カッパ・クリエイト 現社長が告訴される

カッパ・クリエイトは7/5、「当社役員に対する競合会社からの告訴について」を公表しました。同社の代表取締役個人に対して、株式会社はま寿司より不正競争防止法に纏わる告訴がされ、当該告訴に基づき、6/28、関係当局による捜査が行われました。

競合の関係整理

競合する会社同士での問題ですので、まずその関係を整理しておきましょう。回転ずし店大手「かっぱ寿司」を運営するのがカッパ・クリエイトで、その現社長が主人公です。この主人公はもともと競合の外食最大手のゼンショーホールディングスの出身です。そのゼンショーホールディングスの傘下に「はま寿司」があります。

告訴の概要

主人公がはま寿司の親会社(つまりゼンショー)を退職後、カッパ・クリエイト顧問となった 2020年11月から12月中旬の期間において、元同僚より、ゼンショー社内で共有されていた「はま寿司」の日次売上データ等を、数回に亘って個人的に送付を受けていたというものです。

警視庁は不正競争防止法違反の疑いで捜査を本格化しているようです。6/28、不正競争防止法違反容疑の関係先として、横浜市のカッパ・クリエイト本社を家宅捜索しました。

不正競争防止法違反

日次売上データ等を個人的に手に入れていたことが、不正競争防止法違反に当たるというわけですね。ただ問題はこのデータが「営業秘密」にあたるのかどうか。

ゼンショーの開示情報を見てみましたが、月次売上データの開示をしているのは「すき家」のデータだけのようです。つまり「はま寿司」のデータは非開示ということです。

ただ、日次売上データだけで警視庁が動くんだろうか、という気もします。カッパ・クリエイトの開示文の中でも、「日次売上データ等」と表現されていて、「等」いうのはちょっと引っ掛かりますね。

日本軽金属ホールディングス 認証不正取得 JIS 認証の取消し(その3)

日本軽金属ホールディングスは7/5、「当社子会社(日軽新潟株式会社)におけるJIS認証の取消しについて」を公表しました。アルミニウム加工を手掛ける新潟県の子会社が、日本産業規格(JIS)の認証の取り消し処分を受けたということです。

既に3社目

日軽金HDがJIS認証の取り消しを受けるのは、今年既に3件目となります。日軽金名古屋工場、日軽形材株式会社に続く今回は、日軽新潟株式会社。日軽金HDのJIS認証違反調査委員会より、JISマーク表示製品に対する総点検を指示され、その点検で発覚したようです。

本来JISマークを表示してはならない製品に、2007年5月から2021年4月にかけて、製品の出荷時に添付する現品票にJISマークが表示されていることが判明したといいます。

さらに、押出棒製品の引張試験において、JISの規定で要求されている試験片形状と異なる試験片を作製して引張試験をしつつ、更新審査時のみJISの規定に沿った試験片で審査を受けていたとのこと。これって日軽金で発覚した不正と同じ手口のようです。両社は別会社であるにもかかわらずです。

日軽金グループ

グループの主要会社は、日本軽金属、東洋アルミニウム、日本フルハーフ、日軽金加工開発ホールディングスの4社。この中では日軽金で不正が発覚しています。

また、日軽金加工開発ホールディングスにはさらに子会社が6社ぶら下がっていて、そのうちの2社、日軽形材株式会社と日軽新潟株式会社で発覚。孫会社まで含めて10社中3社で不正ということですね。やはり予想通り、拡大してきました。

スルガ銀行 新たな不正融資問題

6/29付け日本経済新聞に、「スルガ銀の不正融資問題、投資マンションでも火種」という記事がありました。シェアハウスを巡る不正融資でもめてきた同社ですが、新たな問題に発展する可能性がありそうです。株主総会で被害者弁護団が投資用のアパート・マンション向け融資の不正を指摘、これを受けて書かれた記事のようです。

6/29 株主総会で

定時株主総会に、株主である「被害者弁護団」が出席し、投資用のアパート・マンション向け融資の不正を巡り議事が紛糾したようです。日経では、総会で複数の株主が「(アパート・マンション融資で)不正融資による被害が出ている」と追及。「議場ではやじが飛び、議事が混乱したため、総会を途中で打ち切った」と伝えています。

