グローム・ホールディングス 島津製作所との業務提携情報を誤発信

グローム・ホールディングス株式会社は6/2、「当社子会社による情報の誤発信に関するお知らせ」を公表しました。子会社のグローム・マネジメントが株式会社島津製作所との業務提携基本契約を締結した旨、Webサイトに掲載したんですが、これが何と誤発信だったというもの。

グロームホールディングス

グロームホールディングスは不動産関連事業(不動産サブリースが祖業)の企業でしたが、同事業から病院関連事業へ事業分野を転換。医療法人の病院運営に関する経営支援業務などの拡大を進めている企業です。

グロームマネジメントは100%子会社。というか、ホールディングスは持株会社ですので、同社が実質的なメインの事業会社でしょう。両社ともに住所は一緒。入居しているビルのフロアまで一緒です。そのグロームマネジメントが業務提携情報を誤発信してしまったというお話。

島津製作所

お知らせによると、「6/1、15:05頃にホームページに掲載し、6/2、9:20頃に同掲載を消去」したそうです。「子会社内の連絡ミスにより生じたものであり、現時点において業務提携基本契約を締結した事実はない」とのこと。しかし、火のないところに煙は・・・、と言いますよね。

株価の動向は

上場しているグロームホールディングス株の動きを見てみましょう。6/2、寄り付きから買われています。1863円(40円高)で始まったのち、13時過ぎには1900円辺りまで買われ、13:10に「実は誤発信だった」ことが開示されています。

一旦は売られますがその後切り返し、高値は1967円、終値も1919円で前日比96円高となっています。誤報と聞いて売った人あり。誤報ではなく単なるフライングだと理解した人あり。面白いですね、正解はおそらく後者でしょう。

これが本当に誤報だったら大変なことになっていたところですが、信じて買った人たちは儲かっています。少なくとも昨日時点では。まぁ、それでも取引所からはお目玉食らいますわな。

ユニデンホールディングス 監査役会が監査報告書で意見表明(ダメ出し)

ユニデンホールディングスは6/1、「当社第56期事業年度に係る監査役会の監査報告書における監査報告及びそれに対する当社取締役会意見に関するお知らせ」を公表しました。海外の子会社で収益を水増しするための不正会計が行われていた、あのユニデンです。

監査報告書

監査報告書は株主総会で報告される事業報告や決算関係書類について、監査役が監査を実施し、特段の問題が認められなかったことを株主に報告する書類です。が、この事業報告等に、「問題あり」と監査役会からケチを付けられた格好なわけです。

問題だとしているのは以下の3点です。

①事業報告において、不適切会計やそれに対する再発防止策の実施状況など、一切の記載がないこと
②監査役会が重要な会議と考える会議体への参加を、CFOにより拒まれていること
③内部統制システムの構築及び内部監査部門の強化は、同日時点で未だ実現されていないこと

以上3点に対して、取締役会としては「①監査法人が無限定適正意見だから問題ない、②決して拒んだりしておらず、取締役の職務に問題はない、③内部統制の強化を進めており、今後も対応していく」といった反論をしているわけです。

水掛け論にしか見えませんし、外部の人間が、公表されたこの相反する主張を読んでも判断のしようがありません。まぁ、それでも、執行側の緩さと、監査役会の飛躍した主張は少々感じました。皆さんも読んでみてください。

常勤監査役

会議体への参加を拒まれているという常勤監査役は、創業者付き顧問だったといいます。昨年9月、会計不正の責任を取るようなタイミングで、創業者の代表取締役会長が退任しているんですが、その番頭さんだったみたいですね。「天馬」や「ひらまつ」のように、ここでもまた退任後の創業者が登場しようとしているのでしょうか。

株式会社ヤギ(7460) 調査報告書を公表

不適切な取引が行われていた疑義が判明し、外部専門家を含む社内調査委員会を設置していた株式会社ヤギ。5/31、社内調査委員会の調査結果を公表しました。21年3月期の業績予想上方修正(グッドニュース)との抱き合わせ開示です。

調査結果の概要

不適切な取引は、原糸であるにもかかわらず加工糸に偽装された商品の取引でした。このうち、同社が加工を依頼した企業が実際には加工することなく出荷していた取引では、同企業が加工費を不法に受領していたようです。

