JTB 従業員が顧客のクレジットカードを不正利用 警察が逮捕

株式会社JTBは9/7、「『JTB旅物語中部販売センター』元従業員の不祥事に関するお詫び」を公表しました。このところ旅行代理店によるコロナ便乗業務委託費の過大請求が頻繁に話題になっていましたが、今回は顧客のクレジットカードの不正利用。また、エグイのが出てきました。

JTB

JTBは日本の旅行会社で、JTBグループを統括する事業持株会社です。昔は日本交通公社なんて呼ばれていて、2018年に現在の商号となっています。歴史もあり、旅行取扱額トップの会社ですね。上場企業ではありませんが、トップ企業ということで取り上げました。

不正行為の概要

不正の舞台となったのは子会社の「JTB旅物語」中部販売センターというところ。電話オペレーターをしていた女性容疑者(55歳)が、今年5月から6月にかけ、顧客のクレジットカードの情報を不正に使い、ライブ配信アプリで使うコイン68万円分をだまし取った疑いが持たれています。

顧客から聞き取ったカード番号やセキュリティコードを使い、ライブ配信アプリ「ミクチャ」で、女性アイドルにいわゆる“投げ銭”をしていたとみられているとのこと。本人は容疑を否認しているらしいけど、警察は顧客25人のカード情報であわせて870万円分のコインをだまし取っていたとみているようです。

いやいや、いい歳してアイドルに投げ銭するためにですかぁ。困った話ですな。JTBともなると全国にもの凄い数のオペレーター抱えてるだろうし、横展開(類似案件の調査等)大変そうです。

ラックランド 株主優待人気で当ブログのPVが?

先週あたりから、6月に書いたラックランドの記事、「株式会社ラックランド さらなる不正が発覚」のPV(ページビュー)が妙に伸びてきました。同社グループで行われていた会計不正を取り上げたものです。その記事がなぜこのタイミングで大勢の方に読んでいただいてるのかという・・・。

再発防止策

8月末に「再発防止策及び関係者の処分に関するお知らせ」が開示されていたので、最初はその影響かな、などと思っていたんですが、タイミングがズレてますし、このての話題でPVが伸びることは滅多にないんですね。気になって調べてみたら意外な情報が見つかりました。

株主優待

この会社、商業施設や小売・飲食店など店舗施設の制作会社なんですが、もともとはスーパーマーケットの冷凍設備工事などを手掛けてきた会社です。そういう業界との接点もあってでしょうか、株主優待が充実しているようです。(東北地方の名産品詰め合わせ:4,900円相当)

12月決算の会社で、6月中間期末の株主に対して株主優待のお知らせが届き始めたタイミング(9/10前後)と、PVの増加のタイミングが一致していました。株主優待の力、凄いぞ。

株価を見ても

ここ2年間の株価を見ても、毎年、優待の権利が確定する6月と12月に高値を付けています。PERやPBRなんかで見てもかなり割高に映る会社で、株主優待がそれなりの効果を生んでいるように見えます。PBR1倍割れで困ってる企業の皆さん、株主優待、意外に侮れませんぞ。

ZOZO インサイダー取引で中国子会社役職員に課徴金 1,300万円

証券取引等監視委員会は9/8、「株式会社ZOZO社員から伝達を受けた海外居住者による内部者取引に対する課徴金納付命令の勧告について」を公表しました。2019年にヤフー株式会社(現Zホールディングス株式会社)がゾゾ株式の公開買付を行った際のインサイダー取引ですね。

取引の概要

TOBの重要事実公表前に、TOBに関する情報がヤフー側からゾゾの役員に伝達され、役員が従業員に伝達。この従業員が中国子会社の役職員に伝えたところ、当該役職員が公表前に約5,500万円でゾゾ株を買い付けたというものです。実際には日本にいる知人名義で買い付けています。

平均買付単価は約2,113円で、公表後2,615円まで上昇しており、中国子会社役職員に課される課徴金の額は1,303万円だそうです。海外居住者と表現されてるので、やっぱ中国人なんでしょうかね。この事件の調査には中国証券監督管理委員会が協力したんだそう。

ポンと5,500万円出して知人に送金できる人ですから、それなりの人物だと思われます。資産家の多くは中国共産党員だといわれてるし、共産党員だったんだろうか。最近は党員の不正に対して厳しく対処しているからなぁ。などと別のところに興味が・・・。わざわざ「役職員」と表現してるので多分役員ですね。

あと一つ不思議なのは、公開された監視委員会の資料によると、買付株数が2万5,977株となっているところ。どうやってこんな端数を買った?知人も少しだけ相乗りしてたから案分してこうなったのかな?

THECOOの損害賠償請求に見る特別調査委員会の費用

THECOO株式会社は9/8、「当社元従業員らに対する訴訟提起に関するお知らせ」を公表しました。インフルエンサー事業部に所属していた元従業員らが、自らが実質的に経営を支配する会社等に対する不正発注を行い、金銭を着服することを繰り返していた事案が発生していました。

独立調査委員会

不正行為の発覚を受け、今年5/2に特別調査委員会を設置して調査を開始。その後調査の過程で新たに不適切な会計処理の疑義が判明したため、5/15に委員の1名である独立役員を交代させ、社外の有識者だけで構成する独立調査委員会へと引き継ぎました。

開示で見えた費用

上記の通り、当初の段階で人の交代はありましたが、調査委員会は5/2にスタートしたとして考えましょう。委員は4名です。その後調査を終え、独立調査委員会から調査結果を受領したのが6/26でした。調査期間はほぼ2ヶ月ですね。

今回の開示で同社は、不正行為を働いた元従業員2名に対して、約2億7,489万円の損害賠償請求を行うとしています。そしてその内訳として、「独立調査委員会及び特別調査委員会による不正調査に要した費用約2億600万円」と説明しています。

4名で約2か月ですから、1名あたり約5,000万円。1か月あたり2,500万円ということになります。凄い金額です。もちろん、調査には社内人員も協力していて、その費用も加算されているでしょうが、、、。不正が発生した際に特別調査委員会でどれだけの損失が発生するか・・・ご参考まで。

希望退職者の募集 今でも

9月に入り、9/4にパンチ工業、9/5にCARTA HOLDINGSという会社2社が希望退職に関する開示を行っていました。前者は募集結果と特別損失の計上に関する開示で、後者はこれから募集しますという開示です。コロナを乗り切りやっと企業業績が好転してきたところですが、やっぱりあるんですね。

両社の状況

パンチ工業は品川の製販一体型の金型部品メーカー。確かにしんどそうな業界ではあります。全従業員の20%を超える200名が退職します。CARTA HOLDINGSの方はネット広告関連事業を展開する電通グループの子会社で、70名程度を募集するとしています。

詳細を調べたわけではないんですが、両社とも直近3期は最終利益を出せている会社なんですね。意外です。業界動向や事業の再構築など、それぞれの会社に重要な事情があってこその希望退職の募集なんでしょう。

にっちもさっちもいかなくなってからの施策ではないため、両社とも特別加算金も支給され、希望者に対する再就職支援も行われるようです。景気が回復し始めて、人手不足が叫ばれる今ですから、再就職は上手くいくかもしれません。

そごう・西武は

最近60年ぶりのストライキとやらで話題になったそごう・西武では希望退職者の募集とかしてきたんだろうか。希望退職に限らずだけど、指をくわえて衰退を見守ってきたから、最後にあんなことになったのかもしれませんね。