日本の高齢化 インフラ、設備の老朽化

3/6 日本経済新聞の記事に「老いる工場、データが支え」というのがありました。記事そのものは、工場設備の老朽化や人手不足による事故の防止に人工知能(AI)を活用するというお話なんですが、まぁ、これはこれで重要なんでしょうが、もっと本質的なところも考えなきゃなぁと感じた次第です。

高度成長期の産物

日本の高度成長期に創られたもの。労働者は高齢化で現役を引退していきます。工場の設備は40年、50年稼働し続け老朽化しました。高速道路や鉄道の軌道、上下水道といった社会インフラも同様に老朽化が問題になっています。少子高齢化だけじゃないんですね。設備や社会インフラも一緒に高齢化しています。

将来大きな問題になるであろうことはマスメディア等も再三警告していますが、既に大きな問題となっているのが企業の収益の源泉となる設備でしょう。技術者たちが大量に定年で退職し始めていることもあり、トラブルを発生させないための知恵や技術、何かトラブルが発生した場合の知恵や技術を持つ人がいなくなっています。

工場の設備というと何か人ごとにように聞こえる方もいらっしゃるでしょうが、実はシステムも同じです。基幹システムの老朽化、肥大化、複雑化、ブラックボックス化などが指摘されていますが、こうしたレガシーシステムに向き合ってきたシステムエンジニアも定年退職を迎えつつあります。システムが障害を起こすと原因究明等に手間取り、障害が長期化するリスクが増大しています。

老朽化するマンション

同じ日の日経には「老朽マンション 大量化は目前」というコラムもありました。2018年末時点の全国のマンションは709万戸。このうち築30年を超えるマンションが215万戸に達するとのこと。約3割が築30年以上ということになります。今のペースで新築マンションが供給されるとすると、10年後には全体の40%以上が築30年を超えることになるそうです。

こうして考えてみると、すべて高度成長期というか、昭和の遺産をどう次の世代に引き継いでいくか、という壮大な課題なわけですね。高齢化に伴う社会保障の問題では、kuniもこれからお世話になる世代ですので、心苦しいのですが、他にも問題はてんこ盛り。次の世代に重くのしかかります。

人生100年時代と言いますから、kuni達の世代も、もう少し社会に貢献していかなければなりません。日本再興に向けて、何らかの力になれるよう頑張っていきたいものです。

765台が認定不適合 三菱電機のエレベーター

3/5 日本経済新聞の記事です。また、三菱電機のエレベーターで国の認定に適合していないブレーキアームが使用されていたとして、国土交通省が原因の究明と再発防止策の報告を求めたというニュースです。同社は今夏をめどに全てを認定適合品と交換するとしています。

国交省によると、三菱電機自身も適合しない材料を使用したブレーキアームに関して、再度強度計算をしており、必要な強度を有していることが確認されているとしてます。また、指定性能評価機関である「日本建築設備・昇降機センター」からも、このエレベーターについて安全性に問題はない旨の見解を得ているそうです。

エレベーター巻上機のブレーキアーム

ここまで読んでいただいた方には、かなり危険なお話のように見えたかもしれません。ただ、今回問題になっているブレーキというのは、巻上機の主たるブレーキではなく、各階にある扉が開いたまま動き出そうとした場合に自動でブレーキをかける。そのためだけのブレーキのようです。

おそらく通常は作動することがないブレーキなんでしょうね。資料上では「主たるブレーキと機械的に独立させた補助ブレーキを設ける」と書かれています。しかし、問題の本質は非常に危険なもので、主たるブレーキの方にも強度が足りないブレーキアームが使われていた可能性だってありそうです。

不適合は、エレベーター巻上機のブレーキアームを製造する鋳物メーカー(三菱電機の子会社)が生産システムに材料情報を登録する際に入力を誤ったことにより、強度の低い材料が使われてしまったとあります。三菱電機のチェックはどうやら効いていないようです。

戸開走行保護装置の義務化は平成21年9月から

戸開走行保護装置というのは、かご及び昇降路の全ての出入口の戸が閉じる前にかごが昇降した場合に、自動的にかごを制止し、人が挟まれるのを防ぐ装置のことだそうです。建築基準法施行令の改正により、この装置が21年9月から義務付けられています。

