シンニッタン(6319) 配当金出し過ぎちゃった 財源規制違反

先月、リソー教育が配当金を出し過ぎてしまったというお話を取り上げました。この会社、過去に粉飾決算で特設注意市場銘柄に指定されたこともあるという前科者でした。シンニッタンの場合は、自己株式取得に関して財源規制違反を犯しており、その結果を受けて配当金でも財源規制違反となっています。

2回の会社法違反

今年2月、シンニッタンは1250万株、取得価額の総額57億円の自己株式の取得を実施しました。この自己株式取得が財源規制で定める分配可能額を超過していたわけです。

同社の開示した調査報告書によると、自己株式取得を決議した取締役会の議事録や関係資料、自己株式取得に係る稟議書において、自己株式取得が分配可能額の範囲内かどうか討議・検討した形跡は見当たらないとのこと。

続いて5月、取締役会において、2020年3月期の配当について、1株あたり10円の配当を行う剰余金処分案を株主総会に上程する旨の決議を行います。そして6/26、定時株主総会において、1株当たり10円、総額367,487,980円の配当を行う旨の決議を行い、配当を実施しました。

この配当も、財源規制で定める分配可能額を超過しています。調査報告書によると、剰余金処分案を決議した取締役会や、株主総会の議事録や資料において、この配当が分配可能額の範囲内かどうかを検討した資料は見当たらないとしています。

取締役も財務部も

とまぁ、短期間のうちに2回にわたり財源規制違反が発生したわけですが、その原因はというと、取締役及び関係者の多くは、自己株式の取得に財源規制が適用されること、配当に関しても分配可能額の算定上、自己株式の帳簿価額を控除しなければならないことを認識していなかったという結論です。かなりトホホなお話です。

おそらくリソー教育のように、第三者割当による自己株式の処分を行うことになるんでしょうね。全国の取締役の皆さん、財源規制の大枠ぐらいは理解しておきましょうね。

野村證券 元社員の投資詐欺に懲役6年

昨年、当ブログでも「野村證券 底なしの不祥事」の中で取り上げた投資詐欺事件。7/31、神戸地裁姫路支部で懲役6年(求刑は懲役8年)の判決が言い渡されたそうです。4人の顧客に対しうその投資話を持ちかけ、1億4000万円をだまし取ったとしています。

なぜか報道されない

このお話、実は2週間以上も知りませんでした。日本経済新聞も報道していませんし、大手新聞社もおそらく報道してないんじゃないでしょうか。野村自身でさえ、被害が広範に拡大することを恐れて、顧客向けお知らせ(注意喚起)も出していたように、この事件は要注目でした。

ある報道によると、元社員は姫路支店に勤務していたときの顧客や、元同僚の顧客など44人に架空の投資話を持ちかけていたことが伝えられています。そのうえで判決では4人としていますので、持ちかけられて実際に被害にあった顧客は4人ということでしょうか。いや、もっといるはず。

船橋支店の顧客

船橋支店の元同僚に紹介された顧客も被害者の一人のようで、数千万円を超える被害だとか。元社員が昔の顧客に持ちかけるケースは、あくまで元社員の詐欺事件であり、野村が負う社会的責任は限定的です。

しかし、現役社員である元同僚等が自身の担当する顧客を紹介したり、元同僚等が同顧客への勧誘行為に関与していたりすると、そうはいきません。さらに、そうした事実があるとすれば、どう考えても詐取したお金の一部は元同僚等へ還流しているはずです。

昨年時点で一部の週刊誌も、現役の社員が顧客を紹介したり、勧誘に関与していたことを伝えていました。元同僚等の現役社員の関与等について、今回の公判でその一部でも明らかになっているんであれば、野村は公表すべきですよね。現役社員をクビにしたのちに、元社員の犯行として公表するのではなく。

天馬  当社企業価値向上に対する考え方についてのお知らせ

長男、次男、四男の家筋にダルトンという投資ファンドが絡み、ドロドロの関係に。そして株主総会では、ベトナムでの贈賄事件に関与した可能性がある3名の取締役が外れることになりました。8/7、「当社企業価値向上に対する考え方についてのお知らせ」を公表しています。

お知らせに関する問合せ先

このお知らせ、問合せ先に「常務執行役員総務部長 金田 宏」とあります。先の株主総会で否決、取締役を外れた金田氏ですね。株主総会で取締役は外されたけど、そのあとの取締役会で常務執行役員に選任されたということのようです。こりゃまだまだドロドロ、続きそうです。

お知らせの中身

ここからが本題です。お知らせでは、同社の企業価値向上に対する考え方として、次の3つがあげられています。① ガバナンスの向上 ② 収益性の向上 ③ 資本政策の強化 。しかし、ガバナンスと収益性についてはほぼ中身なし。というか、資本政策を打ち出すだけでは、、、ということでおまけで付けられたって感じですね。

