関西電力 施工管理技士で実務経験虚偽

関西電力は7/30、「当社グループ会社における施工管理技術検定の実務経験不備およびそれに伴う第三者委員会の設置について」を公表しました。これまでにも多くの企業で発覚してきた、施工管理技士における実務経験虚偽申請。関西電力でも。

関西電力

2019年秋、高浜原子力発電所がある福井県大飯郡高浜町の元助役から、会長や、社長、副社長らが、3億2千万円を受け取っていたという、いわゆる金品授受問題で揺れた関西電力。

その直後11月には電力料金について、小規模商店など63法人に対し、過大に請求していたことが発覚。電力料金の過大請求事件ですね。実は遡るとまだまだ他にも不正・不祥事が発生している関西電力。今度は施工管理技士の資格不正取得です。

施工管理技士の資格不正取得

関西電力のグループ会社である株式会社KANSOテクノスにおいて、施工管理技術検定の受検資格である所定の実務経験を充足していない状況にあった者が、検定を受検・資格取得していることが判明しました。6/18、内部通報窓口の法律事務所(社外窓口)に投書が届き、発覚したようです。

不正取得されていた資格は、土木、造園、建築、管工事、電気工事など。6名が実務経験を充足していませんでした。ということなんですが、この数字、2018年4月から2021年6月末までの間に施工管理技術検定を受検した者となっています。

社内調査では、わずか3年ほどしか遡っていないのはなぜなんでしょうね。他の企業の例を見ても、かなり昔から横行してきた不正取得です。この3年間という調査対象期間には疑問が残ります。第三者委員会ではもう少し遡って調査してくれるんでしょうか。

東急建設 施工中工事における基礎杭の先端不良

東急建設は7/26、「施工中工事における基礎杭の先端不良について」を公表しました。同社が代表企業である共同企業体が、現在施工中の「相鉄海老名駅改良工事」において、基礎杭が沈下する事象が発生したとのこと。これまた物騒な事件です。

事件の概要

相鉄海老名駅改良工事において、基礎杭が沈下する事象が発生し、原因を究明するための調査を進めた結果、基礎杭に先端不良が確認されたというもの。「先端不良」というのがどういう状態を指しているのかについては説明されていません。

まったく別の事件で、基礎杭が岩盤等に当たり、想定よりも短くするため杭の先端部分をカットしていた。というのが見つかりました。杭の先端をカットすれば杭の機能を果たさないんだそうです。専門的過ぎて分かりませんが、東急建設の件もそういうことなんでしょうか。

2015年にも

基礎杭に関する事件としては、2015年に発覚した横浜市のマンションに関する事件がありましたね。三井不動産が販売した横浜市都筑区の大型マンション。三井住友建設が元請けとなり、下請けとして杭打ち工事を請け負ったのが旭化成建材という会社でした。

この事件は、建物を支えるための基礎工事で、杭が必要な強度を確保できるための深さまで到達していなかったり、杭を固定するためのセメントの量が不足していたというものでした。その後、杭打ちデータの偽装も発覚。ジャパンパイルという会社でも同様の偽装が出てきました。

今回の東急建設の件についても、「当社が代表企業である共同企業体」と説明されています(いわゆるJVってやつですかね)ので、杭打ち工事を請け負っているのは別の企業だと思われます。そこについては公表しないんですかね。

2015年の事件同様、この事件についても、今後別の工事案件への飛び火があるかもしれません。

オリジン(6513) 中国連結子会社で不正行為 キックバック(その2)

中国連結子会社で現地責任者による不正行為が発覚したオリジン。昨日の記事で書き切れなかったことなどを追記します。

発覚の経緯

当初はこの不正行為が疑義に留まっていたことから、同社は本社内に調査委員会を立上げ、日本および中国現地の弁護士と連携しつつ、万全を期して調査を進めてきたといいます。そのうえで、同社が現地法律事務所に対して監査を依頼したことが発覚の端緒となりました。

