アジャイルメディア・ネットワーク 役員の不正行為(その3)

アジャイルメディア・ネットワークは6/16、「2021年12月期第1四半期報告書の提出期限の延長(再延長)申請に係る承認及び第三者委員会による最終報告に関するお知らせ」を公表しました。5/31には同委員会の中間報告も公表していました。

不正の概要

この役員は、その地位及び権限を悪用して従業員に指示し、事前に使途を明らかにすることなく、会社が小口現金として管理する現金の交付を受けて、これを私的に流用していました。その金額は、累計1億3000万円程度といいます。

また、実際には取引が存在しないにもかかわらず、ソフトウェア開発等の発注業務を偽装して、取引先に送金させる方法により会社の資金を流出させ、さらに、自己又は自己が関係する会社において当該取引先から当該業務を下請受注する外観を偽装することによって、当該取引先から自己に資金を還流させたことが疑われています。この方法により会社の資金を流出させた金額は、累計1億4000万円程度。

中間報告で約2.7億円としていたこの2つの手口での資金流出は、最終報告で2億6872万円と認定されたようです。

そして3つ目に、接待交際費、旅費出張費等で、業務関連性がない経費精算が含まれている疑義が確認され、その額は約7,000万円程度であることが判明したとのこと(こちらは社内調査の結果)。

消えたCFO

報告書で「その地位及び権限を悪用して従業員に指示し」と表現されているように、まさにCFOとしてやり放題ですね。従業員70名程度の小さな会社で、よくここまで。3億4000万円は何に使われたんでしょう。

第三者委員会による最終報告(口頭報告)で分かるのはこんなところ。最終報告書はまだ受領してないようです。

堺化学工業 亜鉛末事業から撤退

堺化学工業は6/11、「亜鉛末事業の撤退ならびに湯本工場の爆発・火災事故にかかる業績への影響に関するお知らせ」を公表しました。5/11に湯本工場で発生した爆発・火災事故からちょうど1か月。この事業からの撤退を決定したとのこと。

第8報

同じ日、「湯本工場の爆発・火災事故に関するお知らせ(第八報)」も公表されています。重傷者の一名が6月中旬に退院予定となったことや、6/5付で事故調査委員会を設置したことなどが追加されています。

そして、「亜鉛末製品のマーケット状況や再建にかかる投資採算性等について総合的に検討した結果、亜鉛末事業から撤退し、工場再建を断念することとした」、ことについても。

事業からの撤退

通常は事業から撤退する場合、あらかじめ取引先に連絡。少なくとも取引先が他からの調達にめどをつけるまでは、出荷を継続するんでしょうね。ただ、今回ばかりはそうした調整の時間はありませんでした。取引先には相応の負担を強いる格好になったと思われます。

この事故により発生する補償、撤去などに係る費用、販売を含めた事業への影響額を合理的に見積もることは困難な状況としながらも、同社としては、この事故が2022年3月期の連結業績に与える影響額の見通し(税引き前利益)は、合計3億円程度としています。

事故発生で株価も影響を受けました。直前の1900円台から一時は200円以上売られましたが、このところ次第に戻っていて、1900円台を回復する場面もありました。

ということで、あとは事故の原因究明と再発防止策の策定ですね。事故調査委員会の調査結果を待ちましょう。

OKM(6229) 従業員の不正行為 調査委員会調査報告書を公表

中国の連結子会社で、一部営業部員が関与している不明朗な取引があることが判明したとして、調査委員会を設置していたOKM。6/15に調査を終了。調査報告書を開示しました。

OKM

いきなり脱線するんですが、OKMという会社、日本では「株式会社オーケーエム」なんですが、英語社名は「OKUMURA ENGINEERING corp.」なんですね。確かに会長さんが奥村さんだし、副社長にも奥村さん(ご子息かな)がいらっしゃいます。なんで日米で違いを?

