株式会社 タムラ製作所 外部調査チームの設置

タムラ製作所は9/13、「外部調査チームの設置に関するお知らせ」を公表しました。同社の中国における連結子会社 2 社において、購入部品在庫の会計処理が、社内ルールに照らし適切に行われていなかった疑義が判明したということです。

タムラ製作所

タムラ製作所は、家電や産業機械などでエネルギー変換を担う各種電子部品を基幹に、部品の製造で使用する電子化学材料や装置などの製造・販売を手掛ける企業。アジアを中心とした海外売上高比率が6割強を占める東証プライム上場企業です。

何が起きてるのか

開示では、「中国における連結子会社 2 社において、購入部品在庫の会計処理が、社内ルールに照らし適切に行われていなかった疑義」としか説明されていません。この疑義について客観性・独立性ある調査を行うため、同社と利害関係を有しない外部専門家 3 名による外部調査チームを設置し、調査を行うことを決定したということです。

購入部品在庫の会計処理ということですから、棚卸資産の過大計上、架空計上などが考えられそうですね。棚卸資産を過大に計上し、あるいは架空計上することによって、当期の売上原価を減少させ、そのことにより売上総利益を増加させるといった不正が行われていなかったか。さらに、それが組織的に行われていなかったか、などを検証するということになりそうです。

ミンカブ・ジ・インフォノイド株式でインサイダー取引 課徴金納付命令の勧告

証券取引等監視委員会は9/13、「株式会社ミンカブ・ジ・インフォノイド役員からの情報受領者による内部者取引に対する課徴金納付命令の勧告について」を公表しました。これを受けて同社も、「証券取引等監視委員会の公表事案について」を公表しています。

ミンカブ・ジ・インフォノイド

ミンカブ・ジ・インフォノイドは、ライブドアブログなどインターネットメディアを運営するメディア事業と、金融機関向け情報系ソリューションサービスを提供するソリューション事業を展開する企業。株式や投資信託など金融系情報・分析サービスも提供する東証グロース上場企業です。

事案の概要

ミンカブ・ジ・インフォノイドの役員であった者から、同人がその職務に関し知った、「LINE株式会社によって新たに設立される会社の全株式を取得し、同社をミンカブの完全子会社とする」という重要事実の伝達を受けた知人が、当該重要事実の公表前に、ミンカブ株式合計1200株を、買付価額合計約234万円で買い付けたというもの。このインサイダー取引に対し、金融商品取引法に基づき納付を命じられる課徴金の額は35万円です。

一方、ミンカブ・ジ・インフォノイドは公表文の中で、「当社及び当社役職員による法令違反の事実はございません」としていますが、株式等の情報・分析サービスを提供する企業の役員が、知人に上記のような情報を伝えていたことについては、同社はもっと深く反省すべきところです。役員の処分はどうなったんでしょう。

監視委員会は、「情報伝達行為・取引推奨行為の禁止」にまでは該当せず、という判断をしたようですが、この役員は違反行為を問われるべきだったと思います。

ジー・スリーホールディングス 現社長が逮捕される

ジー・スリーホールディングスは9/12、「当社代表取締役社長の逮捕に関するお知らせ」を公表しました。同社代表取締役社長が、以前代表取締役を務めていた伸和工業株式会社における令和3年8月期の法人税法違反の疑いにより、大阪地検特捜部に逮捕されたとのこと。

ジー・スリーホールディングス

ジー・スリーホールディングスは、太陽光発電所の運用による売電など太陽光発電関連を中心とする再生可能エネルギー事業を中核とする企業。そのほか、新規エネルギー事業、サステナブル事業も手掛ける東証スタンダード上場企業です。

逮捕容疑

開示では別会社の事案であるとしてほとんど明らかにしていません。しかし、報道によると、伸和工業の実質的経営者が架空の損失を計上する手口で所得を隠し、1億円あまりを脱税したとして法人税法違反などの疑いで大阪地検特捜部に逮捕されたということです。

3年前、2021年の8月期の決算で、架空の特別損失を計上する手口で4億円あまりの所得を隠し、1億500万円を脱税したというもの。あくまで大阪に本社がある太陽光発電業者、「伸和工業」を舞台とした事件ではありますが、ジー・スリーホールディングスの社長でもあります。同社でもしっかりと事実を把握し、公表してほしいですね。

JR貨物(その2) 不正はさらに拡大?

JR貨物は9/11、「現在一時的に運行を停止している貨物列車について」を公表しました。同社の3車両所において輪軸組立作業時に不正行為を行っていた件に起因して、新たに確認が必要となった車両が発生したため、貨物列車 248 本の運行を取りやめたということです。

不正の実態

少なくとも不正は10年前から繰り返されていたということで、会社はさらなる検査不正の可能性があるとみて、11日午前から全列車の運行を順次停止しました。安全性を確認した車両については同日夕から運転を再開し始めたものの、不正の有無が確認できない貨車が新たに300両あると判明。

どうも断片的な情報ばかりで、実態が見えてきません。貨物車両の数は数百両といった単位ではないでしょうから、不正が行われた可能性がありそうな数字だけが独り歩きしているような感じ。すべての車両について信頼できる作業データが存在するのかどうかも微妙です。

事案の影響

国内貨物に占める鉄道輸送の割合は数%にとどまるそうですが、その半面、JR貨物は関東から九州など長距離の幹線輸送を担っているだけに、不通となればトラック事業者にも広く影響が及びます。

ドライバー不足の「2024年問題」で輸送網を鉄道に切り替えるモーダルシフトの機運も高まっていましたが、見事に水を差された格好です。9/12、品質確認が遅れていた300両のうち新たに67両の貨車で不正があったという情報も。

JR貨物 貨物列車の組み立てで不正が発覚

日本貨物鉄道(JR貨物)は9/10、「輪軸組立作業における不正行為の発生について」を公表しました。同社の3つの車両所において、500車両を超える車両の輪軸組立作業時に不正行為があったということです。

JR貨物

日本貨物鉄道株式会社(JR貨物)は、国鉄がJRグループへ移行する際に、全国6つの会社に分割された旅客事業とは異なり、貨物事業だけ全国規模での営業を続けることとなり設立された企業です。今のところ株式上場の目途は立っていません。

不正の概要

この不正は7月に山陽本線新山口駅構内で発生した脱線事故を受け、同社広島車両所で車輪や歯車などの組み立て工程を確認した際、社員からの申告で判明したといいます。通常、車輪や歯車は圧入という作業工程を経て完成しますが、圧入力が基準値を超過した場合、問題ない数値のデータに差し替えて検査を通していました。

申告を受け、同社はほかの車両所についても調査を実施し、前述の広島を含め、輪西(北海道)、川崎(神奈川)の計3ヵ所で類似の不正行為が判明しました。不正が判明した3車両所の作業員はいずれも基準値の扱いについて、数値が下回ると不具合を起こす可能性があるが、若干超過する分には問題はないと認識していたそう。

国土交通省は9/11、鉄道事業法に基づき同社の3車両所を立ち入り検査しました。