そしてこの不法に受領した加工費は、今回の商流で最上流に位置する企業A社の営業担当者の懐にも入っています。つまり、ヤギに原糸を納入するAという企業の営業担当者が主導して、数社を巻き込み加工糸偽装取引を行っていたということのようです。

原糸や加工糸が実際に流通していますので、架空取引ではないわけですが、これらのブツは数社の中で循環取引にも発展していたとのこと。

ヤギの責任とA社

で、ヤギの担当者(福井支店長)はというと、社内ルール違反は認められるものの、A社が主導する不適切取引に巻き込まれたという整理になっています。外部専門家も入れた調査委員会ですから虚偽はないでしょうが、なにやらスッキリしない結末になりました。

報告書の中でA社のブランドに触れている部分があります。こうなるとこのA社はどこだ?という疑問が出てくるわけですが、当然報告書では明らかにされていません。福井の繊維系上場企業だと、セーレンやサカイオーベックスなんかがありますが、、、。

まぁ、別に本社が福井でなくてもありうるわけですね。ブランドのある繊維商社で福井に支店を持っていれば。そのA社は今年3月時点で国税の調査を受けているとか。気になります。

建設技術研究所 従業員の不正行為

建設技術研究所は5/28、「当社社員の不正行為について」を公表しました。同社東京本社の社員が、その担当する業務の一部を外部へ発注し、自らに還流させた不正取引で、別の社員からの相談を端緒とする調査により発見されたといいます。

不正の概要

「自らに還流させた」とのことですから、いわゆるキックバックのようですね。「これまでの調査で不正は2015年の年末から昨年まで続いており、その額は118百万円にのぼることを確認しております。」と説明されています。

お知らせの文章では、上記のように「その額」と表現されているんですが、これが不正に発注した金額のことを指しているのか、自らに還流させた金額を指しているのか、ビミョーです。場合によっては架空取引の発注ということもありですかね。その場合は発注金額=還流金額ということもありえそうです。

同社の対応

社内調査でここまでの結果を得ており、このあと特別調査委員会で引き継ぐようです。外部への発注行為自体には複数の社員も関与しているとのこと。類似案件の有無等の調査を行う予定だそうです。

不正行為を行った社員を懲戒解雇とする手続きを進めているということで、つまりまだ解雇されていません。なので「元社員」という扱いにせず、「社員の不正」と表現している辺り、好感が持てますね。全容が判明した時点で、取締役を含む社内関係者についても厳正な処分を行い公表する、、、としているところも。

冒頭に書いたように、「別の社員からの相談」が不正発見のきっかけになっているのも良いです。本来のレポートラインで不正等の耳の痛い情報が経営に上がってくる。内部通報も重要ですが、このレポートラインが機能しているというのが一番ですね。

堺化学工業 湯本工場において爆発事故(その2)

堺化学工業は5/27、「湯本工場の爆発・火災事故に関するお知らせ(第六報)」を公表しました。5/11の第一報から既に6回目のお知らせ。事故後の経過をきめ細かく伝えているのがよく分かりますね。亜鉛末による爆発・火災事故の経過報告です。

その後の状況

亜鉛末というのはよほど厄介な代物のようで、火災がほぼ鎮火したのちにも、時間の経過で温度が下がるのを待っているような状況。爆発の二日後の5/13には、「工場内で消火のために散布した砂中より発煙したため、巡視中の社員が消防署に通報のうえ、速やかに対応いたしました。」なんてのもありました。

第六報では、人的被害を被られた協力会社の4名について、順調に回復されているとのこと。重傷者のお一人については「症状が改善し、ICUから一般病棟に移られました」というレベルですが。

また、当局の検証等に協力しつつ、会社として独自に事故原因の究明と再発防止の徹底を図るため、社外から3名の有識者を招聘して事故調査委員会を設置することにしたようです。同委員会の構成等については、関係者との最終調整が済み次第、別途公表するとのこと。

素人にも分かるように

今回第六報で目を引いたのは次の下り。

「工場内に残存する亜鉛末の温度につきましては、最も高温な箇所において5月21日に411℃でしたが、5月27日現在は148℃まで低下しております。」

文章の書きぶりからすると、148℃まで低下してきたので、ご安心ください、、、みたいな意味なんだと思うんですが。人間が触れば大火傷しそうな温度。正直148℃で安全なのかどうか、素人には判断できません。投資家や株主のほとんどは素人なわけで、もう少し分かりやすく説明してほしかったと、、、。