住友重機械工業 今度は中国への防衛情報流出

度重なる検査不正等の発覚、従業員による6億円を超える横領事件、メール誤送信による個人情報の流出などなど。当ブログでも常連となっている住友重機械工業。今度は子会社を通じた中国への防衛関連情報の流出です。もうシャレになりません。

機関銃の設計図

今回の事件、陸上自衛隊向けに製作した試験用機関銃に使われた部品の設計図面が、下請け企業を通じて孫請けである中国企業へ流出したといいます。経済産業省は海外との取引を管理する外為法に下請けが違反したとして、住友重機と下請け企業をそれぞれ厳重注意しました。

この問題に関する情報は政府からの一方的な公表です。住友重機械工業はこの件に関する情報を一切公表していません。なんなんでしょうね、このすれ違いは。報道によれば、同社は「今回の件を真摯に受け止め、下請け企業の管理を徹底したい」とコメントしているらしいのですが、同社ホームページ等では沈黙を守っています。

気になること

ある報道では、同社は機関銃生産について、売り上げ拡大が見込めないほか、生産設備の維持や技術者の育成が難しいなどとして、撤退することを決定している。今後はメンテナンスや整備用部品の生産は続けるが、入札には参加しない方針。と伝えていました。

儲からない事業なので新たな受注はしない。メンテナンスだけは奉仕する。みたいなこのコメントってどうなんでしょう。政府は事業として儲かるほどの予算は付けられない。無理を言ってやってもらってることなので、重大な違反があっても厳重注意まで。罰金はとれない。

企業側としては政府からお願いされてやってる事業。あまりうるさいこと言うんだったら完全撤退するぞ。みたいな関係でしょうか。米中冷戦が今後本格化していくのに、こんな関係で国防は成り立つのでしょうか。

サイバー攻撃 鹿島建設 Colonial Pipeline 東芝テック

GW入り直前4/28に、鹿島建設の海外子会社が、外部からのサイバー攻撃の被害に遭ったことが報道されました。そしてGW終盤の5/7には米国石油移送パイプライン大手の Colonial Pipeline もサイバー攻撃を受けています。いずれもランサムウェアによるものです。

鹿島建設

ゼネコン大手の鹿島建設の海外グループ会社が4/28、ランサムウェアに感染したことにより、請求書などの内部情報流出を引き起こしていることが日経で報じられました。ランサムウェアによるサイバー攻撃は3月下旬に発生したもので、攻撃者はハッカー集団「REvil(レビル)」と名乗っているとのこと。

盗み取られた情報は全部で約130万件に及ぶといわれており、ダークウェブ環境にて、当該情報の一部を公開しています。合わせて、鹿島側に「情報の買取」を請求する書き込みをしているようです。

日本を代表するゼネコンの鹿島ですが、今回の被害に関しては一切開示していません。この姿勢、いかがなものでしょう。

Colonial Pipeline Company

Colonial は米国石油移送パイプライン大手。5/7(現地時間)、ランサムウェアを含むサイバー攻撃を受け、すべてのパイプライン操作を一時的に停止したと発表しました。

Colonialは米国で最大のパイプラインを運営しており、テキサス州やルイジアナ州にある数十の製油所で生成されたガソリンやジェット燃料などを、全米のタンクや空港、軍事施設に移送しています。今のところランサムウェアで何を要求されたかなどの詳細は明らかにしていません。

米連邦捜査局(FBI)は5/10(現地時間)、同社へのランサムウェア攻撃には、「Darkside」というハッカー集団が関わっていることを確認したと発表しました。この件にはロシア政府は関わっていないものの、攻撃者がロシア在住というエビデンスがあるとしています。

そして、5/14には東芝テックのヨーロッパ4カ国にある現地法人に対しても、Darksideがランサムウェア攻撃。金銭の要求がありましたが、応じなかったといわれています。サイバー攻撃が止まりません。

西華産業 従業員の不正行為 (その4)ー 調査委員会調査結果

西華産業は5/21、「当社連結子会社元社員による不正行為に係る社内調査結果等に関するお知らせ」を公表しました。が、調査委員会の調査報告書は非開示のようです。調査結果をもとに、同社がまとめた文書だけですね。ん~、やっぱりそういうことですか。

不正行為の概要

従業員による金銭騙取事件が起きたのは、連結子会社である日本ダイヤバルブ株式会社でした。同従業員が管理を担当する外注工事を対象に、外注先からの請求金額を不正に増額し、かつ、支払先銀行預金口座を自身の支配する口座に変更する等した偽造請求書を用いて、不正増額分を領取し、同子会社に損害を与えました。