調査結果

話を戻して調査委員会の調査報告書です。結論からいうと、「中国子会社の当該営業部員による就業規則違反に関する事実は認められたものの、法令違反と断定できる事実は認められませんでした。」だそうです。最近このパターン多いですね。

「しかしながら、調査の結果、中国子会社の営業部門における経費使用に関して実態を伴わないと疑われる事象やコンプライアンス体制の不備等、当社グループの内部管理体制に不十分な点があったとの指摘がされております。」ということで、これもよく見るパターン。

まぁ、不正がなかったわけですから良かったんですけどね。そういえば前回当ブログで取り上げた際、「現地従業員が自分の親族が経営する会社に会社の金を不正に支出させていた」という事例を紹介しましたが、今回の調査でも似たような状況があったようです。

中国って親族の結束が強いイメージがありますが、現地従業員が親族とつるんで悪さ、というのはいただけません。中国に進出している企業は要注意ですね。

結果的に大事には至りませんでしたが、この件で決算発表が遅延しました。このことを重く受け止め、経営責任を明確にするため、代表取締役社長と海外子会社を管掌していた取締役専務執行役員が役員報酬を一部自主返納するそうです。

グロームホールディングス 急落

6/2、「当社子会社による情報の誤発信に関するお知らせ」を公表したグロームホールディングス。子会社のグローム・マネジメントが株式会社島津製作所との業務提携基本契約を締結したという誤発信。にもかかわらず、その後も株価は上げ続けていたのですが、、、。

6/14 急落

当該誤発信後も株価は上げ続け、6/11(金)の高値は2,341円まで入りました。誤発信の6/2の終値が1,918円ですから、400円以上上げてたんですね。ところが週明けした6/14、わずか一日で、というか前場だけで500円安。ストップ安して1,718円に。

上げっぷりも良かったですが下げっぷりもなかなか。おまけにこの日は前日比100円高辺りから始まっているので、朝一番に買った人は600円安食らってます。恐ろしや。

子会社がフライングして公表しちゃったもんだから、島津製作所が怒ってしまって、、、業務提携基本契約の話が流れてしまったんでしょうか。ついついこんなことを考えてしまいます。いろいろと調べてみましたが、この記事を書いている時点で、この急落の材料(ニュース等)は見当たりません。

業務提携情報

業務提携をする場合、解消する場合は開示するものですが、そもそも提携に関する話を進めていたが、契約は成立しなかった、ということであれば開示のしようがありませんね。しかし、水面下で進めてきた提携話が実現しなかったという事実は、誤発信により結構インパクトのある材料になってしまった可能性が。

買い上がった人も、急落でぶん投げた人も、インサイダー取引に問われることはないでしょうが、破談になったことを知ったものが売ったんだとすると、限りなくインサイダー取引に近い取引ですね。

いやぁ、株式市場は恐ろしいところですね。読者の皆様もどうかお気を付けくださいませ。

ユニデンホールディングス 第三者委員会調査報告書を開示

英語版調査報告書を翻訳する際に、責任の所在や背景を不明瞭にする削除等が行われた疑いを調査していたユニデンHD。6/11、「第三者委員会の調査報告書受領のお知らせ」を公表しました。同調査報告書についても公表されています。

調査結果の概要

同社の米、豪連結子会社2社において会計不正が行われていたという事件。これに関する調査報告書を同社の幹部たちが改ざんしていたという事件。結果から言いうと、同社の創業者でもある会長が主導する形で行われていたということです。

英語版では、これら会計不正の原因は、「会長をはじめとするユニデンHDの経営幹部たちによる強いプレッシャーに起因するものである」とされていましたが、日本語版ではこの部分が削除されていました。あくまで子会社のインセンティブ獲得という利己的な動機により行われたことにしてしまったわけです。

詳細については触れませんが、同報告書には英語版と日本語版の対照表も付いていますのでご覧いただければと思います。非常に面白いです。

報告書を読んでみて

改ざんに関与した人物として、会長をはじめ、C、E、Bという方たちが登場するのですが、この方たちはほとんど既に退任されています。お一人だけが今も残っていて、その方がどうやら現在の常勤監査役のようです。

その常勤監査役が中心となって先日、監査役会が監査報告書で意見表明をしていました。会計不正の件に関して、現経営陣たちが無関心すぎるというような批判的な意見でしたね。ユニデンHDを守って(本人たちはそう思ってるかも)退任していった役員たちが、物申す格好でしょうか。。。定時株主総会は6/29開催予定です。