オリジン東秀 従業員の迷惑行為

オリジン東秀は5/5、「当社従業員の迷惑行為について」を公表しました。同社従業員が、2月20日深夜に、キッチン DIVE 亀戸店にて、商品破損を伴う迷惑行為を行っていたとのこと。再発防止に向け、全従業員に対し、改めてコンプライアンス教育を行っていくとしています。

オリジン東秀

オリジン東秀は弁当、惣菜販売を主体事業とするオリジン事業(「キッチンオリジン」「オリジン弁当」「オリジンデリカ」)、飲食業を主体事業とする外食事業(「れんげ食堂Toshu」「中華東秀」)の店舗を運営する企業。もともとは東証2部上場企業でしたが、2006年にイオン傘下に入り上場廃止となっています。

迷惑行為

都内にある24時間営業の弁当店であるキッチン DIVE 亀戸店に6人の男性が入ってきて、商品をたたきつけるなどの行為を行ったといいます。その行為はYouTubeでライブ配信されていたんですね。この6人の中に近所のオリジン弁当の従業員がいたということらしいです。

しかし、これって2/20深夜の出来事だったみたいです。なんで2か月以上経って話題になったんでしょう。

キッチン DIVEは、ライバル店の従業員による営業妨害器物破損事件として、オリジン弁当に対して事実確認と再発防止のお願いしたものの、これにオリジン東秀は適切に対応せず。弁護士を通じた書面のやり取りを経てやっと、オリジン東秀が謝罪するに至ったということのようです。

この事例、現場での苦情が本社の所管部署に正しく上がっていなかったことが、2か月以上の時間を要した原因らしいです。まぁ、これもオリジン東秀側の言い分ですが(公表された文書にはこの辺りのことは書かれていません)。

東亜石油株式会社 製品試験に関する不適切行為 調査委員会を設置

東亜石油は5/6、「当社 京浜製油所における製品試験に関する不適切行為について」 を公表しました。親会社である出光興産も同日の同じ17時に、「当社子会社における製品試験に関する不適切行為についてのお知らせ」を公表しています。

東亜石油

東亜石油は、出光興産グループの石油精製会社です。受入れた原油を、ガソリン、灯油、軽油、重質油などに精製し、グループの東日本地区に供給する役割を担っています。高い重質油分解装置能力が強みだそうです。2005年に出光興産の子会社となった、東証スタンダード市場上場企業です。

行為の概要

最近毎月のように発覚している認証不正と同様ですね。①定められた測定頻度又は試験方法を遵守していない。②実際には測定していないにも関わらず、試験成績表に記載している。といった不正が行われていました。

対象となる製品は
・1号ガソリン・2号ガソリン・3号軽油・ノルマルヘキサン・ノルマルへプタン
・ベンゼン・プロピレン・ブタン・ライトサイクルオイル
・溶剤(3 品目) の12品目と説明されています。

例によってですが、出荷した対象となる製品の品質については、様々な関連項目において品質を全て確認し、安全上問題ないことを確認できているとのこと。安全性の問題なしとのことですが、性能面の問題はどうなんでしょうね。いつからいつまで生産された製品がその対象なのか、についても言及されていません。

同社は本件を重大に受け止め、外部有識者を含む調査委員会を設置し、事実関係の調査と原因究明に全力を挙げていくとしています。調査結果を待ちましょう。しかし、日本の歴史のある企業における製品検査に関する不正、止まりませんね。

オウケイウェイブ 債権の取立不能または取立遅延に関し調査委員会を設置

オウケイウェイブは5/6、「調査委員会の設置及び2022年6月期第3四半期決算発表の延期に関するお知らせ」を公表しました。同日に、「(開示事項の経過)債権の取立不能または取立遅延のおそれのある取引先への対応に関するお知らせ」も公表しています。

オウケイウェイブ

オウケイウェイブは、Q&Aサイト「OKWAVE」を中心とするサービスを提供する企業。「OKWAVE」は利用者が投稿した質問に対して別の利用者が回答し、「Oshiete(教えて)」と「Kotaeru(答える)」を結びつける仕組みなんだそうです。名古屋証券取引所ネクスト市場上場企業です。

債権の取立不能または取立遅延

オウケイウェイブは約1年前から、Raging Bull合同会社という運用会社に資金運用を委託していたようです。で、その運用会社が倒産して、委託していた運用資金が回収できなくなったというお話。そもそも委託した資金が3,429百万円で、約1年間の収益(運用成果)が1,503百万円。合計4,933百万円が返ってこなくなったと。