不正な捻出資金

キックバックされていた資金、というか、正確には取引先に支払われた資金も含めた不正に捻出された資金、合計約76百万円。相当部分の回収を進めているようですが、法的措置も視野に入れ損害額の回収に努めるとしています。業績への影響は軽微だと。

不正行為の発生原因

不正行為が発生した原因については、行為者が現地責任者であったことから、業務の属人化と権限の集中により牽制機能が働かず、架空契約が長期間に渡り見過ごされていたものと認識しているとのこと。一番よくみられる子会社任せのガバナンスというやつですね。

内部通報制度についても、既に導入済みであったものの、必ずしも十分機能してこなかったとしています。この「必ずしも」のところについてはこれ以上の説明がなく、詳細は不明です。親会社のガバナンスと子会社における内部通報制度の機能不全。定番です。

こうしてどこの企業でも起きている二つの機能不全。今現在何も起きていない(と思っている)企業こそ、これらの再点検が必要です。事が起きてからでは遅いんです。

オリジン(6513) 中国連結子会社で不正行為 キックバック

株式会社オリジンは7/26、「当社子会社での現地責任者による不正事案発生の件」を公表しました。同社連結子会社である中国の上海欧利生東邦塗料有限公司及び欧利生東邦塗料(東莞)有限公司で不正行為が発覚しています。

オリジン

オリジンは昔のオリジン電気。2019年に今の社名に変更しています。合成樹脂塗料、半導体デバイスと精密機構部品、電源機器、システム機器の製造販売を手掛ける東証一部上場の電気機器メーカーです。

不正の舞台となった、上海欧利生東邦塗料有限公司(上海オリジン)及び欧利生東邦塗料(東莞)有限公司(東莞オリジン)の2社はいずれも、オリジンが60%出資する連結子会社のようです。

不正の概要

各子会社と、現地コンサルタント会社との間で、架空のコンサルタント契約が締結され、各子会社が現地コンサルタント会社に対して支払ったコンサルタント費用の一部が、本件現地責任者に還流されていたことが発覚したとのこと。不正が行われていた期間は、2014年7月~2021年1月迄の間だそうです。

この不正な資金捻出額は、東莞オリジンにて4,230千人民元(約70百万円)、上海オリジンにて376千人民元(約6百万円)とのこと。両子会社の本件現地責任者というのは同一人物のようですね。社内調査により事実を確認済みで、オリジン取締役の処分まで開示されています。

本件現地責任者についても懲戒解雇処分にしたということですが、「本件現地責任者」とぼかした表現になってます。これって子会社取締役のことですよね。董事長や董事、また総経理みたいな。ちゃんとそこを開示した方が良いと思うんですが。

タカラレーベン・インフラ投資法人 電気ケーブルの盗難被害

タカラレーベン・インフラ投資法人は7/26、「LS 稲敷荒沼2発電所における電気ケーブルの盗難被害等発生に関するお知らせ」を公表しました。同発電所の電気ケーブルが切断され、盗難される被害の発生を確認したということです。

電気ケーブル

電気ケーブルが切断され盗難された。と聞いて皆さんピンとくるでしょうか。一般的なところでいうと、ケーブルの芯には銅線が使われていて、この銅線を盗んで皮膜を除去し、銅を販売して換金するわけです。銅線の盗難事件って結構あるんですよ。

タカラレーベン・インフラ投資法人での盗難電気ケーブルが銅線だったか、もっと高価な特殊電線なのかは開示資料では確認できませんが、おそらく盗む目的は一緒だと思われます。

何回目?

今回タカラレーベン・インフラ投資法人の開示資料等を遡ってみたところ、何度も同じような事件が出てきます。今年6/15には、LS水戸高田発電所における電気ケーブルの盗難被害が発生していますし、昨年3/5には、LS静岡御前崎発電所における電気ケーブルの盗難被害が発生しています。

これらの発電所はいわゆるメガソーラー、太陽光発電所のようです。人気のない山岳地等に作られている分、警備が薄いなどの特徴はありそうですし、同一犯によるものなのか、、。しかし、それにしても頻発しすぎでしょう。これもガバナンスの問題かもしれませんね。