2018年に行政処分を受けたシェアハウス向け融資が2000億円程度だったのに対し、アパート・マンション融資の今年3月末の残高は1兆960億円で、全融資の47%を占めているそうです。シェアハウス向けのように全ての融資が、というわけではないでしょうが。

家電量販大手のノジマが提携解消を申し入れたというのも気になりますね。スルガの実態を知ってしまったからなんだろうかと考えてしまいます。

シェアハウス問題も

日経では、「スルガ銀は不正を認めたシェアハウス向け融資について、債務者に資金を弁済する方針に転換。8月にもその受け付けを終了すると発表し、不正融資問題は終結するとみられていた。」としていますが、そうでもないみたいですね。

日経が取り上げていた弁護団とは別の弁護団に対しては、同「弁護団を窓口とした債権一括譲渡・代物弁済の実現を断念することとな」ったとの通知が、シェアハウス被害者に対してなされているとか。こちらもまだまだ混乱しているようです。

日本軽金属ホールディングス 認証不正取得 JIS 認証の取消し(その2)

5/17に、「日本軽金属株式会社におけるアルミ板製品の JIS 認証の取消しについて」を公表した日本軽金属ホールディングス。JIS認証違反調査委員会を設置し、6/9には特別調査委員会に衣替えして調査を進めていましたが、また別の会社でJIS認証の取り消しだそうです。

日軽形材株式会社

今度の不正は同社孫会社の日軽形材株式会社という会社です。日軽金HDの子会社である日軽金加工開発ホールディングスの子会社ですね。

同社岡山工場における JISマーク表示製品について、日本品質保証機構より鉱工業品及びその加工技術に係る日本産業規格への適合性の認証に関する省令に定める基準を満足していないとして、2021年6月30日付でJIS認証の一時停止通知を受けました。

開示された情報

JIS認証違反調査委員会が特別調査委員会に変わったあたりで、他にも不正が新たに見つかったんだろうな、、、なんて思ってましたが、やはりという結果です。ただ、開示された情報によると特別調査委員会が発見したわけではないようです。

JIS認証を受けていない製品にJISマークを付けて出荷していたということなんですが、ちょっと気になる記述もありました。それが、「JISマークは表示していないが顧客要求に基づく判定をすべきところ、社内規格に基づく判定を行い、結果顧客要求を満たさない製品を出荷していたたことおよびJISで規定された試験を実施していなかったこと」というところです。

「判定」とか「試験」という言葉が使われていて、ビミョーですが、検査不正のようなこともやってた、ということでしょうかね。

ラサ商事 OKK ショーエイコーポレーション 有価証券報告書の提出期限の延長

6/30、本来ならばこの日に有価証券報告書を提出しなければならなかった企業が、提出期限の延長を申請しました。タイトルのように、ラサ商事、OKK、ショーエイコーポレーションの3社です。いずれも当ブログで過去に取り上げたように、不祥事の発生によるものですね。

ラサ商事

2014年に子会社化した旭テック。石油化学プラントをはじめ、多種多様な分野のプラントや関連設備の設計・施工・メンテナンスが主要事業となっています。そんな旭テックで、従業員が行方不明となり、捜索発見後事情を確認するなかで、数年にわたり売上原価が不正に先送りされている可能性があることが分かったとのこと。

これまでの調査により、不正な会計操作の結果、連結当期純利益への影響額として、2008年以降の累計で概ね350百万円の減少要因になるとの途中経過が公表されています。

OKK

棚卸資産の残高確定の過程において過去の会計処理に誤りがあるとして調査を開始。調査の過程で、適切な棚卸資産の調査・把握や会計処理の調査・把握について、同社役員による不適切な業務執行の可能性を含む内部統制上の問題がある疑義が生じたとしている件です。

ショーエイコーポレーション

架空循環取引が行われていたという事件。ただし、主導者はあくまでも別の会社の個人であって、ショーエイはその架空循環取引に巻き込まれたという結論でした。その後はショーエイ担当者も能動的に協力して架空循環取引の規模を拡大してしまったということでしたね。

各社とも提出期限の延長により有価証券報告書等の提出、間に合わせてくると思われますが、役員の不正行為に発展しそうなOKKはビミョーですかね。