5億人のユーザーを囲い込んでいて、世界200以上の都市と国、18の通貨に対応しているそうです。いわゆるプラットフォーマーとして、決済のみならず、各種サービスを提供していると紹介されています。

日本でキャッシュレス決済が普及しなかった理由

日本でも、クレジットカード普及に向けた取り組みや、電子マネー導入への取り組みが、他国と比較して遜色ない程度に行われてきたことを紹介しつつ、日本の特殊性を2つあげています。「治安の良さ」、「綺麗な紙幣と偽札の流通が少ない現金に対する信頼の高さ」これがキャッシュレスが普及しなかった理由です。これ納得感ありますね。

(第2回終わり)

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