一方で今回三菱電機が製造・設置したエレベーターで、この装置の認定仕様に適合しない765台のエレベーターは、平成21年10月から平成30年12月までの間に出荷されたエレベーターであるとのこと。この辺りのことについては、日経は報道していません。

ひょっとすると、法改正後に製造したエレベーター全部ということかもしれません。今回三菱電機が届け出たのは大臣認定番号で見て5種類のエレベーターのようですので、少なくともこの5種類のエレベーターは全滅ということですね。 

三菱電機では、昨年も別の子会社でゴム部品の検査データ不正が発覚しています。この事件を受けて、品質管理態勢の見直しを進める中でこの事案を自ら発見できたというところが、唯一救われる点です。

三井住友銀行 今度は不当手数料?

「選択」3月号でまた三井住友銀行が書かれちゃってます。今回のタイトルは『三井住友銀行で「不当手数料」強要横行』。またなんとも物騒な言葉が並んでいること。以前当ブログでは同誌が報じた三井住友銀行のファイアーウォール規制違反の疑いについて取り上げたことがあります。今度は不当手数料だそうです。

不当な手数料 3億5,000万円の融資に1,500万円のアレンジメントフィー

記事では、メガソーラー関連会社の社長が三井住友銀行に3億5,000万円の融資を打診したところ、銀行員が持ってきた提案書にアレンジメントフィー1,500万円が要求されていたとのこと。通常の融資でも手数料がとられることはあるとしながらも、4.28%もの手数料は不当であるという主張になっています。確かに高いですね。

不当な手数料と言えば、以前当ブログでは東日本銀行の行為を取り上げました。歩積両建預金を迫ったり、根拠が不明確な手数料を徴求したり、さらに顧客に実体のない営業所を登記させて、不適切な融資をしたりといった行為が組織的に行われていたというものです。昨年7月に金融庁から行政処分されました。

優越的地位の「活用」

記事に話を戻しましょう。思わず笑ってしまったのがこの社長と銀行員の会話です。社長が「融資の見返りにこんな訳の分からない手数料を要求するなんて、これこそ優越的地位の濫用ではないか」と詰め寄ると、銀行員が「これは優越的地位の濫用ではなく、優越的地位の活用です」と答えたとか。

顧客との間でこんなやり取りする銀行員がいるとは到底思えないんですが。記事ではこの行為が優越的地位の濫用に該当するかどうかの考察も行っているんですが、そういう問題ではないような気がしますね。いまどき法令に抵触するかどうかではなく、顧客本位の業務運営を競っている時代ですから。しかし、それにしてもこんな事例があるとは、、、。

強要と横行

記事のタイトルでは「強要」と「横行」が強調されていますが、今回取り上げている事例は冒頭のメガソーラー関連会社社長の件だけです。社長は結局他行から借り入れしたそうですから、強要されてるふうではないです。また、横行というには1事例のみではちょっとという感じです。他にもこんな苦情等が何件も寄せられているとか、、、が必要ですよね。

今月の三井住友銀行に関する記事は詰めが甘かったようですが、来月号でもう少しその辺りを深掘りしていくんでしょうか。

著作権法改正 ダウンロード違法化 今度は文化庁が

ここまでの背景・経緯

文部科学省 文化庁は、海賊版サイトを巡る著作権法の改正に向けて、文化審議会著作権分科会を立ち上げ、議論を重ねてきていました。先月、その検討結果を踏まえて著作権分科会報告書が出されました。

そして2/22 自民党文部科学部会・知的財産戦略調査会合同会議なる会議体に、著作権分科会報告書の概要をまとめた資料を配布したわけですが、この資料が審議会の意見を無視しており、自民党の判断を誤らせかねない不正確な情報が提供されているとのこと。明治大学知的財産法政策研究所が同配布資料の検証レポートを発表していて、文化庁の姿勢を批判しています。

自民党の文部科学部会は先月上記会議を経て法改正を了承したものの、党の最高意思決定機関である総務会は、関係者への説明不足などを理由に了承先送りを決めています。これも異例のことらしいです。先ほどの研究所以外にも異論を唱える方が少なくありませんでしたからね。

明治大学知的財産法政策研究所の検証レポート

検証レポートの内容は、違法ダウンロードの対象拡大に対する審議会における委員の意見が加工されており、対象拡大への積極派が大多数のように見える資料が配布されていたというものです。

