公益通報制度 内部通報者への不利益処分に罰則

企業や官公庁の不正を告発した内部通報者への解雇や懲戒といった不利益処分に対し、消費者庁が刑事罰を導入する方針であることが5日分かったということです。同庁の有識者検討会が今後、具体的に議論するんだそう。

公益通報制度

公益通報者保護法は2006年に施行されました。職場での刑事罰、過料の対象となる不正を通報した際に解雇を無効とし、降格・減給などの不利益な取り扱いを禁じています。その後2022年に施行した改正法では、従業員が300人を超える事業者に通報窓口の設置を義務付け。告発者捜しにつながる行為も原則禁止しました。

刑事罰

兵庫県前知事が内部告発された問題などでも制度の課題が指摘されてましたね。現在は内部通報者への不利益な取り扱いは禁止していますが、罰則がなく、「抑止効果が不十分」との声が出ていました。

刑事罰は解雇や減給といった懲戒処分など「不利益性が客観的に明確で労働者への影響が大きい」行為を対象に想定するんだそう。客観的に明確で労働者への影響が大きいって、またずいぶん分かりにくい定義だこと。

さらに、配置転換は定期的に人事異動を行う日本企業の人事や労務管理に影響があるとして対象外となる見通しだとか。こんなんでこの改正法機能するのか?

パナソニック ホールディングス子会社 認証不正の調査結果を公表

パナソニックの子会社であるパナソニックインダストリーは11/1、「品質不正に関する外部調査委員会による調査結果および当社の取り組みについて」を公表しました。今年1月に、UL認証に関わる不正や顧客との個別契約に関わる不正の発覚を公表。これを調査してきた件ですね。

調査結果

自社製品に関する顧客との個別契約で72件の不正がみつかり、UL認証取得の不正(21件)と合わせ計93件の不正があったということです。品番数で言うと、すでに公表していた153品番から大幅に増え、約5200品番にのぼるとのこと。

さて、これで膿は出し切れたんでしょうか。外部調査委員会ですべての取扱商品について網羅するのは困難ではあるものの、今回の調査は見つかった不正に関する重点的な調査や原因究明、再発防止策という方向性で行われており、網羅性についてはより重きを置かない調査になっているような感触です。

まぁ、それでも見つかった不正に関して全社的な改善対応を行うことで、不正を根絶やしにしていくことは可能かもしれませんが、その改善対応の過程で新たな不正も出てくる可能性はありそうです。このところちょっと元気のないパナソニックですが、日本を代表する重要な企業。子会社の改善対応ももちろん、グループ全体で業務品質の向上に取り組んでほしいものです。

三井住友信託銀行 社員にインサイダー取引疑いと会社が発表

三井住友トラストグループ株式会社は11/1、「三井住友信託銀行株式会社の元社員によるインサイダー取引について」を公表しました。証券取引等監視委員会の指摘ではなく、自社の調査で開示したことは評価できるものの、開示の内容はタイトルと同じものだけで詳細の説明はなし。

三井住友トラストグループ

三井住友トラストグループは日本の信託銀行グループ最大手。専業信託銀行グループとしてメガバンクグループとは一線を画した事業モデルの構築を目指しています。三井住友信託銀行をグループの中核とする東証プライム上場企業です。三井住友信託銀行は女優の木村文乃さんと俳優の佐藤浩市さんがCMやってるあの会社です。

インサイダー取引

三井住友信託は事案の内容についてほとんど開示していませんが、報道によると、行ったインサイダー取引は複数回で、社員が10月30日に会社に申し出たことで発覚したということです。この社員は管理職で、11月1日付で懲戒解雇になっています。

で、11/1付で「元社員」のインサイダー取引として今回公表したわけです。懲戒解雇してから事実公表。「元社員」と表現することで少しは会社の看板が守れると思ってるんですかね。こういう会社マジで多くてイラつきます。前回書いた野村證券にしても同様。不正を働いたのは現社員ですよ。

野村證券 社員が強盗殺人未遂と現住建造物等放火の疑いで逮捕

野村証券の社員(当時29歳)が、営業先の顧客だった広島市の80代夫婦の住宅に放火し、現金約2600万円を奪ったという事件。強盗殺人未遂と現住建造物等放火の疑いで逮捕されました。

野村證券

今更ながらですが、野村証券は日本における最大で最強の証券会社です。現在では持ち株会社を設立し、東証プライムに上場しているのは野村ホールディングスとなっています。同グループ内には中核の野村證券に加え、野村アセットマネジメント、野村信託銀行などを子会社に持っています。

事件の概要

容疑者は今年7月28日、営業先の顧客だった広島市の80代夫婦に夫婦宅での食事を持ちかけ、食事中に睡眠作用のある薬物を混入したとみられるといいます。意識をもうろうとさせたところで住宅に放火し、現金約2600万円を奪ったとのこと。

報道機関の電話取材に対して、野村ホールディングスの広報担当者は、この男性が元社員であることを認め、すでに懲戒解雇されていることを明らかにしたといいます。今となっては元社員かもしれませんが、犯行当時は現役の野村社員。野村證券の看板・信用力を全面的に利用した犯罪です。

しかし、野村證券はこの事件に関して何の開示もしていません。奪われたお金に関する保証もしないつもりなんですかね。そんなことだから、この会社不正が絶えないんでしょうに。ちなみに、一昨日に国債先物取引で課徴金2,176万円を納付したばかりの会社です。

ファーストリテイリング ユニクロ店長が試着室の盗撮で逮捕

ファーストリテイリングは10/31、「当社従業員の逮捕について」を公表しました。東京都豊島区のユニクロ アトレヴィ大塚店で勤務する同店店長が、同店試着室を利用中の女性顧客を盗撮したという疑いで逮捕されたとのこと。

ファーストリテイリング

ファーストリテイリングは、アパレルブランド「ユニクロ」をグローバルに展開し、商品企画・開発から販売までを手掛ける製造小売企業です。もちろん東証プライム上場企業です。世界25の国や地域で店舗を展開しており、店舗数は国内が797店舗、海外が1698店舗の計2495店舗。

盗撮で逮捕

逮捕容疑は「ユニクロアトレヴィ大塚店」で、試着室の下からスマホを差し入れ、顧客の中学3年の女子生徒(15)など、計9人の女性の体や下着を盗撮するなどした疑いだそう。同店長は容疑を認めているといいます。昨年9月から店長を務めており、「女性の下着を見たかった。今年6月から店で盗撮していた」と供述しているとのこと。

警視庁が別の盗撮事件の捜査で男のスマホを押収し、勤務先での行為が発覚したということですから、店舗以外でも盗撮してたんでしょうね。しかしまぁ、なんともトホホな事件です。この件を受けてファーストリテイリング株は急落しています。