Raging Bull合同会社はオウケイウェイブとの契約にもかかわらず、定められた運用をしていなかったいうことらしく、刑法上の詐欺罪に該当する可能性が高いとして、捜査機関と連携の上、違法な行為をした者及び加担した者に適正な処罰がなされるように手配をしていくとしています。

何とも奇妙な事件ですね。34億円運用委託してわずか1年での運用収益が15億円?。運用利回りは約44%になります。これってどんな運用してたわけ?って感じです。この「運用」とやらのからくり、委託したオウケイウェイブ側の担当役員も十分わかっていたと考えるのが妥当ですよね。

このオウケイウェイブという会社、子会社で会計不正だの、元社長がインサイダーだの、辞任だの。と、いろいろやらかしてきたみたい。現在株価は100円ちょっと。なんだか相当ヤバいことになってきてます。

三幸製菓 ずさんな労働契約 積水化成品工業でも火災

少し前のニュースになりますが、2月の工場火災で従業員6人が死亡した米菓メーカー三幸製菓が、パートだった4人に労働条件を記載した書面を交付していなかったというお話がありました。報道各社の取材に対し同社が文書で答えたということです。

回答の内容

火災で亡くなった4人に加え、「一部のパート従業員」である「10名程度」への書面の不交付を認めたとのこと。労働基準法は賃金や労働時間といった労働条件を、書面などで明示するよう義務づけており、違法の疑いがあるずさんな労働契約が常態化していたと報道されています。

工場火災の発生とは直接関係ないかもしれませんが、やはりルールを逸脱してパート従業員の生産性を優先するみたいな経営方針は、労働環境の悪化を招き、最後には工場火災発生やその際の対処への備えといったことへ色濃く影響しているような気がします。

積水化成品工業 工場火災

話は変わって積水化成品工業はゴールデンウイーク前の4/23、「株式会社積水化成品大分における火災事故について」を公表しました。発泡ポリスチレンシートの製造を行う株式会社積水化成品大分において火災事故が発生しました。鎮火までに5時間近くかかった火災事故です。

幸い人的被害はなく、建屋および生産設備の一部に被害を受けた程度ということです。そのためか、開示はこの1回のみで、発生原因等、詳細についてはまだ開示されていません。三幸製菓の例のように、直接的な原因にとどまらず、火災につながるガバナンス上の何らかの問題がなかったのか、しっかり調べてほしいものです。

知床半島沖の観光船沈没事故にみるリスク管理

北海道・知床半島沖で観光船沈没事故が起きてしまいました。現時点で14人が死亡、12人が行方不明となった海難事故。今さら多くの説明は不要と思われます。この事故から見えてくるリスク管理の問題は、昨今の企業の不祥事にも関連する要因がたくさんありそうな気がします。

コスト削減とリスク管理

まず最初に、運航会社が直前に多くの熟練従業員を解雇していたという話。コロナの影響で事業が振るわず、コスト削減のため、運航に必要な様々な場面で、多くの経験やスキルを持った従業員が解雇されていたということです。

通常通り運営されている組織というのは、一定の人員さえ確保していれば問題なく運営されるものです。ただし、そこへ通常とは異なる状況が発生した際に、頼りになるのは長年にわたり業務を見てきた熟練従業員の経験やスキルなわけです。

いざという場面に備えた(平時は不要かもしれない)装備。このような状況では出航させるべきではないという判断。航海中の異常に対する最善の対応。どれをとっても熟練従業員の知見と、トップに対する進言などがあれば、このような事態は避けられていたと思われます。

企業経営でも同じ

こんなふうに考えていくと、システム障害を繰り返して社会的な批判を浴び続けた銀行と、非常によく似た構図が生まれていたことが分かります。観光船の運航もシステムの運用も、経営が考えるより多くのコストがかかるもの。しかし、そのコストに見える部分は将来のリスク回避の保険でもあるわけですね。

システム障害に限った話ではありません。当ブログで取り上げる企業の不祥事の数々。コスト削減のために従業員を切り捨ててきたことが、事故や不祥事の原因となった事例はいくらでもあります。企業の経営陣には「他人事ではない事故」としてとらえる必要がありそうです。