検証レポートは、「4人の慎重派委員の意見そのものを省略し、2人の慎重派委員の主張の重要部分を省略、慎重派の2名の意見の一部だけを切り取り積極派であるかのように誤誘導、積極派の人数を水増しするなどの処理を行っており、議論の正確な状況が伝えられていない」、と批判しています。

続けて、「無限定な対象拡大に積極的な意見は少数派であるにもかかわらず、これが多数派であったような誤解を誘っている。政策判断を行う上で、審議会における議論の状況を正確に把握すべき立場である与党に正確な情報が提供されていない点は、立法過程における極めて重大な問題をはらんでいる。」とも書いています。

文化庁のチェリーピッキング

レポートは他にも、配布資料で諸外国を引き合いに出して、ダウンロードを全面的に違法とすることが、国際的な潮流であると読めるような説明をしていることについても、比較対象国の選択がフェアでない。と言っており、文化省のチェリーピッキング※1であると批判しています。

行政機関が法律をある一定の方向へ修正(改正)しようとすることは珍しいことではありませんが、わざわざ専門家を招いて、審議会で議論してもらった結論をひっくり返してまで進めるのはいただけませんね。文化庁長官の宮田氏は生粋の芸術家のようですし、著作権に関する思い入れは強いんでしょう。今回のこのニュース、文化庁の不適切配布資料、みたいな感じで炎上しちゃうんでしょうか。

※1 数多くの事例の中から自らの論証に有利な事例のみを並べ立てることで、命題を論証しようとする論理上の誤謬、あるいは詭弁術

ネット版スキミング急増 フォームジャッキング

2/28 日経産業新聞の記事です。クレジットカードの情報を盗み取ることをスキミングと言いますよね。これと同様に小売業等のウェブサイトに専用プログラムを仕込んでおき、利用者がクレジットカード情報を入力すると、その情報を仕掛けた犯罪者に転送するんだそうです。

2018年、ウェブサイトを狙ったサイバー攻撃が前年比56%増加していて、増加の要因がこのネット版スキミングであるフォームジャッキングという手口らしいです。攻撃を受けたサイトは月平均4,800件にのぼり、シマンテックがパソコンやスマートフォン向けのセキュリティソフトでブロッキングした件数は1年間で370万件だそうです。

もの凄い宣伝効果ですよね

いやぁ、この数字には驚きますよね。フォームジャッキングでカード情報を盗まれても、普通は利用者は気付かないと言いますから、そりゃみんなビビりますわ。で、370万件もブロックしてるんだったら、自分もセキュリティソフト導入した方が良さそうだ。って、なります、普通。

kuniは幸い別の会社のセキュリティソフトを既に導入済みなので、あまり焦りませんでしたが、それでもそのソフトがちゃんとフォームジャッキングに対応していることは同社のサイトで確認しました。

マッチポンプ

最近聞かなくなりましたが、マッチポンプみたいな業界ですよね。マッチポンプというのは、自らマッチで火を付けておいて、それを自らポンプで水をかけて火を消すという意味です。ネット上に仕掛けられたウィルスや悪意のあるスクリプトですが、作成した奴らが対策商品を販売する側に回ったりしてないのかなぁ。なんてよく思います。

そういう悪意を持った犯罪者が居なければ、セキュリティソフト等を手がける企業は必要ないわけですもんね。不謹慎だけど、ついそう考えてしまうのです。いや、きっと一部にはそういう輩がきっといるはず。

セキュリティは必ず破られる

サイバーセキュリティの世界にはkuniも興味を持っていて、本格的に勉強してみようかとも思っています。ところが、その手の話題の本を読むと「どんなセキュリティでも必ず破られる」みたいな、開き直りというか、あきらめというか、ひょっとしたら保険なのかもしれないけど、、、最初から弱気なことが書かれているんですよね。

まぁ、確かにそうなのかもしれませんが、入り口からそんなことはあまり言ったり書いたりしない方が良いんじゃないですかね。やる気が萎えてしまいます。ドアの鍵だって、「必ず開けられてしまいます」なんて言わないでしょ。。。と思うんですが。

以上二つの業界批判みたいなことを書いてしまいましたが、いずれもkuniが本格的にサイバーセキュリティの勉強を始められないでいる言い訳でした。