朝日放送グループHD子会社の朝日放送テレビ株式会社の社員1名が、重要事実の公表前に社外に情報を提供するとともに、自らもインサイダー取引を行い、利益を得ていたことが分かりました。証券取引等監視委員会は情報受領者とあわせて2名に対する課徴金納付命令を発出するよう勧告しています。
インサイダー取引の概要
朝日放送グループHDの開示ではよく分かりませんが、同社の認定放送持株会社体制への移行という情報と、株式会社ディー・エル・イーの第3者割当増資引受による子会社化という2件の別々の内部者情報を巡る事件です。
「認定放送持株会社体制への移行」については、当該情報が公表されたのが平成29年2月8日。もう一方の「ディー・エル・イーの第3者割当増資引受による子会社化」については、情報が公表されたのが令和元年(平成31年)5月10日です。
つまり、約2年間の間に同じ従業員が、当時の朝日放送株式については知人に情報伝達して儲けさせ、ディー・エル・イー株式については知人のみならず、自分自身も儲けました。というお話なんですね。課徴金の額は、同社従業員が451万円、知人が305万円となっています。
開示された情報
ここまでのお話は監視委員会の報道発表をもとに書いています。当の朝日放送グループHDの1/15の開示ではここまでのことは分かりません。というか、開示情報の書きぶりでは、同社子会社の朝日放送テレビの従業員が、一度だけインサイダー取引規制違反をしたかのように見えますね。
明らかに別の重要事実ですし、その公表時期も全く違う事件なんですから、もう少し書きようがあるんじゃないかな。知人に儲けさせてもお咎めがなかったので次の機会では自分も、、、みたいな事件の悪質さ(再犯である事実)を隠したいという意図が感じさせる開示です。