この不正行為は2008年3月から2019年3月にかけて行われ、その被害金額は3億3,200万円に上るものであることが判明したそうです。調査報告書が公開されていないため、各期ごとの被害金額や決算への影響は分かりません。

親会社としての対応

この事件、第1報は昨年末でした。当時、「約1億円に及ぶ金銭騙取の事実が確認された」という話でしたが、被害額は3億円超に。おまけに金銭騙取の行為期間は11年間にもなります。これだけの規模の不正を見抜けず、放置してきた経営って何なんでしょう。

関係者の処分の欄に、「子会社及び当社の関係役員から報酬の一部につき自主返納の申し出がありました」と説明されています。関係者の処分、これでお終いなんですかね。金額も公表されていませんし、なんともスッキリしません。

再発防止策や今後の対応についても、具体性がありません。意図してそうしているみたい。親会社は子会社経営陣をきっちり締めていきます。子会社経営陣は従業員をきっちり締めていきます。やっぱり痛むのは末端の従業員だけ。そんなふうに読めてしまうのはkuniだけでしょうか。

宝ホールディングス 缶チューハイなど自主回収

宝ホールディングスは5/20、「製品の自主回収等に関するお知らせ」を公表しました。子会社である宝酒造が製造販売する缶チューハイの一部において、アルミ缶上部の外周部分からアルミがはみ出す事例が2件発生しているそうです。

自主回収の対象

そのはみ出したアルミ部分で、顧客が指を怪我した事例が1件含まれているそう。回収の対象は、三重県四日市市の楠工場で製造されたものです。2020年6月から2021年5月までの間に製造された商品。缶底の製造記号の末尾が「E」となっている商品だそうです。

箱買いした顧客は箱の製造記号で判別できますが、バラで買い求めた人は缶底を確認するために缶を手に取った時点で怪我しちゃいそうですよね。もしお手元に該当する商品があったら気を付けてください。出荷地域は日本全国だそうです。開示文の最後に対象商品が並べてあるんですが、その数なんと117種類です。

原因

最初に開示文を読んだとき、宝酒造の責任なのか製缶会社の責任なのか、と考えましたがやはり宝酒造の責任みたいです。製缶会社は蓋と胴の2つのパーツを出荷するようで、この胴の部分にビールやチューハイを入れ、最後に蓋をするのが宝酒造の業務ということらしいです。

楠工場の製造装置に不具合(部品のゆるみ)があり、製造工程で蓋が変形し、胴の上部に固定する(巻締めというらしいです)際に、缶の胴の一部が突起状にはみ出したんだとか。読んでいて、いかにも痛そうな感じです。

回収方法

同社のホームページを訪れ、登録フォームから申し込むと、同社指定の宅配業者が商品の回収に来てくれるそうです。後日製品代金相当のクオカードを送ってくれると。コロナ下でお酒のストックも多めですよね。ご自宅にチューハイがある方はすぐにチェック。くれぐれも手や口を怪我されませんように。

アジャイルメディア・ネットワーク 役員の不正行為(その2)

アジャイルメディア・ネットワークは5/17、「2021年12月期第1四半期報告書の提出期限の延長に係る承認申請書提出および第三者委員会の設置に関するお知らせ」を公表しました。先日、当ブログで取り上げた役員の不正行為に関する第2報になります。

不正行為の概要

まずは第1報で公表された内容をもう一度。

「当社は、監査法人による2021年12月期第1四半期レビュー手続の中で、不適切な会計処理があることを指摘され、その中に不適切な支出が含まれていることを認識しました。この不適切な支出について、当社役員による資金流用の疑義が生じています。」

そして今回新たに説明されているのがこちら。

「2019年12月期第4四半期から2021年12月期第1四半期に至るまでの期間において、ソフトウェア仮勘定を利用して現金で支払った金額の中に、資金流用の疑義が生じているものがあります。現時点で、当社の該当期間における各期の総勘定元帳から算出した、ソフトウェア仮勘定を利用して現金で支払った金額の合計額は、約1.2億円程度となります。」

制作途中のソフトウェアに関しては、その制作に要した費用をいったん「ソフトウェア仮勘定」等の仮勘定に集計しておき、完成して使用し始める時に「ソフトウェア仮勘定」から「ソフトウェア」勘定への振替を行います。

つまりソフトウェア制作に要した費用の合計が約1.2億円程度ということで、この中からどれだけ私的流用が行われたのか、ということですね。こういうケースではソフトウェア制作会社も巻き込んで、会社に多めに支払わせて、制作会社からキックバックしてもらう手口が多いです。ただ、同社のケースは「役員が」、ということですので、ある意味何でもできちゃいそうですが。

今日、同社のホームページを再びチェックしたところ、CFOの取締役が消えてました。あらら。