で、資本政策の強化なんですが、これも非常にシンプルで、100億円規模の自社株買いですと。これまでも実施してきてるわけで追加の100億円。なんの目新しさもありません。新体制が機能しているところをそろそろアピールしないと、、、って感じですかね。

まぁ、とにかく中身のないお知らせでしたが、少々気になるところ。お知らせの中に従業員に対する「何か」がまったく感じられないことです。そもそもベトナムでの贈賄事件にしても、取締役の不祥事です。社長による従業員へのパワハラなんて話もありました。

株主至上主義からすべてのステークホルダーへと、世の企業が目線を変えていっている中、ここまで最も迷惑している従業員たちへの目線が感じられないんですね。冒頭にも書きましたが、社内はドロドロで、取締役らが自分たちの保身以外に目を向けられていない。そんな感じがします。

第一商品(8746) 行政処分に関するお知らせ

経済産業省及び農林水産省は、8/7、商品先物取引法に基づく商品先物取引業者である第一商品株式会社に対し、商品先物取引業の停止を命じるとともに、商品先物取引業の運営の改善に必要な措置をとることを命じました。第一商品も同日、お知らせで事実を開示しています。

経済産業省及び農林水産省

商品先物取引法は詳しくなくて、商品先物取引業者に対する行政処分の内容をしっかり読むのは今回が初めてです。業者が「監督官庁」というとき、農林水産省と経済産業省のことを指しているんですが、業者に対する検査や、その結果に基づく行政処分についても共同で作業するようですね。

行政処分の内容

行政処分を受けた原因は、当ブログでも取り上げてきたように、月次報告書や事業報告書に過大に計上した資産を記載し、主務大臣に提出していたこと(法令違反)です。

で、処分の内容が、「商品先物取引業の停止20営業日(令和2年8月17日(月)から9月11日(金)まで)」という業務停止命令。併せて、法令違反行為の発生原因について調査分析し、その結果を踏まえた再発防止策などを求めています。こちらは業務改善命令です。

第一商品は

主力事業を日産証券に譲渡し、本店以外の支店を閉鎖(日産証券への譲渡含む)、244名いた役職員のほとんどを同証券に異動させてしまった第一商品。もうほとんど箱だけしか残っていません。業務停止命令の前に業務はほぼ止まっていますよね。

業務改善命令にしてもそうです。主力事業がなく、実働部隊も他社に移したわけですから、。。。命令の締めの言葉「全役職員に対し法令遵守を徹底させること」というのもなんだか空しいものがあります。

まぁ、そもそもの違反行為というのが、取締役などが関与した不正会計なわけですから、改善すべきは取締役の法令順守や取締役会、監査役の機能向上にフォーカスすればよいということなんでしょうが。。。

コマースOneホールディングス(4496) 反訴の提起

8/6、コマースOneホールディングスは子会社のソフテルがモダンデコ株式会社から反訴を提起され、同日その反訴状を受領したと公表しました。もともとは子会社のソフテルが未払い金の支払いを求めてモダンデコ社を提訴していたようです。で、反訴ですね。

コマースOneホールディングス

全く知らない会社でしたが、東証マザーズ市場に今年6/29に上場したばかりの会社なんですね。4月に上場予定だったのがコロナで延期、仕切り直して上場したのが6/29だそうです。公募価格が1600円で、なんと上場初値が6970円ですと。。。これだからIPOは止められないんですね。

こういうIPOを年に10回も証券会社から配分してもらえる富裕層。IPOの配分ルールだけは理解に苦しみます。昔は政治家なんかもこれに群がったもの。今でも富裕層にほとんどが渡り、抽選配分は1割程度、、、というルールは変わってませんかね。脱線しました。

6/18というタイミング

話を戻して。。。モダンデコという会社は広島の家具屋さんですね。Armoniaというブランドで東京など首都圏にも店舗を拡大しています。直近期で売上高が100億円に乗ったといいますからそこそこの会社です。上場企業ではありませんが。

このモダンデコから反訴状を受領したのは8/6なんですが、反訴を提起されたのは6/18となっています。コマースOneホールディングスの子会社のソフテルが未払い金に関して提訴していた金額が1833万円なのに対し、モダンデコの反訴は8億6233万円の損害賠償請求だそうです。こりゃでかいですね。

反訴を提起されたのが6/18。コマースOneホールディングスの新規公開株の申込期間(購入期間)が6/19~6/24までだったようですから、非常にビミョーなタイミングです。この反訴の提起、投資家が知っていたら初値も違ってたでしょうね。